今月の脂質研究の専門ジャーナルに、乾癬性関節炎に対するオメガ3系脂肪酸の心臓自律神経系への作用を検証した臨床研究が、デンマークのグループ(Aalborg University Hospital)から報告されていました。
(Lipids Health Dis. 2016 Dec 12;15(1):216.)
乾癬性関節炎(Psoriatic Arthritis)とは、慢性の皮膚角化疾患である乾癬(かんせん)に、腫脹や疼痛を伴う関節炎を合併した病態です。
乾癬の患者数は日本で約10万人とされており、その中の1〜10%が、乾癬性関節炎を生じるとされています。
今回の研究では、
オメガ3系必須脂肪酸サプリメントによる乾癬性関節炎患者の心臓自律神経機能や血管機能に対する作用が検証されました。
具体的には、
ランダム化二重盲検偽薬対照試験として、
乾癬性関節炎患者145名を対象に、
・オメガ3系必須脂肪酸3グラム
・対照群
の2群について、24週間の介入が行われ、
血圧や心拍、
心拍変異度(HRV:Heart Rate Variability:自律神経系の指標)、
中心血圧(心臓など主要な臓器に直接かかる圧力)、
脈波伝播速度(PWV, Pulse Wave Velocity,)
顆粒球の脂質構成が、介入の前後で比較されました。
解析の結果、
まず、
試験登録の時点において、
魚類の摂取が多い群と少ない群では、RR間隔に有意差が認められました。
(p = 0.03)
次に、
24週間の介入後では、
対照群に比べて、
オメガ3系必須脂肪酸サプリメント投与群では、
RR間隔は増加傾向
(p = 0.13)
心拍数は低下傾向
(p = 0.12)
が認められました。
また、per protocol解析(治験実施計画書に適合した対象集団についての解析)によると、
対照群に比べて、
オメガ3系脂肪酸投与群では、
RR間隔の有意な増加
(p = 0.01)
心拍数の有意な減少
(p = 0.01)
が認められたということです。
血圧、中心血圧、PWVといった指標では、両群間に有意差は認められませんでした。
なお、疾患活動度や心血管リスク因子で補正後のデータも上記と同様でした。
以上のデータから、
乾癬性関節炎患者において、
オメガ3系脂肪酸の投与により、心臓自律神経系への好影響が示唆されます。
今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。
オメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用を有しており、動脈硬化性疾患のリスク低減や認知機能低下/認知症予防といった効果は確立しています。
DHCでは、すぐれた品質のオメガ3系サプリメント製品を続けやすい価格で提供しています。
農水省のデータによると、日本人の食品の摂取では、畜産品の増加、魚介類の摂取減少が示されています。
また、高齢者では、少食になりますので、’バランスの取れた食生活で、あれもこれも摂取して’、というのは限界があると考えられます。
したがって、
確実に、かつ、安全に、EPAやDHAを摂取するためには、サプリメント利用が推奨されます。
EPAや
DHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。
EPAやDHAといったオメガ3系脂肪酸では、抗炎症作用を介した動脈硬化抑制作用による生活習慣病予防効果が確立しています。
オメガ3系脂肪酸の抗炎症作用のメカニズムとして、以前は、オメガ6系との比率からアラキドン酸カスケードへの機序が考えられていました。
現在では、これに加えて、EPAとDHAの代謝物自体に抗炎症作用があることがわかっています。
(ただし、同じオメガ3系必須脂肪酸の供給源とされるαリノレン酸だけでは、不十分です。
αリノレン酸は、体内で、EPA、DHAへ転換されます。
ただし、αリノレン酸からEPAへの体内での転換効率が低い(10%)とされており、
αリノレン酸の摂取では、EPAやDHAを十分に摂取することにはなりません。
(α-リノレン酸自体に抗炎症作用があり、抗アレルギー作用も知られていますが、一方で、酸化されやすい脂質で、加熱調理に使えないという不便さがあります。
したがって、えごま油、亜麻仁油などは、EPAやDHA源としては不十分といえます。
また、魚介類、特に大型の回遊魚には水銀など重金属の汚染があるため、EPAやDHAサプリメントを上手に利用することが推奨されます。)
臨床研究におけるオメガ3系脂肪酸の投与量は、1日あたり数百ミリグラムから4グラム程度です。
また、EPA:DHA=2〜3:1の割合です。
日本人の食事摂取基準では、EPAおよびDHAの摂取量を一グラム/日としています。
EPAもDHAも、どちらも健康維持や疾病予防に重要です。
一般に、
DHAは脳の栄養素、
EPAは血管の栄養素といえるでしょう。
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