サプリメントと医薬品の組み合わせについてのテーマでは、サプリメント・健康食品が医薬品の効果を減弱させる、というネガティブな話題がよく取り上げられます。
しかし、実際には、このようなケースは非常にまれです。
(非常にまれであるので、症例報告になり、文献上、データベース化されますが、リアルワールドとの乖離があります。)
むしろ、日常臨床の現場では、生活習慣病の医薬品を服用中の患者において、医薬品の作用により、さまざまなビタミンやミネラル、コエンザイムQ10といった重要な成分が減少してしまっています。
そして、これらの必須微量栄養素が潜在的に不足している結果、いろいろな不定愁訴や病態が生じているのです。
これまでに、多くの研究によって、医薬品服用によるビタミンやミネラル、コエンザイムQ10の喪失や減少が報告されてきました。
そこで、
生活習慣病の医薬品を服用中の場合、栄養素の喪失や不足に対する保険的な意味合いで、栄養素の充足を担保するために、次のサプリメントの併用が必要です。
具体的には、
次のサプリメントを摂るようにしましょう。
@マルチビタミン、
Aマルチミネラル、
BコエンザイムQ10
(LDLコレステロール降下薬のスタチン剤の服用中には必須です。)
Cオメガ3系必須脂肪酸(EPA、DHA)
EPA
DHA
DビタミンD3サプリメント
Eプロバイオティクス
乳酸菌EC-12 30日分 5,000億個以上の乳酸菌で好調環境キープと元気な毎日を!
ビフィズス菌+オリゴ糖
なお、これらは、健康増進や疾病予防のために、年齢や性別に関わりなく推奨できるベーシックサプリメントでもあります。
次に、代表的な医薬品と、それに伴う栄養素の喪失との関係を紹介します。
@プロトンポンプ阻害薬(PPI)(オメプラール、オメプラゾン、タケプロン)
PPIは、ビタミンB12、ビタミンC、鉄、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、βカロテンなど多くの栄養素を減少します。
PPIは6週間以内の投与であれば、特定の疾患に対する効果が期待できます。
しかし、長期に投与することはありえず、PPIの長期投与により、あらゆる栄養素が失われ、それによる体調不良や疾患リスクの上昇が生じます。
統合医療に関わる米国の医師は、Bad drugと呼んでいました。
A利尿剤
チアミン(ビタミンB1)、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ビタミンK、葉酸、鉄を減少します。
特に、利尿剤によるチアミン(B1)の減少は問題で心不全症状を呈することもあります。
また、葉酸の喪失は、動脈硬化や認知症のリスクになります。
Bスタチン剤(リピトール、クレストール、メバロチン、リポバスなど)
コエンザイムQ10、ビタミンE、βカロテンを減少します。
特に、スタチン投与によって、内在性コエンザイムQ10が減少することが、ミトコンドリア機能の異常を生じ、筋症状や肝障害を生じることが示唆されています。
したがって、米国の家庭医や循環器専門医であれば、スタチン服用中の患者には、コエンザイムQ10サプリメントを摂るように伝えています。
(肝臓において、LDLコレステロールとコエンザイムQ10の生合成経路は途中まで同じであり、スタチンによって、両方の生合成が阻害されます。)
Cメトホルミン
ビタミンB12、葉酸、(コエンザイムQ10)
Dβブロッカー
コエンザイムQ10、メラトニンを減少します。
EACE阻害剤
亜鉛を喪失します。
F経口避妊薬
ビタミンB6、B12、葉酸、ビタミンC、ビタミンE,カルシウム、マグネシウムを減少します。
GSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
カルシウムやビタミンDが減少します。
(なお、医薬品服用中にサプリメントを摂る場合には、主治医に報告してください。
万が一、医薬品の副作用として、微量必須栄養素やコエンザイムQ10の低下を知らない医者であれば、主治医を変えることをお勧めします。)
(かかりつけ薬局の薬剤師であれば、知っている確率が高いと思われます。)
上記のように、高血圧や糖尿病、脂質異常症に対して長期に投与される医薬品は、ビタミンやミネラル、コエンザイムQ10といった重要な成分を喪失・減少します。
生活習慣病の治療薬は継続した服用が必要ですが、同時に、マルチビタミン、マルチミネラル、コエンザイムQ10といったサプリメントは併用が必要です。
医薬品を服用中に、ビタミン類など栄養素の不足による症状を呈する症例は、よく経験されます。
例えば、次のような例があります。
・57歳女性、高血圧で利尿剤、骨粗鬆症でフォサマック、頻脈性不整脈にβブロッカーを近医から投与されていた。
・疲労、不安、うつ、不眠などを訴えて当院受診。
⇒投与されている3種類の医薬品により、ビタミンやミネラルが喪失・減少したことによる精神神経症状、不定愁訴と考えて、ビタミンとミネラルサプリメントを追加し、症状が軽快。
(マグネシウム、亜鉛、ビタミンB群の追加で症状改善)
(なお、これに対して、抗うつ剤などを追加するのは逆効果です。)
医薬品の添付文書には記載されていないことが多いのですが、代表的な医薬品と、それによる栄養素の喪失・欠乏について、まとめました。
高血圧治療薬
ALLHAT研究の結果、ACE阻害剤やカルシウムブロッカーよりも、利尿剤のほうが心血管イベントを低下することが示されて、利尿剤が降圧剤として処方されます。
しかし、利尿剤は、マグネシウム、カリウム、亜鉛、ビタミンB群を体内に排泄してしまいます。
多くの研究によって、利尿剤の服用中の患者で、これらの栄養素が減少していることが示されています。
利尿剤服用中の患者に対しては、
カルシウム、
マグネシウム、
ビタミンC、
ビタミンB1(チアミン)
ビタミンB6、
亜鉛
のサプリメントが必要です。
βブロッカー
βブロッカーは、内在性のコエンザイムQ10を減少させるため、コエンザイムQ10サプリメントの併用は必須です。
なお、メラトニンも減少します。
コレステロール低下薬
LDLコレステロール低下効果のあるスタチン剤は、広く処方されています。
(世界中でベストセラーの医薬品です。)
スタチン剤は多彩な効果があり、有用性が確立しています。
その一方で、多くの副作用も知られています。
スタチン剤は、内在性のコエンザイムQ10の合成を阻害し、低下させます。
このことが、ミトコンドリア機能の低下を生じ、疲労感や筋障害、肝障害などの副作用の原因ともなっています。
したがって、リピトールやクレストール、メバロチンなどのスタチン剤を服用中の場合には、コエンザイムQ10サプリメントの併用は必須です!!!
制酸剤:H2ブロッカー、PPIなど
制酸剤は、GERDや消化性潰瘍に対して処方されます。
このタイプの医薬品は、さまざまな栄養素の吸収を阻害し、栄養素の不足を生じることがわかっています。
PPIもH2ブロッカーも、高齢者において、ビタミンB12の欠乏を生じます。
(B12吸収には胃の内因子が必要です。)
また、胃酸の欠乏によって、
葉酸、鉄、亜鉛の吸収が阻害されます。
PPIを1年以上の長期間投与されている患者では、
対照群に比べて、
大腿骨骨折のリスクが2.5倍になるとう報告もあります。
(そもそもPPIは長期に投与するべきではありませんが。)
PPIは、多くのビタミンやミネラルの吸収を阻害するため、長期の服用は避けるべきですし、そもそも必要のない医薬品です。
(世の中には、必要のない医薬品がまだまだたくさんあります。)
制酸剤を服用している患者では、
ビタミンD3、
ビタミンB12、
亜鉛
をサプリメントで摂りましょう。
糖尿病治療薬;経口血糖降下薬
メトホルミンは、優れた医薬品ですが、葉酸やビタミンB12欠乏を生じます。
先行研究では、
メトホルミン投与中には、
血中葉酸値が7%減少、
ビタミンB12が14%減少という報告があります。
葉酸ややB12の低下は、高ホモシステイン血症を生じ、動脈硬化や認知症のリスクとなります。
また、
メトホルミンは、コエンザイムQ10も低下させることが示唆されています。
したがって、メトホルミン服用中の糖尿病患者では、
葉酸サプリメント、
ビタミンB12サプリメント、
コエンザイムQ10サプリメントの併用は必須です。
抗うつ剤
SSRIが働くためには、ビタミンB群が必要であり、ビタミンBの併用がおすすめです。(SSRIがビタミンBを減らすわけではありません。)
ホルモン補充療法や経口避妊薬を摂っている女性では、
カルシウム、
葉酸、
マグネシウム、
ビタミンB2、
ビタミンB6、
ビタミンB12、
ビタミンC
亜鉛
が推奨できます。
抗生物質
抗生物質は、ビタミンB群(B1, B2, B3, B5, B6, B12)、ビオチン、イノシトール、ビタミンKの減少を生じます。
また、抗生物質の種類によっては、カルシウムやマグネシウム、葉酸を減少させる場合もあります。
したがって、
抗生物質の服用中には、
ビタミンB群サプリメント(ビタミンBミックス)やマルチビタミンサプリメントの併用は必須です。
マルチビタミンに加えて、
カルシウムマグといったミネラルサプリメントも推奨できます。
抗生物質による腸内フローラへの悪影響を考えると、
各種の乳酸菌、プロバイオティクスの併用は必須です。
以上のように、
生活習慣病や慢性疾患に対して、広く利用されている医薬品を服用中の患者では、
各種のビタミンやミネラルといった必須栄養素が検証し、、コエンザイムQ10といった機能性成分が減少します。
医薬品とサプリメントの併用という分野では、
相互作用による有害事象が話題になってきました。
しかし、日常臨床の現場では、
相互用による有害事象の発生は非常にまれであり、
むしろ医薬品の服用による栄養素の喪失が健康上の問題となっています。
まとめです。
生活習慣病や慢性疾患に対する医薬品服用は、ビタミンやミネラル、コエンザイムQ10の喪失や減少を生じます
ビタミンやミネラル、コエンザイムQ10の潜在的不足の結果、
疲労感や倦怠感といった不定愁訴、気分感情障害、筋肉痛などを生じます。
そこで、
生活習慣病の医薬品を服用中の場合、栄養素の喪失や不足に対する保険的な意味合いで、栄養素の充足を担保するために、次のサプリメントの併用が必要です。
@マルチビタミン、
Aマルチミネラル、
BコエンザイムQ10
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EPA
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