栄養学の専門ジャーナルに、コレウス・フォルスコリエキス含有サプリメントの安全性に関するオンライン調査が、国立栄養研のグループから報告されていました。
(Nutrients. 2019 Apr 17;11(4))
学名コレウス・フォルスコリ
Coleus forskohliiは、南アジアに自生するシソ科の植物です。
(
DHCでは「フォースコリー」として製品化しています。)
インドでは、食経験の豊富な食材として用いられています。
(根がピクルスなどとして利用されてきました。)
主な成分として、ジテルペン類のフォルスコリンforskolinが含まれています。
フォルスコリンには脂肪分解促進作用があり、米国や本邦では、コレウス・フォルスコリ抽出物が体重調節のための機能性食品成分として利用されています。
(なお、植物としてのコレウス・フォルスコリには、フォルスコリン以外にも有用成分が存在しており、それらのシナジーでサプリメント摂取時に効果が示されます。
単に、試薬としてのフォルスコリンを摂る、というのとは異なります。)
DHCでも臨床研究を実施し、有効性と安全性を確認しています。
DHCによる研究を報告した英文原著論文はこちらです。
また、
「コレウス・フォルスコリによる抗肥満作用:レビュー」としてもまとめています。
(原題:An evidence-based review: Anti-obesity effects of Coleus forskohlii)
さらに、日本のダイエットサプリメントに関するレビュー論文(大阪大学のグループによる総説)にも、DHCによる原著論文がエビデンスとして収載されています。
(
レビュー論文はこちらです。オープンアクセスで無料です。)
さて、今回の研究は、国立栄養研のオンライン調査です。
(ちなみに、国立栄養研は、素材データベースを公開しているところで、
このデータベースは、米国の商業データベースから孫引きをして、いろいろと数値を間違って引用していました。
その後、自分たちで論文を追加した結果、いろいろなデータが羅列されており、結局、何が言いたいのかよくわからないサイトになっています。
もともと中毒学の専門家が担当していますので、適正使用による健康増進/未病改善/補完療法としての臨床的意義の啓発、といった視点が全く欠けています。)
今回の研究では、市販後の製品を対象に、全国でのオンライン調査として、
コレウス・フォルスコリエキス(Coleus forskohlii extract, CFE)の摂取と、有害事象の頻度が調べられています。
オンライン調査ですので、母集団から絞り込みが行われ、
最終的には715名のデータが解析の対象となりました。
対象者の多くは、30代から50代の男性、30代と40代の女性でした。
自己申告での有害事象の発生率は、
75名(10.5%)でした。
(男性9.5%、女性11.3%です。)
有害事象の多くは胃消化管系の症状です(69名、92.0%)
下痢が61名(81.3%)でした。
下痢は、CFEの用量との相関が認められています。
(p = 0.005)
有害事象の抑制の点からの用量は、250mg/日以下が、許容性が高いと考えられる一方、
有効性を考えると、500mg/日までは受容範囲とも考察されています。
ただし、しょせん、某商業サイト/通販モールサイトを使ったオンライン調査ですので、
結論は出されていません。
さすがに、サプリメント・健康食品の安全性や有効性について、オンライン調査で論文にしてしまうのは、驚きです。
何か、特定の意図があるのかと思ってしまいます。
ちなみに、この論文では、私が発表した論文も、作用メカニズムの考察のところで、引用されています。
さて、DHCでは、倫理委員会の承認を受け、UMINに事前に登録し、きちんとした臨床試験を複数回、実施して、DHC製品である「フォースコリー(コレウス・フォルスコリエキス含有サプリメント)」の有効性と安全性を確認しています。
例えば、
健康な成人男女12名(男性5名、女性7名、平均年齢32±2.3歳)を対象に、
1日あたり1,000mgのコレウス・フォルスコリエキス末(フォルスコリンを10%含有、1日あたり4粒)を8週間投与した臨床研究では、
体重の有意な減少(p<0.005)、体脂肪量の有意な減少(p<0.005)を認めました。
この研究は、米国生薬学会で発表し、
査読のある専門誌に、英文原著論文としても報告しています。
(
DHCによる研究を報告した英文原著論文はこちらです。)
さらに、日本のダイエットサプリメントに関するレビュー論文(大阪大学のグループによる総説)にも、DHCによる原著論文がエビデンスとして収載されています。
(
レビュー論文はこちらです。オープンアクセスで無料です。)
安全性について:
海外で行われた臨床研究では、重篤な有害事象や副作用は示されていません。
国内の臨床研究では、被験者の一部において一過性の軟便や鼓腸といった軽度の消化器症状が認められています。
コレウス・フォルスコリエキス末の安全性を調べる目的で行われた漸増試験では、軟便、下痢、鼓腸が示されました。
これらの症状の程度における用量依存性は明確ではなかったことから、消化器症状の発現の有無は、個人の体質や体調によるところが大きいと考えられます。
また、消化器症状の発現と体重の変化との間に相関は認められていません。
したがって、コレウス・フォルスコリエキスによる体重および体脂肪の減少効果は、軟便や下痢といった消化器系への作用とは別の作用部位における機序と考えられます。
(つまり、下痢をするから、見かけ上、体重が減る、というのではなく、体脂肪の減少による減量効果です。)
なお、軟便や下痢といった消化器症状は、摂取継続中に消失・自然軽快、あるいは、摂取終了後、数日以内に消失・自然軽快の経過となっています。
(漸増試験で認められた消化器症状は、軟便、下痢、鼓腸のみであり、いずれも軽度でした。腹痛や下血、イレウスなどは認められていません。また、消化器症状以外の症状も示されませんでした。)
したがって、コレウス・フォルスコリの摂取時には、
最初から、最大の摂取目安量(4粒)を、一度にまとめて摂るのではなく、
少量(1粒あるいは2粒)から開始して、各自の体質に合っているかどうか、確認しながら上手に利用することが好ましいと考えます。
(ちなみに、フォースコリーをダイエットではなく、便通改善のために利用している場合もあります。)
(コレウス・フォルスコリ摂取時に認められる軟便などのメカニズムは、腸管粘膜細胞におけるCFTRを介した働きが考えられています。
コレウス・フォルスコリによるcAMP上昇が、体脂肪組織にて働く場合に抗肥満作用となり、腸管で働く場合に、イオン交換により腸管内腔への水分泌を生じると推定されます。)
コレウス・フォルスコリ摂取に伴う抗肥満作用および消化器症状の発現頻度や程度には個人差があることから、レスポンダーとノンレスポンダーの存在が示唆されます。
まとめ:
肥満の改善や予防には、適切な食事と運動による生活習慣の見直しが最も重要です。
食事療法は、低エネルギー食・低脂肪食が基本ですが、インスリン抵抗性を示す場合には糖質制限食も選択肢となります。
また、肥満関連遺伝子変異を測定し、疾病感受性を知ることも容易に行うことができるようになりました。
コレウス・フォルスコリなど、肥満に対するサプリメント・機能性食品は、これらの統合医療的アプローチの組み合わせの中で、選択肢の一つとして補完的に用いることができます。
DHCでは、コレウス・フォルスコリ含有サプリメント(フォースコリー、ダイエットパワー)に関する臨床研究の成果を発表しています。
「フォースコリー」の体重減少効果
「フォースコリー」の安全性に関する検証
肥満に対するDHCのアプローチ
「フォースコリー」の安全性
拙稿「メディカルサプリメント」の掲載誌@医と食 vol.5, No.5
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DHCは、トータルヘルスケア企業として地方自治体と連携し、健康づくり事業に取り組んでいます。ふるさと納税にも協力し、地方創生を支援しています。
地域での健康長寿社会の実現に、DHCとして貢献できるように努めています。
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