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たねやの《鮎の舞》 [2008年06月08日(日)]

たねやの《鮎の舞》です。

度胆を抜く」、店頭でこのお菓子を見たとき、思わずそんな表現があたまに浮かんできました。

鮎に因んだ和菓子といえば、求肥やお餅をどら焼の皮で包み折り、鮎の焼印を押した《若鮎》や寒天羹のなかに涼しげに泳ぐ羊羹のなどを思いつくことができます。

それらは「見立て」によって、和菓子のなかに鮎を表現したものです。

しかし、今日ご紹介する《鮎の舞》は、「見立て」ではなく、徹底したリアリズムで鮎を象った和菓子です

これまでも対象をリアリズムの手法で表現する和菓子を見たことないわけではありません。

里芋や栗など、本物そっくりにつくられた和菓子には、秋になるとあちこちの和菓子屋さんの店先で出会うことができます。また、花を象る練切は和菓子の定番中の定番でしょう。でもそれらはいずれも、植物を模した和菓子です。

しかし、《鮎の舞》は動物(お魚)です。わたしはこのような練り切りをこれまで見たこともありません。

竹で編まれた籠に型くずれしないよう保護する硬紙が敷かれ、三尾の鮎が並べられています。

あたかも炭火で焼かれた如く、その表面にはうっすらと焼色がついています。たっぷり振られた化粧塩に思わず食欲がそそられます。

では、さっそく食べてみましょう

両手で鮎を貫く竹串を持ち上げます

あたまのほうから、ガブリ。豪快に噛りつくことにしましょう。

視覚情報と味覚情報の齟齬に一瞬脳が戸惑います
しかしその戸惑いも舌の上で展開する上質の味の競演にただちに押し流されます

本物の鮎と違い、ていねいに漉してつくられたきめの細やかな餡はねっとりとした感触で歯に捉えられます。

上あごと舌で押さえつけるように味わうと、ほのかな甘味と小豆そして純白の薯蕷のかおりが口のなかにひかえめにひろがります

化粧塩代わりに振られた薯蕷の味がふつうのそれとは違うものの、まさしく『たねや』の練り切りの味です

とてもおいしいです。

では、その衝撃の姿は追記で・・・。
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