米国の大学からの研究報告によると、高齢者に亜鉛サプリメントを投与したところ、血清亜鉛値が上昇し、酸化障害が減少、感染症も減少したということです。
(
Am J Clin Nutr 2007 85: 837-844)
亜鉛は、必須栄養素の一つで、免疫機能を正常に維持する働きがあり、抗炎症作用や抗酸化作用も知られています。
今回の研究では、健常高齢者における亜鉛の働きについて、感染症を抑制するかどうかという点から検討されています。
具体的には、55〜87歳の男女50名を対象に、ランダム化二重盲検偽薬対照臨床試験として、亜鉛あるいは偽薬が12ヶ月間投与され、各種の指標が解析されました。
まず、被験者のうち、高齢者になるほど、血清亜鉛値が有意に低下していることが明らかとなっています。
さらに、各種の炎症マーカーであるサイトカイン類の産生増加も示されました。
これに対して、亜鉛投与の結果、偽薬群に比べて、感染症の低下およびサイトカイン類の低下が認められました。
このデータから、亜鉛の重要性が明らかに示されています。
平成16年国民健康・栄養調査報告によると、高齢者では男女とも、亜鉛の摂取量が食事摂取基準(RDA)を下回っています。
亜鉛のRDAを充足することは、食事からも不可能ではありませんが、高齢者ではサプリメント(
亜鉛や
マルチミネラル)の併用が確実と考えられます。
なお、亜鉛を多く含む食材としては、牡蠣が有名です。
(ただし、この冬は、ノロウイルス関連の風評被害があり、牡蠣の消費量に影響があったことも推測されます。)
さえきつる美と申します。
亜鉛ですか。2月にも紹介されておられましたですよね。
今回も裏付けの研究がなされているので、中年の健康を考える上で参考になりました。
ありがとうございました。