今月の免疫学の専門ジャーナルに、ビタミンD値と、アレルギー性鼻炎との関連を調べた系統的レビューおよびメタ解析が報告されていました。
(Int Rev Immunol. 2017 Jan 19:1-13.)
アレルギー性疾患の病因論におけるビタミンDの臨床的意義は明確ではありません。
先行研究では、下記の報告があります。
アトピー性皮膚炎とビタミンDの関係
ビタミンDサプリメントが乳児のアレルギーを抑制する
慢性蕁麻疹(じんましん)におけるビタミンD3の意義
ビタミンDによるアトピー性皮膚炎での免疫調節作用
さて、今回の研究では、
空気アレルゲン感作およびアレルギー性鼻炎の2つのアウトカムに関して、ビタミンDとの関連が検証されました。
具体的には、
主要医学データベースを用いて、
(Medline, Scopus, Science Citation Index, and Google Scholar)
21報の観察研究が対象となりました。
解析の結果、
血中ビタミンDが高い(25(OH)D ≥75 nmol/L)小児では、
空気アレルゲン感作リスクが有意に低いという相関が見出されました。
なお、妊娠中のビタミンD摂取や、乳児期のビタミンDサプリメントと、
空気アレルゲン感作との関連は認められていません。
次に、
血中ビタミンDが高値(25(OH)D ≥75 nmol/L)の群では、
低値(25(OH)D <50 nmol/L)群に比べて、
アレルギー性鼻炎の罹患率が、29%低いという有意な相関が見出されました。
(OR; 0.71, 95%CI; (0.56-0.89), p = 0.04)
ビタミンD高値とアレルギー性鼻炎罹患率低値との関連は、
成人男性において、顕著に見出されており、
血中ビタミンD低値(25(OH)D <50 nmol/L)に比べて、
ビタミンD高値(25(OH)D ≥75 nmol/L)群との比較で示されています。
一方、女性ではこの相関は示されませんでした。
以上のデータから、
ビタミンDの血中濃度と、
空気アレルゲン感作やアレルギー性鼻炎リスクとの間に、年齢や性別に特異的な関連が示唆されます。
今後、アレルギー性疾患におけるビタミンDサプリメント投与の臨床的意義の検証が期待されます。
近年、ビタミンDは、骨の健康維持だけではなく、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な効果が示されています。
一般に、
健康保持や疾病予防、ヘルシーエイジングを目的としたビタミンD3サプリメントは、
1日あたり
25マイクログラム(1,000 IU)から、50マイクログラム(2,000 IU)が推奨されます
ビタミンD3サプリメントは、安全性、有効性、経済性に優れていますので、健康保持や疾病予防、あるいは多くの疾患での栄養状態を改善する前提条件に、ベーシックサプリメントとして広く利用されることが推奨できます。
多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。
米国での関連学会は、下記の推奨をしています。
米国老年医学会は、1日あたり4,000 IUを推奨
米国老年医学会(AGS)では、高齢者における転倒や骨折を予防するために、血中ビタミンD値(25OH-D)が30 ng/mL (75 nmol/L)は必要としています。
そして、ビタミンDの推奨量は、1日あたり4,000 IUとしています。
(これは、食事、サプリメント、日光暴露による総量です。
なお、この量は、現実的には食事のみからでは不可能であるため、サプリメントを利用することになります。)
米国内分泌学会は、1日あたり1,500 IU〜2,000 IUを推奨
米国内分泌学会のガイドラインでは、1日あたりの所要を男女とも年齢によって、次の3段階に分けています。
1歳未満の乳児は400〜1,000 IU、
1歳〜18歳では600〜1,000 IU、
19歳以上では1,500 IU〜2,000 IU
サプリメントでは、ビタミンD3が用いられます。
日本からの報告では、
ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果
が知られています。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
DHCでは、
ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000 IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/mL増加する、
という報告もあります。
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。
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