キトサン・サプリメントの安全性を検証した臨床研究がフィンランドの研究グループから発表されていました。
(J Am Coll Nutr 2008. 27: 22-30.)
キトサンは、肥満・メタボリック症候群対策のサプリメントに利用される成分です。
動物実験では脂質吸収抑制作用が示されていますが、ヒト臨床研究では明確ではなく、別の作用機序の存在が示唆されます。
キトサンに関する臨床試験をまとめたレビュー論文では、抗肥満・血圧改善・脂質異常症改善が示唆されていますが、臨床的意義については、さらに検討が必要とされています。
さて、今回の臨床研究では、キトサン摂取による脂溶性ビタミン値への影響を検討するために、2種類の用量にて検討が行われました。
(キトサンは、理論的に脂溶性ビタミンの吸収を抑制することが推定されるため、キトサンの安全性を確認するために計画された研究です。)
男女65名を対象に、1日あたり0、4.5、6.75グラムのキトサン錠、あるいは6.75グラムのグルコマンナンを8週間投与した偽薬対照並行群間比較試験です。
その結果、血中ビタミンA、ビタミンE、ビタミンD(25-hydroxyvitamin D)、αカロテン、βカロテンに関して、両群間に有意差は認められませんでした。
したがって、キトサンが脂溶性ビタミン類の吸収に有意な影響を与えることはないと考えられます。
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