サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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医師がホストの健康番組には要注意(米国のテレビ) [2014年12月24日(水)]
今週の英国医学ジャーナルのクリスマス特集号に,医師がホストの健康情報番組について,エビデンス(科学的根拠)を検証した調査研究が,カナダのグループ(University of Alberta)から報告されていました。
(BMJ 2014; 349: g7346)



(原題は,

Televised medical talk shows―what they recommend and the evidence to support their recommendations: a prospective observational study

です。)



(BMJのクリスマス特集号には、毎年、少し変わった研究成果が掲載されます。)




日本でも,医師が出演する健康情報番組がたくさん放送されています。

健康への関心の高まりというニーズに対して,わかりやすく正しい情報を提供する機会や選択肢の一つとも考えられます。


しかし,医師が出演したりコメントしたりしていた番組が,医学的に不適切な内容であったり,

根拠がないデータを出したなどとして,放送が打ち切られたケースも少なくありません。



私見ですが,健康情報番組のように見えても,実際には,その内容は,ただの娯楽番組で,医学的な根拠がないようにも見られます。





さて,今回の研究では,

医師がホスト役をつとめている人気の健康番組の内容が,医学的なエビデンスに基づくかどうかが検証されました。




具体的には,

米国で放送されている人気番組,

ドクター・オズ・ショー(The Doctor Oz Show)

と,

ドクターズ(The Doctors)

の2つが対象となり,


放送されたエピソード,各40件を選び,

番組で薦められた内容,エビデンスがあるかどうかなどが調べられています。



(ドクター・オズ・ショーは,日本でもBS放送で視聴できると思います。)


(「ドクター・オズ・ショー」は,元心臓外科医のドクターオズが,

「ドクターズ」は,産婦人科医や小児科,プライマリケア医,救命救急医など複数の医師が交代で,

ホスト役を務めています。)





それぞれの番組エピソードでは,

一つの疾患や病態に対して,

4,5件の推奨が行われており,



各番組から80件,

合計160件の推奨内容について,エビデンスが検証されています。





解析の結果,

症例報告,あるいは,質の高いエビデンスが見出されたのは,

54%
(95%CI 47〜62%)

でした。



番組別の80件の解析によると,

ドクターオズでは46%にてエビデンスが見出されました。


しかし,一方で,

エビデンスとは異なる内容が15%,

エビデンスが認められなかった内容が39%となっていました。




また,

Doctorsでは,

80件のエピソード中, 63%の推奨内容でエビデンスが見出されました。



一方,

エビデンスとは異なる内容が14%,

エビデンスが認められなかった内容が 24%でした。





以上のデータから,

医師がホスト役を務めている,
米国で人気のある健康情報番組では,

その中で推奨される内容がエビデンスに基づいているのは,半分ほど,

ということが示唆されます。





なお,

「エビデンスがない」という場合は,

その病気や病態に対して,

1.効果がないということが分かっている場合,

2.効果があるかどうか,検証されいない,あるいはよくわかっていない場合

の2種類があります。


したがって,単に,医学データベースを調べて裏付けとなる論文が見つからなかったからと言って,その方法が効かない,ということにはなりません。


(例えば,

青汁は,野菜不足を補う選択肢の一つではありますが,医学データベースを調べても,大規模なヒト臨床試験データは存在しません。

また,米国では,プルーンが便通改善に用いられますが,Medlineにはエビデンスは見つかりません。)



一方,

医師がホスト役を務める健康情報番組は,

(今回の研究からエビデンスが半分ほどしかないので)

その内容での推奨は,

話し半分程度に受け取って,

娯楽番組として視聴するほうがいいようです。




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医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】


業界最大手の責任として――ここまでやるのが、DHC品質


【DHC健康食品相談室】


【DHCの研究開発】


【健康食品FAQ】


DHCが第1位@利用している(利用したい)メーカー(経産省の調査)

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posted at 23:54 | この記事のURL
体質に関係する遺伝子を知ることのメリット [2010年10月29日(金)]
同じカロリーをとっても,太りやすい人とそうでない人がいます。


摂取カロリーを減らしても思ったように減量できない人や,逆に‘痩せの大食い’の人もいます。


この違いは,‘体質’によるものです。


体質は,遺伝子によって規定される部分が大きく,自分の遺伝子を調べることで,(限られた範囲ではありますが)自分の体質がわかるようになってきました。


例えば,太りやすいかどうかといった肥満関連遺伝子変異が注目されています。


その他,アルコール(飲酒)に強いか弱いか,といったことも遺伝子検査でわかります。


(また,一流のアスリートの遺伝子を調べた研究では,瞬発力を要する運動,持久的運動の得意不得意に関係しそうな遺伝子変異が見つかっています。)



一方,これらに対する批判として,肥満など多くの生活習慣病は,遺伝子だけが原因で起こるわけではなく,環境因子も重要であるという意見があります。


もちろん,肥満をはじめとする生活習慣病には環境も大きく関与しますので,遺伝子だけで決まるわけではありませんが,十分に研究された一部の遺伝子変異については,それを調べることで得られるメリットが大きいと考えられます。


(なお,遺伝と環境の関与する割合については,疾病ごとに異なります。
また,肥満に対する遺伝子の関与の割合ついては,30%から70%まで,研究報告に開きがあります。
この数値の差は,肥満に関与する遺伝や環境因子が多様であり,かつ,個人差が大きいことも一因です。)




さて,昨日から,一部の新聞報道で,遺伝子検査ビジネスを懸念する,といった主旨の記事が報道されています。

遺伝子検査に対して,関連する学会が警鐘を鳴らした,という内容です。


ある記事では,

「肥満や薄毛の危険度から病気、知能、将来の進路まで判定できるとPRする遺伝子検査ビジネスが急増している」

とあり,

「日本人類遺伝学会は29日、科学的な根拠、有用性がはっきりしないとして、専門家による検証や国による監督の体制作りを急ぐべきだとする提言をまとめた」

としています。



確かに,
個人の能力や性格が確実に判定できるように宣伝する遺伝子検査ビジネスには問題があります。


また,がんや特定の遺伝病について,検査後のフォローアップなしに診断したり,生命保険や就職,昇進といったことに差が生じたりするのは誤った利用です。



一方,特定の遺伝子変異が病気のなりやすさに関与したり,治療の効果に関係したりすることは,医学研究によって示されています。

実際に,個別化医療(テイラーメイド医療)では,遺伝子検査は必須項目です。



遺伝子研究の成果を応用することで,生活習慣病になりやすい体質について,(100%完璧ではありませんが)一定の情報を得ることが可能です。




これらの体質/遺伝子変異を調べて,肥満や骨粗鬆症といったリスクが想定される場合,食生活や運動習慣といったライフスタイルの見直しで一定の対処ができるので,有用と考えます。

(生活習慣の見直しで対処できる遺伝子の個人差であることが重要です。)

(その他,検査にかかる費用,個人情報の取り扱い,検査結果通知後のフォローアップ体制なども,どの検査を受けるか,選ぶ際に重要なポイントでしょう。)


新聞記事では,‘ビジネス’という言葉によって,遺伝子検査サービスが,誤った営利活動であるかのような印象を与えてしまう報道がありますので注意が必要です。



もちろん,一部の学会や報道が示唆するように,遺伝子検査ビジネスが玉石混淆であるのも事実です。


同じ検査でも値段は大きく違いますし,リスクや感受性について十分なコンセンサスが得られていない遺伝子変異について,ビジネス化してしまうのは時期尚早でしょう。

(遺伝子変異による特定の病気のリスクに対して,それに対処する方法がなかったり,あるいは,十分ではないデータに基づいて個人の性格や嗜好といった判定に利用されたりするのは問題です。)


また,コンセンサスが得られている遺伝子変異の検査であっても,費用が非常に高額なケースやフォローアップ体制が十分ではないケースは適切とはいえません。


(一般に,医療機関・クリニックで検査すれば,医師が対面で説明するので,安心感はあると思います。
一方,その分,費用は高額になりますし,クリニックで遺伝子解析をしているわけではなく,外部の検査会社に発注して,結果を解説付きでもらっているのが実態です。)



DHCの遺伝子検査は,科学的根拠が集積された遺伝子変異(個人差)を調べることで,個人の体質の持つ特徴を知り,必要に応じてライフスタイルを見直すことができます。


また,検査に当たっては,個人情報の取り扱いに関する国の指針を遵守しています。
(医学界から法曹界の社外の専門委員を加えた倫理委員会を定期的に招集し,DHC遺伝子検査が適正に運用されていることを確認しています。)


つまり,1.安全性,2.有効性,3.経済性(費用対効果)の3つの点から判断して,DHCの遺伝子検査は,最も優れた健康関連サービスのひとつと考えています。

(DHCではフォローアップも含めて5,000円程度でできる検査が,他のところでは2万円3万円,あるいはそれ以上,という値段になっていることがあります。)



なお,前述の一部の報道にあったように,賢い消費者としては,
不適切な遺伝子検査ビジネスには注意が必要です。


一方,(私見ですが,)我田引水になっている学会の見解を鵜呑みにすることはないですし,
(学会というのは,あくまで一民間団体です)


民間による遺伝子検査サービス・健康関連サービスについて,不十分な取材に基づく記事や,否定的な話しを満載した記事にも注意が必要です。



現実的には,最新の医学研究による知識から,リスクベネフィットのバランスを考慮し,医療機関や健康関連サービスの専門家とうまく付き合いながら,健康管理ができれば,と考えています。




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【健康食品FAQ】

【DHCの研究開発】

医療機関専用サプリメント【DHC FOR MEDIC】(DHCフォーメディック)

医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】
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posted at 23:52 | この記事のURL
サプリメント/健康食品についての情報提供のあり方 [2009年10月08日(木)]
本日,NHKのクローズアップ現代という番組が,

「どうつきあうサプリメント〜明らかになる“健康被害”〜」

と題して,サプリメント/健康食品を扱っていました。



サプリメント/健康食品の有効性/安全性に関する情報提供のあるべき姿をあらためて考えさせる内容であったと思います。



番組では,まず,サプリメント/健康食品によると思われる健康被害の1例,次に,サプリメントと医薬品の相互作用によって医薬品の効果が低下した1例を紹介し,健康保持を目的としたサプリメントによる“健康被害”に言及していました。



いずれの場合も,医療従事者や専門家の間ではよく知られたケースで,特に目新しいものではありません。




一般に,食品といえども,個人の体質による違いを考慮すれば,100%絶対に安全という食品はありません。


(極端な例ですが,通常の食品でもアレルギーによる死亡例は多数あります。

かといって,ピーナッツや蕎麦が販売禁止になるわけではありません。

医薬品との相互作用が知られている場合でも,グレープフルーツジュースが販売禁止になっているわけでもありません。)




一方,一定の食経験に基づいた安全性が示されている成分であったとしても,摂取する用量や用法,製造方法が異なると,同列に議論ができないこともあります。




今日の番組では,健康食品によるαリポ酸による健康被害として,インスリン自己免疫症候群と思われる事例について述べていました。

αリポ酸はもともと医薬品の成分ですし,ごく稀にインスリン自己免疫症候群を生じるケースもあり,日本で数例が報告されています。

(インスリン自己免疫症候群は,様々な原因で生じます。また,αリポ酸の摂取との関連では,誰でもなるわけではなくて,特定の体質を持ったごく少数の人に生じうることが知られています。
すでに,関連学会で何度か発表されており,私も複数の拙著で明記しています。また,一般的な情報提供サイトでも言及されている周知の事項です。)



番組の構成では,次のような展開でした。

(αリポ酸の摂取2週間後→)冷や汗やけいれんという症状→病院を受診してインスリン高値を指摘→膵臓の異常を疑い精密検査(インスリノーマなどの腫瘍を疑ったのだと思われます)→手術を前提にした精密検査で大学病院へ→サプリメントが原因と疑われ,摂取を中止したところ,症状が改善。


番組では,サプリメントのリスクばかりが強調されており,風評被害を生じるのでは,と危惧されます。



別の見方をすれば,これは,医療側に責任を問えるようなケースとも思われます。


つまり,初診の段階で,きちんと問診を行い,サプリメント/健康食品の摂取を把握し,かつ,それらの成分について一般的な医療従事者向けの情報を知っていれば(あるいは知らなくても調べれば),その初診の時点で,疑われる原因の一つとして,明らかになった可能性があります。



本来であれば,

(αリポ酸の摂取2週間後→)冷や汗やけいれんという症状→病院を受診して,医薬品だけではなくサプリメント健康食品の摂取状況についても持参薬として問診→血液検査でインスリン高値→インスリン自己免疫症候群を稀に生じることがあるとして知られているサプリメント成分を中止/同時にインスリノーマなどの腫瘍も想定して検査→サプリメントを中止して症状改善。

という順序になったはずです。


(あくまで,結果論にすぎませんが。)


(なお,インスリン自己免疫症候群は,原因となる薬剤やサプリメントの摂取を中止すれば,多くの場合,自然に治ることが知られています。また,分食や医薬品を投与することもあります。)





これまで,過去10年以上,代替医療の各種調査では,患者側からのサプリメント/健康食品の自己申告率は低いことが示されています。


そこで,外来初診時にはちゃんと問診してサプリメント/健康食品の利用状況を把握するように,といわれています。



ところが,今回のケースでは,初診時にサプリメントを含めた持参薬についての問診ができていないため(初診時の医療者側の対応が不十分で見逃してしまい),結果的に患者側に大きな負担を強いる結果になったという印象です。


(つまり,今日の番組を見た消費者は,「私が摂っているサプリメントも危ないかもしれない」と思われることでしょう。しかし,私から見れば,「そのような基本的なことを初診時に見落とす医療機関がまだ存在するのか」という印象です。)


(といっても,専門外の現場の医師に,そこまでの知識を求めるのは,無理なのかもしれませんが。。。)




なお,体質による個人差を考慮して,サプリメント/健康食品の製品には,

「お身体に異常を感じた場合は,飲用を中止してください」

という意味の記載があります。



あらゆる情報を限られたスペースに記載することはできませんので,必要に応じて,注意事項が記載されているわけです。




また,番組では,2つめの事例として,アミノ酸が医薬品の効果を弱めた,という例も紹介されていました。


治療薬の吸収を阻害したという例です。


相互作用による有害事象という点では,
医薬品どうし,医薬品とサプリメント,医薬品と食品などの組み合わせで,数多くの可能性が知られています。



そのため,サプリメント/健康食品の製品には,

「薬を服用中あるいは通院中の方は,主治医にご相談ください」

という内容の記載があります。


(個別の相互作用について,消費者が調べる必要はありません。病院側の仕事です。)




その他,日本医師会でもサプリメント/健康食品による健康被害に関する事例収集を行っているという紹介がありました。


プライマリーケアに関わる家庭医であれば,広く利用されているサプリメント/健康食品の有効性と安全性に関する知識は必須といえるでしょう。


(一方,うがった見方をすれば,健康増進や疾病予防において,サプリメント/健康食品の適正使用に関するエビデンスが構築されると,病気になった人を対象としたビジネスモデルは衰退することになります。消費者にとっては好ましいことですが。。。)





一般に,リスクという点では,医療用医薬品のほうがサプリメント/健康食品よりも危ない(重大な副作用が多い)のは明らかです。

(もし,お手元に医薬品があれば,その製造販売元の製薬メーカーのホームページで公開されている医療関係者向けの医薬品の添付文書をご覧ください。どの薬の添付文書にも,たくさんの副作用が列記されています。これらのリスクがありますが,病気の治療を目的とする医薬品は,リスクとベネフィットのバランスで利用されます。)



一方,健康保持や疾病予防のために用いられるサプリメント/健康食品では,医薬品よりも高い安全性が担保されるべきであるのはいうまでもありません。



そこで,有効性と安全性に関する情報提供をどのように行うか,というのはどのメーカーにとっても課題です。



消費者とのリスクコミュニケーションという視点からは,ごく稀な有害事象を羅列することが適切な情報提供とは考えられません。



また,情報の格差がある中で,消費者への適切な情報提供のあり方は,医療分野だけの問題ではありません。(例えば,金融商品などでも問題になります。)




番組では,サプリメント/健康食品の原材料に関する情報提供サイトが紹介されていました。


関係者の間では,よく知られているサイトですが,以前,ある学会で一緒になった臨床現場の先生から,あのサイトは情報の羅列だから現場ではあまり有用ではない,という意見を伺ったことがあります。



今後,個人の体質にあったオーダーメイドのサプリメント/健康食品の利用法を確立する上で,研究の推進によるエビデンスの構築に加えて,情報提供のあり方の検討も重要と考えられます。


(さらに,制度上の見直しも必要でしょう。

現在は食品として管理されているサプリメント/健康食品ですが,医薬品と食品の間のカテゴリーとして規制を行い,安全性と有効性を担保するという方策が必要と考えます。)


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医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】
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posted at 23:55 | この記事のURL
「納豆ダイエット」 [2007年01月20日(土)]
某テレビ番組で紹介された、「納豆ダイエット」が、事実と異なる内容(ねつ造?)が含まれていたとして、制作したTV会社が謝罪会見を行ったというニュースがありました。


私は番組を見ていないので、放送内容についてはよく把握していないのですが、
「納豆ダイエット」の番組放映後、納豆が店頭で品薄になった、という報道はネットでみた覚えがあります。



私の知る限り、納豆や大豆によって減量できたという臨床試験のデータはありません。


そのため、納豆が品薄になったというニュースをみたときには、単に「単品ダイエット」の1種として、納豆ダイエットが提唱されたのかな、という程度にしか認識していませんでした。

(単品ダイエットは、たとえば、卵ダイエット、ヨーグルトダイエット、リンゴダイエットといった感じで、単一の食材を中心に食べるダイエット法です。もちろん医学的には不適切な方法ですが、結果として摂取総エネルギー量が少なくなれば、一時的にせよ、やせる、ということになります。)



今回の納豆ダイエットは、ホルモン系に作用して云々といった、まことしやかな説明とともに紹介されたために、信じてしまった視聴者が多数いたようです。




さて、あくまで私見ですが、いわゆる「生活情報番組」は、要注意と考えています。


健康関連番組のうちで、医療関係者の間で批判的に話題にされるのは、有名司会者によるお昼の番組です。



ただ、私の意見は、

「お昼の番組は、もともとワイドショー的な作り方であり、医学的な情報提供番組ではないことは明らか。雑学の話題を増やす程度の内容なので、それを信じて、自分の健康増進に反映させようという発想にはいたらないはず。あくまで、視聴者側の責任」

というものです。


(蛇足ですが、健康食品のアガリクスに関連して、バイブル本商法で摘発・書類送検された、某大学の先生は、このお昼の番組では常連のコメンテーターだったようです。)





誰がみてもワイドショーとして放映されている内容について、その判断は視聴者側の自己責任であると考えます。




それに対して、今回問題となった番組も含めて、いわゆる「生活情報番組」には、視聴者側の注意が必要と感じています。



夜間のプライムタイムに放映されることの多いこれらの番組は、医学や健康に関して、あたかも情報提供を目的としたような作り方になっています。


たとえば、少人数を対象にして、ちょっとした実験の真似事で、それらしいデータをとっています。


(今回の納豆ダイエットもおそらくそうでしょうけれど、)数人程度を対象に、それらしい実験結果が放映されることが多いようです。


それにもっともらしい説明が加えられ、おまけに専門家と称する人たちのコメントが放映されてしまえば、視聴者の中には信用してしまう人もいると思います。




でも、冷静になって考えれば、特定の会社がスポンサーになっている民放番組であり、視聴率が最優先されているはずです。

下請けの各番組制作会社は、限られた予算の中で、決められた締切りがあって、企画・取材・実験(データの作成)・編集などをこなしていると考えられます(TVのことはよく知らないので、あくまで想像ですが)。




結局、生活情報番組の内容から、各自にとって適切な健康情報を得ることは困難であり、放送内容については話半分程度にとらえて聞き流すほうが賢明かもしれません。





ちなみに、今回問題になった番組に関して、私はこれまでに何度か、番組制作会社から問い合わせや取材の申し込みなどを受けたことがあります。

大学に電話があったり電子メールが送られてきたり、というケースですが、もちろん、すべて断っています。
(メールについては無視しています。)


企画に無理があったり、最初に結果ありきだったりしたため、研究者として、とても協力する気にはなれない印象でした。

(番組によっても違うでしょうし、同じ番組でも制作会社で異なると思います。きちんとまじめに作られたものも少なくないと信じたいと思います。あとは、情報を受ける視聴者側の自己責任でしょうか、たとえば、少なくとも実践する前には、他の情報源で再度チェックするとか。)




一般論ですが、テレビについては、取材を受けても編集の段階でどのようになるのか、わかりません。

前後関係によっては、こちらの意図しないような使われ方もあり得ることでしょう。



テレビは影響力が大きいので、売名のためには好都合です。


実際、現実的な対応として、テレビ媒体をうまく利用するほうが、賢いやり方なのかもしれません。



しかし、研究者としてのキャリアをかけるにはリスクが大きすぎるため、私は、原則としてTVの取材は一切断っているのが現状です。

(なお、編集段階でこちらが大きく関与できる場合は、取材を受けることもありますが、そのようなケースはごくまれです。)



ところで、納豆は、健康上のメリットがいろいろと期待できる伝統食品です。

直接的な減量効果はないと思いますが、納豆については正当な評価がなされるべきと思います。

posted at 23:25 | この記事のURL
ネガティブな報道@NYタイムズ&CBSニュース [2007年01月17日(水)]
昨日(1月16日)付けのニューヨークタイムズ紙に

「サプリメントと安全性:いくつかの心配なデータ」
(原題:Diet Supplements and Safety: Some Disquieting Data)

という記事が掲載されていました。



タイトルから想像いただけるように、サプリメントについてのネガティブな内容の報道です。

(つまり、「サプリメントの服用に伴う副作用が多く報告されている」、「サプリメントについて有効性はほとんど示されていない」、といった内容です。)



きちんとした知識と情報の分析に基づく適切な問題提議であれば、もちろん大歓迎なのですが、残念ながら、この記事はそうではありませんでした。



従来、マスコミによる、この手のネガティブな報道には的外れなものが多く、少し辟易しています。


今回のNYタイムズの記事でも、極端な症例があげられたり、(研究のプロトコールに問題があるとして専門家の間では信頼性が疑問視されている)ネガティブデータのみが都合よく引用されたり、という具合です。

FDAに報告されたというだけで、因果関係の示されていない有害事象の例数も、大きく取り上げられています。


このNYタイムズの記事は、サプリメントに関して、不安をあおるような内容ですが、研究者や専門家からみれば、かなり見当外れな内容です。




たとえば、「連邦政府による研究では、セントジョーンズワートが鬱病に効かないこと」や「エキナセアが風邪に効果がないことが示された」、といった記述があります。


セントジョーンズワートが軽症から中等度のうつ病に効果があるということは、多くの臨床試験で示されています。

一方、効果がなかったとする臨床試験報告もあります。

これらの臨床試験をとりまとめて分析した総説やメタ分析では、セントジョーンズワートには一定の効果が認められています。


今回の記事で言及されたのは、数年間に発表されたある論文です。
(米国のある研究者は、この研究のことを「○○○○スタディ」と呼んでいます。○○○○は、その研究のスポンサーとなった大手製薬企業の名前です。)


エキナセアについても同様の問題があります。


その他、このライターの記述で不適切なのは、ホメオパシーのレメディで死亡例があるとか、数百例の入院事例があるとかいった箇所です。



この記事は、単なる不勉強と誤解のために誤った内容になったというよりも、もともと(理由はわかりませんが)バイアスのかかった、事実を曲解するような内容を広めるために、意図的にかかれたという印象さえ持ってしまいます。


サプリメントの安全性について、センセーショナルな内容にすることで、記事が注目されれば、このライターが最近出版した本も売れるという打算があるのかもしれません。

(実際、米国アイビーリーグの某大学がとりまとめているサプリメント研究者のためのMLでは、このエッセイの著者が最近出版した本のタイトルと出版社、PR会社の名前が暴露されていました。ある専門家は、この記事自体について、単に本を売るための宣伝と決めつけています。)


(そういえば、似たような意図で書かれた本が、日本でも出版されています。ただし、研究者からみれば、見当外れな内容の本です。)



その他、1月15日のCBS newsでは、このNYタイムズの記事と似たような内容が報道されています。



現時点では、サプリメントの規格化や診療ガイドライン作成、研究の推進といった必要性があるのは確かです。
(そのために、多くの研究者が日々、努力しています。)


一方、今回のような内容の記事は、誤解と偏見を生じるだけであり、建設的な問題提議とはいえないと思います


残念なことですが、今後も、サプリメントに関する風評被害(?) を起こすことが目的であるかのような、センセーショナルな記事が、マスコミで報道されると思います。



このような話題に関連する内容として、次のブログ記事もご参照いただけると幸甚です。



リスクコミュニケーションとサプリメント [2007年01月04日(木)]



サプリメント利用と有害事象 [2006年12月08日(金)]



不十分な内容の総説について [2006年10月13日(金)]



エキナセアの風評被害(?) [2006年08月23日(水)]



WSJのネガティブ記事に対する反応 [2006年08月09日(水)]



医薬品と副作用 [2006年07月09日(日)]



サプリメントと有害事象 [2006年07月07日(金)]



サプリメントと肝障害 [2006年07月06日(木)]
posted at 23:57 | この記事のURL
リスクコミュニケーションとサプリメント [2007年01月04日(木)]
本ブログでは、統合医療やサプリメントに関連する研究について、最新の話題を紹介することが多いと思います。


現在、サプリメントは、生活習慣病やメタボリック症候群といった病態の予防や改善を目的に、セルフケア・セルフメディケーションにおける選択肢の一つとして、広く用いられるようになりました。


そこで、本ブログで紹介する、最新の研究データが、セルフケアの一環として、サプリメントを上手に利用する際の参考になれば幸いです。




ところで、実際にサプリメントを利用する際、どのような病態に効果があったというデータだけではなく、適切な使い方(用法・用量、有害事象に対する注意)についても、考慮する必要があります。



どのような摂り方・使い方をすればいいのか、というのは、臨床試験のデータが参考になります。

ただし、欧米で行われた試験の場合、日本人よりは体重や体格の大きな被験者が対象になっていることもあります。

このような試験から得られたデータを参考にする際には、日本人とは体重が異なることを考えて、少な目に摂るほうがいい場合もあるでしょう。




また、気になるのは、サプリメント摂取に伴う体調不良です。

個人の体質によっては、サプリメントの成分があわずに、有害事象や副作用が生じる可能性も否定できません。




サプリメントには、一定の効能効果が期待できる製品がたくさんあります。

一方、同じ成分が、個人の体質の違いによって、アレルギーや過敏症に基づく症状を生じることもゼロではありません。


多くの成分では、摂取量が多くなるほど、副作用が出やすい傾向にあります。

サプリメントでは、適切な用量を超えて大量に摂取する場合に問題になります。



食品の関連では、たとえば、食塩は少量では問題ありませんが、大量に摂取すること副作用を生じます。

極端な例として、日本では、そばによるアレルギーで死亡例が報告されていますし、米国ではピーナッツアレルギーで多数の人が毎年死亡しています。


(医療用医薬品は、単一の有効成分として化学合成物質を用いることが多く、効能効果が期待できる一方で、有害事象の発生も少なくありません。)




高い安全性が求められる食品においても、潜在的に生じうる有害事象を含める場合、リスクをゼロにすることはできません。



そこで、医療従事者や研究者としては、消費者に対する「リスクコミュニケーション」が必要になってきます。


(リスクコミュニケーションという考え方は、「化学物質」を扱う企業と消費者との情報共有という視点で議論されてきました。
最近では、食品の安全に関連して、リスクコミュニケーションの在り方が注目されています。)



ただし、リスクコミュニケーションといっても、食品に分類されているサプリメントが、特にリスクが高いというわけではありません。

(食品の安全性に関するリスクコミュニケーションでは、例えば、BSEといったことが話題になってきました。)



一般に、健康食品・サプリメントでは、適切な品質管理のもとで製造された製品を、適切な用法・用量で利用する際には、重篤な有害事象は非常にまれです。



特に、通常の食品に近い成分であれば、(アレルギーや過敏症がない限り)、安全性は高いといえます。


一方、薬用植物・生薬については、リスクの管理を行いつつ、効能効果を得るために上手に利用することが必要となります。



(医療用医薬品であれば、医療消費者(患者)の体調を聞きながら、医師が責任を持って管
理します。
医療用医薬品は、サプリメント・健康食品に比べて、はるかに多くの有害事象や副作用が知られており、専門家による管理が不可欠です。
一方、サプリメント・健康食品は、医療用医薬品と比べると安全性は高いといえますが、リスクはゼロではありません。また、病気のある人がとる医薬品と、病気の予防を目的として摂るサプリメントでは、リスクに対する許容度が異なります。)



本ブログでは、サプリメント・健康食品の利用に関して、リスクコミュニケーションという視点からも私見を述べさせていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
posted at 23:24 | この記事のURL
WSJのネガティブ記事に対する反応 [2006年08月09日(水)]
今回のワシントンDC滞在中、米国大手メディアがサプリメントについてのネガティブな記事を書いているのが目にとまりました。


8月7日付のWSJ(ウォールストリートジャーナル)紙に掲載された、

「No 'Alternative'」

という記事です(Page A12)。


記事では、
「多くの米国人がサプリメントを利用しているが、科学的根拠は十分とはいえない」として、
今年前半に発表された「関節炎に対するグルコサミン・コンドロイチン」や「前立腺肥大症に対するノコギリヤシ」についての臨床試験を取り上げています。

いずれも、ネガティブデータ(つまり、効果が明らかではないデータ)ということで紹介されていました。


しかし、これらのネガティブデータは、ハーブやサプリメントの研究者の間では、妥当性に関して議論のあるものです。
グルコサミン・コンドロイチンの試験では、サブグループで有意な効果が示されています。
ノコギリヤシの試験については患者の重症度や用法・用量についての批判があります。
(これらは、拙著で詳述しています。)

さらに、記事では、セントジョーンズワートと医薬品との相互作用による有害事象の発生など(数年以上前に専門家の間で問題になった、あまり新しくない話題)についても言及されています。


(現在、ハーブと医薬品の相互作用については、さまざまな知見が収集されつつあります。
セントジョーンズワートと医薬品の相互作用については、分子メカニズムも解明されつつあり、さらに性差も示されています。この数年で大きく研究が進展した分野の一つです。
つまり、WSJのように「有害事象が発生したから利用するのは危険」というのは数年以上前の話であり、現在では、「サイエンスの進歩によって、適切な用法・用量についての知見が集積している」、というのが正しいと思います。)



また、グルコサミン・コンドロイチンやノコギリヤシについては、効果のあったという臨床試験も多くあります。
各種の総説・レビュー論文でも、全体的な判断としては、効果がある、と考えられています。
ただし、適切な用法・用量については、まだ議論の余地がありますし、投与した患者全員に効果があるわけでもありません。

現在のところ、さらに研究が必要である、というスタンスになっています。


その他、この記事では、サプリメント以外の代替医療についても触れられています。


残念ながら、WSJのこの記事は、読者に対して、サプリメントや代替医療について否定的な印象を与えてしまうように感じられます。

(もちろん、代替医療に対する過度な期待や、サプリメントの間違った利用法もみられますので、これらを是正するためには、このような記事も必要ではあります。)



ところで、この記事に対する、米国の某医療従事者の反応は、次のようなものでした。
[ウォールストリートジャーナル。。。。大製薬企業の広告塔。。。。]


つまり、
[サプリメントは、非製薬企業による製品であり、予防医学や健康増進に対して用いられる。したがって、大製薬企業の利害とは対立することもあるため、WSJ紙がバイアスのある記事、サプリメントや代替医療に対するネガティブニュースを報道することは特に驚きではない]
という推測です。



これまでの研究によって、主流医学雑誌に掲載された医学論文自体に、すでに、さまざまなバイアスがあることはよく知られています。
新聞記事などメディアは、これらの、すでにバイアスのある論文をもとにして、報道を行ってしまうわけです。
この場合、記事の読み手は、「事実」からますます遠ざかってしまいます。



なお、医療用医薬品とサプリメントを比べると、サプリメントの多くでは、有効性や安全性に関する科学的根拠やデータが十分ではないのも確かです。

やはり、地道に研究を推進して行くことが、サプリメントを利用した統合医療の確立に必須であると考えられます。



公正中立的なメディアの存在が好ましいのですが、実際には、メディアの記事にもさまざまなバイアスがあります。

健康情報のあふれる昨今、情報の受け手である私たちにも注意が必要ですね。
posted at 23:14 | この記事のURL
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医学博士 蒲原聖可
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