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新開花の御引出祝膳 [2008年01月02日(水)]

東京・神田明神下、新開花のおせち《御引出祝膳》です

上下2段の引き出し型の重箱です。下段はひとつ、上の段は左右2つに分けられています



上の段には、左に百合根金団、黒豆、田作り、かまぼこ、厚焼・薄焼玉子ほか、右に雲丹新丈、平目竜肥巻、青梅蜜煮、小肌卯の花和え、若鶏文銭巻、子持昆布、唐寿美粕漬ほかが収められており、下段には、海老芋旨煮、叩き牛蒡、鰊黄金漬、松茸旨煮、高野豆腐東寺巻、あわび松笠煮、印籠柿、菜の花辛子和え、慈姑レモン煮、編み笠柚子ほかが収められています。





上の段左側の引き出しの品々は、おせちの基本とも言えるきんとん、田作り、かまぼこ、卵焼き、黒豆といった面々です。

通常のおせちにありがちなしっかりした味付けではなく、素材のそのものの味が感じられる控えめな味付けとなっています。

ぷっくりふっくらとした黒豆、やや甘めの伊達巻風の厚焼き玉子と関西風だし巻きの薄焼き玉子の織りなす味のコントラスト、しっかりした苦味の田作り、そしてなにより、栗のきんとんにくらべ、おだやかで切れのいい甘みをもつ百合根きんとん、どれもが正統的なおせち料理の味わいを満喫させてくれます

上の段右には、鶏や魚に丁寧なしごとを施した酒肴の数々が並びます。雲丹の香りが豊かで、ねっとりときめのこまやかな雲丹新丈、昆布のうま味が程よく平目に染みこんだ平目竜肥巻、酢じめをされた小肌とおからの上品な酸味、チーズを巻いた若鶏、唐寿美粕漬はこれまで食べたどのカラスミよりもやわらかく、しかもうま味が感じられるました





下段は煮物が中心です。彩りをあざやかにするために中心に置かれた柚子釜盛りのいくら、その脇には柚子を甘く煮しめた編み笠柚子もあります。海老芋はちいさなさいころのように切られ、こんにゃくのたまり煮とともに並べられています。かりっとしっかりした歯ごたえの叩き牛蒡は、芯まで味が染みこんでいました。鰊黄金漬は、西京漬けの鰊を焼いたものにほぐした数の子をまぶしたもので、脂の乗った鰊と数の子が西京みその味でとても深みのある味わいとなっており、絶品と呼ぶのにふさわしい味でした。甘党のわたしがとくに感動したのは、まんなかのくりぬかれた大きな干し柿(印籠柿)のなかに、菜の花の辛子和えがはいったものです。干し柿の口のなかにじわっとひろがる甘みを辛子に和えられた菜の花の辛みと春の苦味がぴりっと引き締めます。甘みとそれを引き立たせる辛み・苦味のバランスがとてもよかったです

ちょっとはりこんで買った《おせち》ですが、寸毫の後悔を感じさせない、ものすごくおいしいおせち料理でした。いつか、このお店に行って、料理を食べてみたい、そう強く思いました