サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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マリアアザミによる非アルコール性脂肪性肝炎の改善作用 [2014年02月07日(金)]
マリアアザミ投与による非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の改善効果を示した臨床研究が、イランのグループ(Arak University of Medical Sciences)から報告されていました。
(Caspian J Intern Med. 2014 Winter;5(1):9-12.)





近年、生活習慣の変化や肥満の増加とともに、

アルコールの摂取量が少ない人に見られる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の病的意義が注目されています。



非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、

単純性脂肪肝と

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:Non-alcoholic steatohepatitis)に分けられ、

後者は肝硬変や肝がんへの進行リスクが問題となります。





マリアアザミ(英名Milk thistleミルク・シスル,学名Silybum marianum)では、種子の抽出物に含まれるシリマリンsilymarinによる肝臓保護作用を示した研究が知られており、肝臓対策のハーブサプリメントとして広く利用されています。





さて、

今回の研究では、

マリアアザミの成分であるシリマリンのNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)に対する有効性が検証されました。




具体的には、

NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)患者64名を対象に、


・1日あたり210mgのシリマリン投与群(33名)、

・対照群(31名)

の2群について、8週間の試験が行われています。


(対象者は、腹部超音波検査で診断され、かつ、過去6ヶ月間、肝逸脱酵素であるASTとALTが正常上限値の1.2倍を超えているNASH患者です。)


両群とも、

4kgまでの減量のために、

低脂肪・低炭水化物食と適度な運動による介入も行われました。



被験者は、

年齢:シリマリン群43.6±8.3歳、偽薬群39.4±10.5、

BMI:シリマリン群27.4±1.7、偽薬群27.5±1.9

体重:シリマリン群79±9.2kg、偽薬群76.9±9.5 kg

です。






解析の結果、

まず、

ALT値は、

マリアアザミ群では投与前91.3±21.3、投与後38.4±11.8でした。




一方、

投与群では、

投与前84.6±23.3、投与後52.3±29でした。





AST値でも同様の傾向が認められています。





両群の比較から、

シリマリン投与群のほうで、肝機能の改善が顕著でした。






以上のデータから、

シリマリン含有マリアアザミ投与によるNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)に対する効果が示唆されます。



今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。





なお、アルコール対策として日本で用いられているのは、ウコンです。



ウコン製品では、高吸収タイプ・即効性のものもあります。



欧米のハーブ療法で肝臓対策のエビデンスがあるのはマリアアザミになります。







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マリアアザミの抗ウイルス作用 [2011年03月10日(木)]
今月の生薬学の専門ジャーナル(電子版)に,マリアアザミによる抗ウイルス作用を示した基礎研究が報告されていました。
(Phytomedicine. 2011 Mar 4.)



マリアアザミ(英名Milk thistleミルク・シスル,学名Silybum marianum)に関しては,種子の抽出物に含まれるシリマリンsilymarinによる肝臓保護作用を示した研究が知られており,肝臓対策のハーブサプリメントとして広く利用されています。




今回の研究では,シリマリンによるインフルエンザAウイルスに対する作用が調べられています。


具体的には,MDCK細胞を用いて,インフルエンザAウイルス(A/PR/8/34)のmRNA合成に対するシリマリンの影響が測定されました。


解析の結果,シリマリンによる抗インフルエンザウイルスA/PR/8/34作用は98%に達し,かつ,100μg/mLでも細胞毒性は見出されていません。


このとき,インフルエンザ治療薬のオセルタミビル(oseltamivir)では,52%の抗ウイルス活性でした。


シリマリンによる抗ウイルス作用のメカニズムとして,ウイルスのmRNA合成阻害が見出されています。



以上のデータから,シリマリンによる抗インフルエンザ作用が示唆されます。



今後,臨床的意義の検証が期待される分野です。



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マリアアザミ成分についての第1相試験 [2009年10月27日(火)]
今月の臨床薬理学の専門ジャーナル(電子版)に,マリアアザミの有効成分であるシリマリンに関する第1相臨床試験が米国のグループから報告されていました。
(J Clin Pharmacol. 2009 Oct 19.)



マリアアザミ(学名Silybum marianum)は,肝臓保護作用を有する生薬の1つで,主要成分としてシリマリンの存在が知られています。


予備的な臨床研究では,ウイルス性肝炎などの肝障害に対する効果が示唆されてきました。




今回の研究では,C型肝炎に対するシリマリンの経口投与における安全性と用量依存性が検証されています。



具体的には,C型肝炎患者8名を対象に,シリマリン(140mg,280mg,560mg,700mg)あるいは偽薬が8時間毎に7日間投与されました。

(なお,対象者は,肝硬変ではなく,また,インターフェロンによる治療では改善しなかった患者とされています。)



解析の結果,シリマリンの用量が5倍になった時,silybin A と silybin Bはそれぞれ11倍と38倍になったことから,非線形性の薬物動態が示唆されています。


このとき,シリマリン投与に関連した有害事象は認められていません。


また,血中トランスアミナーゼやHCV RNA値について,臨床的に有意な変化は認められませんでした。




以上のデータから,論文著者らは,1日あたり2.1グラムまでのシリマリンの経口投与は許容性が高いと考察しています。



非線形性の動態が示唆されていることから,今後,バイオアベイラビリティを含めた臨床的意義の検証が期待されます。




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posted at 23:56 | この記事のURL
マリアアザミによる脳での抗酸化作用 [2007年02月03日(土)]
肝機能を保護するためのサプリメントとして、マリアアザミ(別名オオアザミ、学名Silybum marianum、英名Milk thistle)があります。

肝機能保護というと、日本ではウコンが有名ですが、欧米ではマリアアザミのほうがよく知られています。

マリアアザミの有効成分は、シリマリンsilymarinです。



イタリアの大学による基礎研究において、マリアアザミ由来のシリマリンが脳における酸化障害を抑制するというデータが示されました。


脳における酸化障害は、加齢による脳機能の低下に関係すると考えられています。


すでに、イタリアのグループは、アセトアミノフェンの過剰投与によってラットの脳におけるグルタチオンレベルが顕著に低下することを示しています。

(グルタチオンは酸化障害を抑える働きがあるので、グルタチオン濃度が低下するのは好ましくない影響です。)
(なお、アセトアミノフェンは、鎮痛薬の成分として広く利用されています。)


今回の研究では、アセトアミノフェンによって誘導される障害について、ラットの脳におけるシリマリンの作用が検証されています。

実験では、Wistar雄ラットに対して、シリマリン(200 mg/kg/日)が3日間経口投与され、3日目にアセトアミノフェンを単回投与(3g/kg)した群と非投与群とで比較が行われました。

酸化障害に関連する指標として、酸化型(GSSG)および還元型グルタチオン(GSH)、アスコルビン酸、SOD活性、MDA値などが測定されました。

その結果、アセトアミノフェン投与によって、GSH、アスコルビン酸、SOD活性の有意な減少、MDAとGSSGの増加が認められました。

一方、シリマリンを経口投与した群では、GSHとアスコルビン酸の値が有意に上昇し、SOD活性が有意に亢進しています。
(シリマリン+アセトアミノフェン投与群では、対照群に比べてGSH値が有意に増加。)



以上のデータから、マリアアザミ由来のシリマリンによる抗酸化作用が示唆されました。


マリアアザミについて、ヒト臨床試験では肝機能を評価するものが多いのですが、今後、中枢神経系に対する働きの解明も期待されます。
posted at 23:52 | この記事のURL
マリアアザミと2型糖尿病 [2006年10月31日(火)]
マリアアザミは、肝臓の健康維持を目的として広く用いられているハーブです。

薬剤性肝障害、慢性肝炎、肝硬変、アルコール性障害などに対する臨床試験が知られています。



最近報告された研究では、マリアアザミによる2型糖尿病の改善作用が示されました。


薬用植物の専門ジャーナルに発表された臨床試験によると、2型糖尿病患者51名を対象に、@200mgのシリマリンを含むマリアアザミ(n=25)、あるいはA偽薬(n=26)が、1日3回、4ヶ月間投与されました。

その結果、偽薬群に比べて、マリアアザミ投与群では、HbA1c、空腹時血糖、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、GOT、GPTが有意に低下した、ということです。


ただし、マリアアザミが2型糖尿病を改善するメカニズムは明らかではありません。




2型糖尿病の予防および治療の基本は、適切なライフスタイル(食事療法と運動療法)です。

また、必要に応じて、医薬品による治療が行われます。

サプリメントの中では、2型糖尿病における血糖値の改善作用について有効性が示されている成分がいくつか知られています。


マリアアザミによる2型糖尿病への有効性を示唆した、今回の臨床試験は非常に興味深いものです。

ただし、作用メカニズムの検証も含めて、有効性の確認のためには、さらに研究が必要と考えられます。
posted at 23:55 | この記事のURL
肝臓を守るハーブ・マリアアザミ [2006年07月05日(水)]
米国で解熱鎮痛薬のトップブランドといえば、タイレノール(Tylenol)です。米国の他、世界主要国40カ国以上で発売されています。

ただし、日本で認可されたのは、数年ほど前です。
日本での発売時、「バファリンさん、ごめんなさい」「イブさん、すみません」といったコピーの広告で話題になりました。

タイレノールの有効成分は、日本でも米国でも同じくアセトアミノフェン(化学名N-アセチル-p−アミノフェノールacetyl-p-aminophenol)です。

タイレノールは中枢神経系に作用して、痛みや熱を緩和する優れた市販薬です。
また、胃を保護するプロスタグランジンへの影響が少ないため、空腹時に服用することができます。
タイレノールは、米国では、アスピリンやイブプロフェンよりもよく利用されており、米国人の5人に1人が毎週利用している、という調査もあります。

一方、タイレノール服用時には肝臓障害という副作用が知られており、特に、過剰摂取による重篤な肝臓障害が問題となっています。

「JAMA(米国医師会ジャーナル)」の今週号(06年7月5日号)に、米国ノースカロライナ大学のグループから、高用量のアセトアミノフェン投与が肝障害を生じるという研究データが発表されています。
研究では、健康な成人に対して、1日あたり4グラムのアセトアミノフェンが2週間投与され、偽薬などとの比較が行われました(偽薬群、acetaminophen/opioid併用群、acetaminophen単独投与群での比較)。

アセトアミノフェン4グラムというのは、米国で販売されている‘extra-strength Tylenol’の8錠に相当する量で、1日あたり最大の用量になります。

その結果、偽薬群では肝機能は正常範囲内であったのに対して、アセトアミノフェンを投与した群では、肝障害の指標であるALT値が上昇したということです。

アセトアミノフェンは、市販の解熱鎮痛薬であり、利用者が多いため、肝障害を生じる医薬品の代表です。
(なお、日本でのタイレノールの有効成分は、米国と同じですが、厚生労働省の定めた基準により、アセトアミノフェンの含有量及び用法・用量が異なります。)

もちろん、アセトアミノフェンを服用しなければ、このような問題は生じないのですが、どうしても利用したいという状況もあるかもしれません。

このようなとき、医薬品のような化学物質による肝障害を防ぐハーブサプリメントとして、マリアアザミの併用が推奨できます。

肝臓を守るサプリメントとして、日本で認知度が高いのは、ウコンでしょう。
ウコンは抗酸化作用があり、クルクミンについての基礎研究も多く報告されています。

一方、欧州で利用されてきた肝臓保護のためのハーブは、マリアアザミです。
マリアアザミは、化学物質による肝障害から肝臓を守るハーブとして、欧米で広く利用されています。予備的な臨床試験も報告されており、肝臓保護作用が示されてきました。

肝臓に負担をかけるアセトアミノフェンなどを服用する際には、マリアアザミとの併用が推奨できます。
posted at 23:02 | この記事のURL
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