老年医学の専門ジャーナル(電子版)に、耐糖能障害を有する高齢者において、ビタミンDサプリメント投与による糖代謝改善作用を示した臨床研究が、トルコのグループ(Gulhane Medical Faculty Training Hospital)から報告されていました。
(
Geriatr Gerontol Int. 2011 Dec 28. doi: 10.1111)
ビタミンDは、骨の健康維持や骨粗鬆症予防の必須栄養素として知られています。
近年、ビタミンDの機能性として、免疫調節作用や抗がん作用、インフルエンザ予防作用なども見出されてきました。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
例えば、ビタミンDは、インスリン感受性を改善することが示唆されています。
そこで、今回の研究では、耐糖能障害を有する高齢者において、ビタミンDの投与がインスリン感受性に影響するかどうか、検証されました。
具体的には、
・ビタミンD投与群(n=28),
・対照群(n=23)
の2群について介入が行われました。
(なお、被験者の血中25(OH)D濃度に応じて、D3が投与されています。)
ビタミンD3サプリメント投与の結果、
96.0%の被験者において、血中25(OH)Dの平均値が123.2 ± 59.9 nmol/Lに達しました。
4.7 ± 2.5ヵ月のD3投与後、
・インスリン抵抗性が有意に改善(減少)(P=0.007)、
・インスリン値が有意に低下(改善)(P=0.007)、
・血糖値が有意に低下(P=0.037)
したということです。
また、ビタミンD投与によって、HDLコレステロールが有意に増加しました(P=0.037)。
その他の脂質関連マーカーには有意な変化は示されていません。
以上のデータから、耐糖能障害を有する高齢者では、ビタミンDの投与による糖代謝改善作用が示唆されます。
ビタミンDは、紫外線により皮膚で合成されたビタミンDでも、サプリメントとして経口摂取され腸で吸収されたビタミンDでも、どちらのビタミンDも、体内で活性型ビタミンD(1,25(OH)D)に変換されます。
なお、日光は、紫外線を含むため、活性酸素を発生させ、酸化障害を生じることで、皮膚の光老化や目の白内障などの加齢に関連した病気を発生させます。
そのため、抗加齢医学や予防医学の分野では、日光暴露・紫外線暴露は有害であり、可能な限り避けるべきと考えられます。
一方、日光暴露の唯一の効能は、ビタミンDを活性化することです。
特に乳がんリスクが高く、かつ、高緯度地方に在住する白人女性では、ビタミンD不足にもなりやすいというリスクがあります。
しかし、このビタミンD産生という効能についても、日光暴露のデメリットのほうが大きいため、ビタミンDサプリメントの利用が好ましいと考えます。
(あるいは、シイタケを摂取前に日光に当てることで、ビタミンDの含有量を増やす、という方法などもあります。)
(前駆体がビタミンD3に変換され、摂取後、血中で25OH-Dとなり、さらに体内で1-25OH-Dになります。)
サプリメントでは、ビタミンDを1日あたり1000-2000IU摂取する方法が推奨されています。
体内のビタミンDが十分かどうかの指標として、血中25(OH)D値が用いられます。
サプリメント利用の目安として、ビタミンD3サプリメントを1,000 IU/日摂取すると、25(OH)D値が10ng/mL上がる、というのが一般的なコンセンサスです。
(ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、臨床的には、ビタミンD3サプリメントを1,000 IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/ml増加する、という目安です。)
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
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