今月の栄養学の専門ジャーナルに、スタチン剤投与による内在性コエンザイムQ10の低下について、ランダム化比較試験(RCT)を対象にしたメタ解析のアップデートが報告されていました。
(Eur J Med Res. 2018 Nov 10;23(1):57.)
コエンザイムQ10は、内在性の脂溶性抗酸化成分であり、ミトコンドリア機能維持に重要な役割を果たしています。
コエンザイムQ10の機能性は、抗酸化作用とATP産生能を介して発揮されます。
コエンザイムQ10サプリメントは、ベーシックサプリメントとして、生活習慣病やヘルシーエイジングのために広く推奨できます。
(もちろん、私も摂っています。)
脂質異常症、特に高LDLコレステロール血症では、スタチン剤が投与されています。
スタチン剤は、LDLコレステロール合成を抑制するだけではなく、内在性コエンザイムQ10の産生も抑制します。
このことが、筋痛症や肝障害などスタチン剤による有害事象の原因とも考えられており、
米国では、スタチン剤を服用している患者では、
コエンザイムQ10サプリメントを100mgから200mgの用量で摂取することが常識となっています。
(エアロビクス運動で著名なテキサスのクーパー博士も、スタチン剤を服用している患者全員に、コエンザイムQ10のサプリメントを摂取してもらっていると、スクリプスクリニックでの講演でおっしゃっていました。)
さて、今回の研究では、
スタチン剤服用時による内在性コエンザイムQ10の変化について、ランダム化比較試験を対象にしたメタ解析アップデートが行われました。
具体的には、
主要医学データベースを用いて、
(PubMed, EMBASE, the Cochrane Library)
スタチン剤投与後の血中コエンザイムQ10値を測定したランダム化比較試験(RCT)が検索され、
12報のRCT、1776名のデータが対象となりました。
解析の結果、
偽薬投与群に比べて、
スタチン投与群では、
血中コエンザイムQ10値の有意な減少が見出されました。
(SMD, - 2.12; 95% CI, - 3.40 to - 0.84; p = 0.001)
層別解析では、
血中コエンザイムQ10の減少幅は、
脂溶性スタチン剤では、
(SMD, - 1.91; 95% CI, - 3.62 to 0.2; p = 0.017)
水溶性スタチン剤では、
(SMD, - 2.36; 95% CI, - 4.30 to - 0.42; p = 0.028)
となっており、
両群での有意差は認められませんでした。
(SMD, - 0.20; 95% CI, - 0.208 to 0.618; p = 0.320)
次に、
低強度から中程度の強度のスタチン剤投与による内在性コエンザイムQ10のの減少は、
(SMD, - 2.403; 95% CI, - 3.992 to - 0.813; p < 0.001)
高強度のスタチン剤投与では、
(SMD, - 1.727; 95% CI, - 2.746 to - 0.709; p < 0.001)
でした。
なお、この減少効果は、スタチン剤の投与期間との相関は検出できませんでした。
(Exp, 1.00; 95% CI, 0.97 to 1.03; p = 0.994)
以上のデータから、
水溶性や脂溶性にかかわらず、スタチン剤投与による内在性コエンザイムQ10の有意な減少効果が考えられます。
論文著者らは、
スタチンによる副作用としての筋肉関連症状の作用機序として、内在性コエンザイムQ10の低下が考えられること、
その予防に対する補完療法として、コエンザイムQ10のサプリメントの摂取が推奨される、
と考察しています。
脂質異常症、特に高LDLコレステロール血症では、スタチン剤が投与されています。
スタチン剤は、LDLコレステロール合成を抑制するだけではなく、内在性コエンザイムQ10の産生も抑制します。
このことが、筋痛症や肝障害などスタチン剤による有害事象の原因とも考えられており、
米国では、スタチン剤を服用している患者では、
コエンザイムQ10サプリメントを100mgから200mgの用量で摂取することが常識となっています。
生活習慣病や慢性消耗性疾患の患者では、同年代の健常者に比べて、内在性コエンザイムQ10が減少していることも示唆されています。
サプリメントのコエンザイムQ10には、酸化型コエンザイムQ10であるユビキノンと、
還元型コエンザイムQ10のユビキノールの2種類があります。
酸化型CoQ10は、摂取後に体内で還元型に変換されて、作用します。
コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。
還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)
コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。
したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、
酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。
一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、
還元型CoQ10の利用が推奨されます。
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