サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

2008年07月  >
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
丸尾 歩
リンゴによる抗がん作用 (12/08)
最新トラックバック
海水成分によるアトピー性皮膚炎の改善 [2008年07月31日(木)]
皮膚科学の専門誌に、海水に由来する成分によるアトピー性皮膚炎の改善作用を示した研究が報告されていました。
(Int J Dermatol. 2005;44:151-7.)


一般に、海水に豊富に含まれるマグネシウム塩は、炎症性疾患に対して好ましい作用を示すことが知られています。


この研究では、死海の深層から採取された塩化マグネシウムの豊富な塩を用いて、アトピー性皮膚炎に対する効果が検討されました。

被験者は、アトピーよる乾燥肌の症状を呈しています。

実験の方法は、死海由来の塩を5%含む溶液(bath solution)に、片方の腕を15分間浸し、対照として、もう片方の腕を水道水に浸すというものです。

乾燥肌およびバリア機能の指標として、実験の前後(実験前と1−6週間後)で、経皮水分蒸散量(TEWL)、皮膚の水分量や肌質、発赤の程度などが測定されました。

その結果、試験前にTEWLが高値であったサブグループにおいて、水道水に比べて、死海の海水由来成分による皮膚バリア機能の有意な改善が認められたということです。


また、いずれのサブグループにおいても、皮膚の水分量は、水道水に比べて、海水に浸した群で増加しており、保湿効果が示唆されます。

さらに、海水による肌質や発赤の改善も認められました。


以上のデータから、水道水に比べて、海水の成分は、皮膚に対する保湿効果および抗炎症効果を有すると考えられます。

論文著者らは、作用機序としてマグネシウム塩による働きを考察しています。



なお、一般の海水浴では、紫外線による肌への障害が考えられますので、必ずしも好ましいわけではありません。

一方、この論文では、海水成分による皮膚への効果が示されていますので、例えば、タラソテラピーで用いられる海水プール等による効果が期待できます。
posted at 23:53 | この記事のURL
コメント(1) | トラックバック(0)
2分でできる健康ジュース [2008年07月30日(水)]
先日、『飲んで治す!!2分でできる健康ジュース症状別レシピ350 』という本が届きました。


ファイトケミカルについての記述を監修いたしております。

手軽に作れるジュースからファイトケミカルを摂取し、健康増進に役立てよう、という主旨の本です。

具体的には、ジュースレシピの紹介になっています。



紀伊國屋書店楽天ブックスなどで流通しているようですので、機会があれば、ご覧いただけると幸いです。
posted at 23:52 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
タラソテラピーのプログラム [2008年07月29日(火)]
タラソテラピー(海洋療法)のプログラムは、それぞれの地域の特色を生かしてローカライズされます。


一般的なタラソの内容と、それに対応する「赤沢スパ」のプログラムは次のようになります。




一般的なタラソのメニュー → 赤沢スパのプログラム


@海水プールでの運動 (海水中での運動療法):

     → 『海洋深層水100%原水プール』での 「逆水流歩行」などのアクアエクササイズ


A水利療法 (海水を用いたマッサージ):                     

     → 『ジェット気泡』によるマッサージ 
        (下肢ジェット 、腰背ジェット、背肩ジェット、腰背ジェット、背肩ジェット、脚ジェット、浮遊ジェットなど)


B入浴療法 (海水風呂による温熱療法) :

     →  『寝湯』  (浅めの浴槽に入浴)、『打たせ湯』 (温かい海水でのマッサージ)


C大気浴療法 (大気中のエアゾール吸入) : 

     →  『ソルトピット』 (塩のマイナスイオンを含むエアゾール)
         『ヒーリングドーム』 (アロマの香りと酸素)
        『タラソハマム』 (スチームサウナ&ボディパック)


D海藻・海泥療法 (トリートメント用の海藻・海泥): 

     →   『海藻パック』 『海泥パック』 (トリートメント用の海藻・海泥)


Eタラソダイエット (食事療法):

     →  『スパキュイジーヌ』 『伊豆赤沢海洋深層水』




これからの夏休み期間中、伊豆方面においでの際には、機会がありましたら、「赤沢スパ」にもお立ち寄りいただけると幸いです。

posted at 23:55 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
タラソテラピーによる線維筋痛症の改善効果 [2008年07月28日(月)]
今月のリウマチ学の専門誌に、線維筋痛症に対するタラソテラピーの効果を示した臨床研究が報告されていました。
(Rheumatol Int. 2008 Jul 4. 電子ジャーナル版)


線維筋痛症は、全身の疼痛を伴う原因不明の疾患です。

対症療法として、さまざまな補完代替医療が提唱されています。


今回の研究では、線維筋痛症患者46名を対象に、23名ずつの2群にランダムに分け、有酸素運動プログラムを、真水のプールと海水のプールでそれぞれ12週間実施し、効果が比較されました。

その結果、両群とも、治療前に比べて、VAS、圧痛点の数、FIQ、SF-36、PSQI、BDIといった指標における改善を示しました。


(なお、これまでの研究によって、有酸素運動が線維筋痛症における対症療法として有効であるというデータが示されています。今回の研究でも、同様の結果ということになります。)


また、BDIについては、真水のプールに比べて、海水のプールによる有酸素運動プログラム実施群において、有意な改善が認められました。



以上のデータから、プール内での有酸素運動は、線維筋痛症の補完療法として有用であることが示唆されます。

そして、その効果は、タラソテラピーで用いられる海水プールにおいて得られやすいと考えられます。


今後、補完療法としてのタラソテラピーについて、臨床的意義を検証するための研究の進展が期待されます。
posted at 23:58 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
DHC伊豆赤沢海洋深層水の特徴 [2008年07月27日(日)]
近年、DHC海洋深層水研究所と大学との共同研究により、海洋深層水のもつ優れた特性が明らかになりつつあります。


DHC伊豆赤沢海洋深層水の特徴は、「赤沢スパ」に隣接した「赤沢海洋深層水展示館」にて紹介されていますので、機会があれば、ご覧いただけると幸いです。
posted at 23:56 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
海洋深層水とタラソテラピー [2008年07月26日(土)]
タラソテラピーは、海洋療法の名前の通り、海水を利用します。

一般に、海岸から容易に採取できる海水(表層水)が用いられてきました。

一方、「赤沢スパ」では、「海洋深層水」を使っています。



本来、タラソテラピーでは、

「あらゆる汚染を排除した新鮮な海水を汲水できる特別な施設」

が必要とされています。


DHCの赤沢スパでは、日本最深800メートルから取水したDHC伊豆赤沢海洋深層水を用いていますので、生物学的清浄性・化学的清浄性を有した、新鮮な海水を用いることができます。
posted at 23:51 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
タラソテラピーとは [2008年07月25日(金)]
タラソテラピー(タラソセラピー)とは、ギリシャ語の「海(thalasa)」と、フランス語の「療法(thrapeia)」から名づけられました。

日本語では、「海洋療法」と呼ばれることもあります。


タラソテラピーは、一般に、「海岸性気候のもとで、海水や海辺の大気、海藻・海泥を組み合わせて、それらの作用を病気の予防や治療に用いること」などとされています。


タラソテラピーは、日本では、ほとんどが美容エステとして利用されているのが現状です。

一方、ヨーロッパ諸国では、タラソテラピー施設が医療機関としても機能しています。


伊豆赤沢温泉郷にオープンした海洋深層水『赤沢スパ』

赤沢スパには、タラソテラピーの設備が整っています。

美容だけではない、ウエルネス(健康増進)のためのタラソテラピーをご体験ください。
posted at 23:56 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
赤沢スパ [2008年07月24日(木)]
DHCでは「赤沢スパ」(静岡県伊東市)という施設をオープンいたしております。


特徴は、「海洋深層水100%原水プール」。

日本最深800メートルから取水された海洋深層水のプールで、「アクアエクササイズ」や「ジェット気泡によるマッサージ」が楽しめます。


赤沢スパは、美容/エステの施設と思われがちですが、「健康増進・ウエルネス」の目的にも利用できます。


統合医療では、『タラソテラピー(タラソセラピー)』という療法があります。

タラソテラピーは、海洋療法などと訳されます。


日本ではタラソ=美容/エステのイメージが強いと思いますが、欧州諸国では医療の一部として認知されています。


DHC赤沢スパの設備とメニューは、タラソテラピーに応用できる内容です。



赤沢スパのパンフレットでは、美容/エステの案内が中心となっています。


タラソテラピー/海洋療法といった説明はありませんが、赤沢スパを統合医療の視点からウエルネスの目的で利用されると面白いと思います。
posted at 23:52 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
ナマズよりもサーモンがおすすめ [2008年07月23日(水)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、魚の種類とオメガ3系脂肪酸の含有量を調べた研究が、米国のグループから報告されていました。
(J Am Diet Assoc. 2008 Jul;108(7):1178-85.)


DHAやEPAといったオメガ3系脂肪酸は、抗炎症作用、抗アレルギー作用、動脈硬化抑制作用、抗うつ作用といった働きを有しており、それらを多く含む魚類の摂取が推奨されています。

一方、実際の食生活では、オメガ6系脂肪酸や飽和脂肪酸の摂取が増加し、オメガ3系脂肪酸の摂取は十分とはいえません。

そこで、毎日、一定量のオメガ3系脂肪酸を確実に摂取するために、DHAやEPAがフィッシュオイルといったサプリメントとしても広く用いられています。



さて、今回の研究では、米国において最もよく消費される魚類30種を対象に、脂肪酸の組成を解析し、オメガ3系脂肪酸の含有量が測定されました。


その結果、30種類の魚のサンプルは、オメガ3系脂肪酸の含有量に関して非常に多様であり、オメガ3系脂肪酸がほとんど検出されないものから、魚肉100グラムあたり4.0グラム近く見出された種類もあったということです。


研究では、(米国において)特によく消費される4種類の魚――サーモン(Atlantic salmon)、鱒、ナマズ、テラピア――が詳しく解析されています。

(テラピアは、淡水魚の1種で、成長が早く、米国では最も多く養殖されています。)


そして、サーモンと鱒は、オメガ3系脂肪酸が比較的豊富であり、オメガ6系/オメガ3系の比が低いという結果でした。


対照的に、テラピアとナマズでは、オメガ3系脂肪酸の含有量が非常に低く、オメガ6系/オメガ3系の比が高いことが見出されています。



以上のデータから、(米国において)日常的に消費される魚では、種類によってオメガ3系脂肪酸の含有量に大きな違いがあることが示唆されます。


日本の食卓にのぼる魚では、鯖などの青魚がオメガ3系脂肪酸を多く含んでいます。



posted at 23:57 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
ゆっくり食べましょう [2008年07月22日(火)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、食事のスピードと抗肥満作用の関係を検討したヒト臨床研究が、米国のグループから報告されていました。
J Am Diet Assoc. 2008 Jul;108(7):1186-91.)


一般に、「肥満予防のために、早食いは避けましょう」というアドバイスがあります。


今回の研究では、健康な女性30名(平均年齢22.9歳、BMI 22.1)を対象に、食事のスピード(食べる速さ)と満腹感の相関が調べられました。


ゆっくり食べた時と早食いの時で、空腹感、満腹感、食欲、口渇感などがVASで比較された結果、食事をゆっくり摂るほうが、早く食いに比べて、摂取エネルギー量が有意に低いことが示されました。

(摂取エネルギー量: ゆっくり摂った時; 579.0±154.7 kcal、早食い時; 645.7±155.9 kcal、P<0.05)


また、飲水量は、ゆっくり摂った時に有意に増加しています。

(飲水量: ゆっくり摂った時; 409.6±205.8 g、早食い時; 289.9±155.1 g、P<0.05)


さらに、ゆっくり摂った時に比べて、早食い時では、摂取エネルギー量が有意に多いにもかかわらず、満腹感は有意に低かったということです。(P<0.05)


同様に、満腹感を示す指標(Satiating Efficiency Index)においても、早食い時には有意に低い値になっています。



以上のデータから、「肥満の予防のために、ゆっくり食べましょう」というアドバイスが支持されます。
posted at 23:52 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
ローカーボダイエット(低炭水化物食)が減量に効果的 [2008年07月21日(月)]
ローカーボダイエット(低炭水化物食)が減量により効果的であるという臨床研究が、イスラエルと米国の研究グループから発表されていました。
(NEJM 359:229-241,2008)



長い間、オーソドックスな医学・栄養学の視点からは、炭水化物を制限するダイエット法は適切ではない、とされてきました。


一方、米国を中心に、民間の商業ダイエットでは、アトキンスやゾーンダイエットなど、炭水化物制限による食事療法が提供されています。


そして、この数年、低炭水化物食(ローカーボダイエット)が、低脂肪食(ローファットダイエット)等よりも減量に効果的であるという臨床試験が続々と発表されるようになりました。




今回の研究では、肥満者322名(平均年齢52歳、平均BMI 31)を被験者とし、次の3つのうちのいずれかの食事療法が2年間実施されました。

(1)低脂肪+カロリー制限食

(2)地中海式+カロリー制限食

(3)低炭水化物食(カロリー制限なし)



3種類の食事療法のうち、地中海式ダイエット群では、食物繊維の摂取が最も多く、また、飽和脂肪酸に対する単価不飽和脂肪酸の割合が有意に高値でした。

(飽和脂肪酸は肉類などの動物性食品に多く、単価不飽和脂肪酸はオリーブオイルに多く含まれます。


低炭水化物食群は、炭水化物の摂取量が最も少なく、脂肪とタンパク質、コレステロールの摂取量が最も多くなっています。
また、尿中ケトン体が高値でした。


平均減量幅は、低脂肪ダイエット群2.9kg、地中海式ダイエット群4.4kg、低炭水化物ダイエット群4.7kgという結果でした。
(有意差あり)


2年間の試験を完了した被験者では、減量幅はそれぞれ3.3kg、4.6kg、5.5kgとなっています。


このとき、総コレステロール/HDLコレステロール比は、低炭水化物食群では20%の低下、低脂肪群では12%の低下が認められています。(p=0.01)


この他、糖尿病を有する36名の被験者では、空腹時血糖値およびインスリン値の変化に関して、地中海式ダイエットのほうが、低脂肪ダイエットよりも好ましい結果となっています。



以上のデータから、低炭水化物食および地中海式ダイエットは、低脂肪食の補完療法として意義があると考えられます。



肥満や糖尿病に対しては、低脂肪食が標準的な食事療法ですが、十分な改善が認められない人も少なくありません


その場合、炭水化物制限食(ローカーボダイエット)が選択肢の一つと考えられます。

(近年の多くの臨床研究をみるとき、ローカーボダイエットを推奨するための科学的根拠が得られていると思われます。
posted at 23:56 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
コーヒーによるパーキンソン病のリスク低下 [2008年07月20日(日)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、コーヒーの摂取がパーキンソン病のリスクを低下させるという調査研究が、フィンランドのグループから報告されていました。
(Eur J Clin Nutr. 2008 Jul;62(7):908-15.)



今回の研究では、コーヒーの消費とパーキンソン病発症の関係を調査する目的で、50〜79歳の男女6,710名を対象に、22年間にわたる調査が行われています。


フォローアップ中、101例のパーキンソン病発症が報告されました。


そして、年齢や性別、教育水準、アルコール摂取量、BMI,脂質代謝指標、結婚歴などの因子で補正され後、1日あたりのコーヒー摂取量とパーキンソン病との関連が解析されています。


その結果、コーヒーを1日10杯以上飲む人は、まったく飲まない人に比べて、パーキンソン病発症のリスクが74%低いというデータが得られています
(RR:0.26, 95% CI;0.07&#8211;0.99, P-value for trend=0.18)


この相関は、肥満者および血中コレステロールが低い人の間でより強い傾向が認められました。
(P-value for interaction=0.04 and 0.03, respectively)



以上のデータから、コーヒーの消費が多いとパーキンソン病のリスクが抑制されるという関係が示唆されます。



今後、作用機序の解析も含めた臨床的意義の検討が期待される分野です。
posted at 23:55 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
レスベラトロールの摂取量@スペイン [2008年07月19日(土)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、スペインでのレスベラトロールの摂取量を調べた疫学研究が報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Jul;100(1): 188-196)



レスベラトロール(リスベラトロールresveratrol)は、ファイトケミカルの1種で、抗酸化作用・抗炎症作用が示されており、様々な生活習慣病に対する予防効果が期待されている成分です。

動物実験では、レスベラトロールの摂取と長寿との関係も示されています。



今回の研究では、食事由来のレスベラトロールの摂取量がスペインの成人40,685名(35歳〜64歳)を対象に調べられました。

(がんと栄養に関する疫学調査の一環として集められたデータが解析されています。)


その結果、ワインやブドウ、ブドウ果汁といった食品がレスベラトロール類(レスベラトロールとpiceid)の摂取源として重要であることが示されました。


一方、ピーナッツ、ピスタチオ、ベリー類は、レスベラトロール源としての寄与は低いというデータになっています。



論文著者らによると、このデータは、欧州においてレスベラトロール類の摂取源を示した最初の研究であるということです。
posted at 23:54 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
葉酸と鬱状態の関係 [2008年07月18日(金)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、血中葉酸値と鬱状態との関連を検討した研究が、フランスのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Jul;100(1): 183-187)


これまでの研究によって、葉酸の摂取が少ない場合や葉酸値が低い場合、鬱状態が高頻度であるという相関が示唆されてきました。

ただし、因果関係は必ずしも明確ではありません。


今回の研究では、中年期の男女1864名を対象に、葉酸の摂取と鬱状態のエピソードが検討されました。

8年間のフォローアップが行われ、葉酸の摂取、鬱状態、抗うつ剤の摂取状況などが収集・解析された結果、葉酸の摂取と鬱状態の発症リスクとの間に相関は認められませんでした。


一方、男性における鬱状態再発のリスクは、葉酸の摂取によって有意に抑制されています。
(オッズ比 0.25 三分位にて上位vs.下位)

ただし、この相関は女性では認められませんでした。

以上のデータは、葉酸の摂取が少ないと、男性での鬱状態再発リスクが低減されるという関係を示唆しています。
posted at 23:56 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
地中海式ダイエットによる血管機能の維持 [2008年07月17日(木)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、バージンオリーブオイルで高脂肪食とした地中海式ダイエットが食後の血管内皮機能維持に有用であるという臨床研究が、スペインのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Jul;100(1): 159-165)


心血管疾患の発症には、血管内皮機能の障害が関与しています。

そこで、今回の研究は、食事由来の脂質による血管内皮機能への影響を検討する目的で行われました。


健康な男性被験者20名を対象に、3種類の脂質を異なる割合で含む食事を4週間摂取させ、血管内皮機能および炎症に関係する指標が測定されました。
(ランダム化クロスオーバー法)


研究で用いられた食事は、次の3種類です。

(1)平均的な欧米食:飽和脂肪酸の豊富な食事(22 % SFA, 12 % MUFA(単価不飽和脂肪酸),0.4 % アルファリノレン酸;各エネルギー比)

(2)地中海式ダイエット:オリーブオイルなどMUFAの豊富な食事(< 10 % SFA, 24 % MUFA, 0.4 % ALA)

(3)ALA強化低脂肪食:ALAを添加した低脂肪食( < 10 % SFA, 12 % MUFA,2 % ALA)


血中の脂質代謝、血管内皮機能関連マーカーなどが測定された結果、(1)や(3)に比べて、(2)のオリーブオイルなどが豊富な地中海式ダイエットを摂取した場合に、血管内皮機能が良好に保たれていることが示されました。



以上のデータから、欧米の典型的な高脂肪食、あるいは低脂肪食と比べて、地中海式ダイエットでは、食後の血管機能を維持することにより、心血管疾患を予防する効果が期待されます。
posted at 23:51 | この記事のURL
コメント(1) | トラックバック(0)
共役リノール酸の抗アレルギー作用 [2008年07月16日(水)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、共役リノール酸(CLA)による抗炎症作用を示した臨床研究が、フィンランドのグループから発表されていました。
(Br J Nutr. 2008 Jul;100(1): 112-119.)


共役リノール酸(CLA)は、減量作用を有する成分としてサプリメントに利用されています。

基礎研究では、CLAによる免疫調節作用が示されていますが、ヒトでの研究は十分ではありません。


そこで、今回の研究では、アレルギー疾患(花粉症)におけるCLAの作用が検討されました。


1日あたり2グラムのCLA(cis-9, trans-11-CLA異性体65.3%、trans-10, cis-12-CLA 8.5%)
あるいは偽薬が、12週間投与されています(各群n=20)。

(花粉症シーズンの8週間前からシーズン中にかけての12週間です。)


アレルギー症状およびリンパ球サブセット、炎症マーカーなどの指標が測定された結果、CLA投与群では、花粉症シーズン中の体調が有意に良好に保たれ、くしゃみなどの症状も有意に少なかったということです。


また、TNF−αやインターフェロンγ、IL−5が有意に減少しています。

一方、血中の全IgE抗体、花粉特異的IgE抗体の値については、両群間で有意な差は認められていません。


以上のデータから、CLAは、抗アレルギー作用・抗炎症作用を有し、アレルギー性疾患に対する効果が示唆されます。
posted at 23:53 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
カカオによる認知機能の改善作用 [2008年07月15日(火)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、カカオポリフェノールによる認知機能改善作用を示した基礎研究が、フランスとカナダのグループから発表されていました。
(Br J Nutr. 2008 Jul;100(1): 94-101.)


これまでの研究によって、加齢およびそれに伴う認知機能の低下には、酸化ストレスが関与していることが示唆されています。

そこで、抗酸化作用を持つ機能性食品素材がこれらの障害を予防すると考えられ、アンチエイジングの研究分野で注目を集めています。


さて今回の研究では、ラットにカカオポリフェノールを投与し、加齢による認知機能の低下に対する作用が検討されました。

カカオポリフェノールを24mg/kgの用量にて、15から27月齢の間に経口投与した結果、認知機能の改善が認められたということです。

(水迷路学習テストなどで測定。)


作用機序として、カカオポリフェノールによる抗酸化作用が、中枢神経細胞に保護的に作用し加齢による認知機能の低下を抑制するというメカニズムが考えられます。


今後、臨床的意義の検討が期待される分野です。
posted at 23:56 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
ワインの認知症予防効果@女性 [2008年07月14日(月)]
疫学の専門ジャーナルに、ワインの消費が多い女性では認知症の割合が最も低いという相関を示した研究が、スウェーデンのグループから報告されていました。
(Am J Epidemiol. 2008;167:684-91.)



今回の研究の目的は、摂取するアルコールの種類と量の違いが、認知症の発症に関連しているかどうか、検討することです。

スウェーデン在住の38歳から60歳までの女性1,462名を対象に、1968-69年から2000年にかけて追跡調査が行われ、164例の認知症が報告されました。

アルコールの摂取など生活習慣については、70年代、80年代、90年代にも調査が行われています。


その結果、ワインの消費は、認知症を有意に予防することが示されました(認知症を40%減少)。

この作用は、アルコール飲料としてワインのみしか消費しない女性において、最も強く認められたということです(認知症を70%減少)。

また、喫煙者では、ワインによる予防効果がより強く示されています。


一方、アルコール類全般では、消費によって認知症リスクの上昇が示唆されています。



以上のデータから、ワイン類の摂取では認知症予防効果が示唆されること、この効果はアルコール類全般には認められないことからアルコール以外のワイン成分が関与すること、などが考えられます。



ただし、この研究ではアルコール消費は自己申告による調査です。

また、特定の地域の女性を対象にした研究ですので、一般化することは容易ではありません。

今後、他の地域での研究などによる検証が期待される分野です。



DHCでは、イタリアワインの取り扱いも始めました。


posted at 23:54 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
線維筋痛症と補完代替医療(CAM) [2008年07月13日(日)]
線維筋痛症とは、全身の広範囲にわたる慢性疼痛を特徴とする原因不明の疾患です。


今月発刊された米国国立補完代替医療センター(NCCAM)のニュースレターに、線維筋痛症と補完代替医療(CAM)についての記事が掲載されていました。



まず、線維筋痛症の患者では、次のようなCAMが利用されているということです。

バイオフィードバック
カイロプラクティック
催眠療法
マグネシウムサプリメント
磁気療法
マッサージ療法
SAMe(S-Adenosyl-L-Methionine)サプリメント
太極拳

以上は、米国の患者が利用しているという調査で、有効性や安全性に基づく推奨ではありません。


では、科学的根拠という見地からでは、どのようなCAMが線維筋痛症に利用できるのでしょうか。

CAMと線維筋痛症のレビューによると、多くのCAM療法では限られたデータしか報告されていないのが現状です。

まず、鍼治療では、効果を認めたとするデータがある一方、有意な効果を示さなかったという報告もあります。

また、患者の一部ではマグネシウムの低下が認められることからマグネシウムサプリメントの投与が行われますが、効果については明確な結論が得られていません。
(予備的な臨床研究では対立するデータになっています。)

マッサージ療法については、ある程度の改善作用を有するという報告もありますが、効果は短期間に限られるとされています。

アミノ酸の1種、SAMeのサプリメントでは明確な結論は得られていません
(ある程度の有効性を示唆するデータもあります。)


その他、現時点では、線維筋痛症に対して、バイオフィードバック、カイロプラクティック、催眠療法、磁気療法などのエビデンスは明らかではありません。



線維筋痛症に対しては、いくつかのCAMを組み合わせて、補完療法として用いることが選択肢の一つと考えられます。

posted at 23:52 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
がん予防と生活習慣@朝日カルチャーセンター [2008年07月12日(土)]
本日、朝日カルチャーセンターの新宿教室で、「がんの予防と生活習慣」と題した公開講座を担当してきました。

サブタイトルは、--サプリメント・健康食品の利用法--です。


今日の講座では、昨年11月に世界がん研究基金が発表した報告書「食物・栄養・運動とがん予防」について(米国での実際の会場風景とともに)紹介した後、サプリメント・健康食品を利用する際の注意点について解説いたしました。


朝日カルチャーセンターで講座を担当させていただくのは、今回で3回目になると思います。

有料の講座でしたが、参加された方々には、DHCからサプリメントなどの製品がサンプルとして無料配布されましたので、ある程度、お得感を感じていただけたかもしれません。

土曜日の午後にもかかわらず、ご参加いただいた方々、どうもありがとうございました。


posted at 23:54 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
| 次へ
プロフィール


医学博士 蒲原聖可
自己紹介
ブログ
リンク集

http://www.dhcblog.com/kamohara/index1_0.rdf
ログイン
Mypagetopに戻る