クランベリー(Vaccinium macrocarpon)果汁(ジュース)の抗ウイルス作用を示した基礎研究が、今月の専門誌に報告されています。
実験では、まず、バクテリオファージT2およびT4を市販のクランベリージュースに曝露したところ、これらのウイルス活性が用量依存的に抑制されたということです。
この不活性化は、摂氏4度でも23度でも示されています。
このとき、オレンジジュースとグレープフルーツジュースでも類似した作用が認められていますが、クランベリー果汁による作用のほうが強いとされています(60分の曝露後、クランベリージュースでは感染力が失われたのに対して、オレンジジュースとグレープフルーツジュースでは25-35%の低下でした)。
次に、哺乳類の腸管ウイルスであるsimian rotavirus SA-11を用いて、クランベリージュースの抗ウイルス作用が検証されました。
その結果、20%クランベリージュースにてSA-11の赤血球凝集抑制が認められました。
(なお、赤血球凝集抑制は、赤血球を凝集する性質を持ったウイルスに対する働きを調べるための試験です。例えば、特定のウイルスに対する抗体に関する試験として、赤血球凝集抑制試験が用いられます。)
さらに、アカゲザル腎臓由来細胞(MA-104)を用いた実験では、T4ファージの細胞への吸着阻害作用、ロタウイルス(rotavirus)複製抑制作用が示されました。
以上のように、この研究では、バクテリオファージT2およびT4、ロタウイルス(SA-11)という種類の異なるウイルスに対して、クランベリージュースによる抗ウイルス作用が示されたことになります。
ただし、この研究は基礎研究ですので、臨床的意義についてはさらに検討が必要です。
(現在、クランベリージュースあるいはサプリメントは、尿路感染症の予防目的に利用されています。) |