米国で解熱鎮痛薬のトップブランドといえば、タイレノール(Tylenol)です。米国の他、世界主要国40カ国以上で発売されています。
ただし、日本で認可されたのは、数年ほど前です。
日本での発売時、「バファリンさん、ごめんなさい」「イブさん、すみません」といったコピーの広告で話題になりました。
タイレノールの有効成分は、日本でも米国でも同じくアセトアミノフェン(化学名N-アセチル-p−アミノフェノールacetyl-p-aminophenol)です。
タイレノールは中枢神経系に作用して、痛みや熱を緩和する優れた市販薬です。
また、胃を保護するプロスタグランジンへの影響が少ないため、空腹時に服用することができます。
タイレノールは、米国では、アスピリンやイブプロフェンよりもよく利用されており、米国人の5人に1人が毎週利用している、という調査もあります。
一方、タイレノール服用時には肝臓障害という副作用が知られており、特に、過剰摂取による重篤な肝臓障害が問題となっています。
「JAMA(米国医師会ジャーナル)」の今週号(06年7月5日号)に、米国ノースカロライナ大学のグループから、
高用量のアセトアミノフェン投与が肝障害を生じるという研究データが発表されています。
研究では、健康な成人に対して、1日あたり4グラムのアセトアミノフェンが2週間投与され、偽薬などとの比較が行われました(偽薬群、acetaminophen/opioid併用群、acetaminophen単独投与群での比較)。
アセトアミノフェン4グラムというのは、米国で販売されている‘extra-strength Tylenol’の8錠に相当する量で、1日あたり最大の用量になります。
その結果、偽薬群では肝機能は正常範囲内であったのに対して、アセトアミノフェンを投与した群では、肝障害の指標であるALT値が上昇したということです。
アセトアミノフェンは、市販の解熱鎮痛薬であり、利用者が多いため、肝障害を生じる医薬品の代表です。
(なお、日本でのタイレノールの有効成分は、米国と同じですが、厚生労働省の定めた基準により、アセトアミノフェンの含有量及び用法・用量が異なります。)
もちろん、アセトアミノフェンを服用しなければ、このような問題は生じないのですが、どうしても利用したいという状況もあるかもしれません。
このようなとき、医薬品のような化学物質による肝障害を防ぐハーブサプリメントとして、
マリアアザミの併用が推奨できます。
肝臓を守るサプリメントとして、日本で認知度が高いのは、
ウコンでしょう。
ウコンは抗酸化作用があり、
クルクミンについての基礎研究も多く報告されています。
一方、欧州で利用されてきた肝臓保護のためのハーブは、
マリアアザミです。
マリアアザミは、化学物質による肝障害から肝臓を守るハーブとして、欧米で広く利用されています。予備的な臨床試験も報告されており、肝臓保護作用が示されてきました。
肝臓に負担をかけるアセトアミノフェンなどを服用する際には、
マリアアザミとの併用が推奨できます。