今日は、外来診療日でした。
今日、初めて診た患者様から、健康食品の個別製品に関する相談を受けて、あらためて、地域の高齢者が、マルチ系の健康食品に引っかかっていることを痛感しました。
また、テレビで宣伝しているようなメーカーでも、消費者に優良誤認を生じさせるような商品を売っていることも実感しました。
マルチ系は、個人にとってのコスパの点からそもそも論外として、
宣伝を見かけるメーカーでも、製品パッケージの表示が、あまりにひどいメーカーもありますので、改めて、情報の非対称性により、地域の高齢者が一部の業者からターゲットにされていることを感じました。
自分自身が摂るサプリメント選びも重要ですが、
『離れて暮らしている親世代が買っている健康食品の中身と値段を確認しましょう』、
といった啓発が必要と感じた次第です。
健康食品・サプリメントの素材の研究が進んでおり、科学的根拠に基づいて、適切な製品を利用することで、低栄養対策、未病改善から、健康寿命延伸に有用である、というのが私の立場です。
ただし、「適切な使用」というのが、非専門家にとっては容易ではありません。
どんな分野でも、情報の非対称性がありますので、個人のエンパワーメントが重要であり、
啓発活動が大切です。
例えば、
グルコサミンやビタミンDといった成分の有用性に期待しても、どの製品を選ぶかは、大変です。
(同じような話では、「バランスのとれた食事を」ということもあります。
具体的に、どのような食材をどのように、どの程度、とったらいいのかは、
健康な成人、未病対策、生活習慣病の改善、がんサバイバー、フレイル対策ですべて異なってきます。)
さて、
今日の外来診療でのことです。
普段は、他の先生の外来にかかっている高齢女性(76歳女性)が、私の外来に来られました。
診療記録には、「健康食品を摂っているので、相談対応を」という申し送り事項がありました。
外来で女性にお話を聞くと、
足腰の筋力の低下が気になるために、知り合いからすすめられた健康食品がいろいろある、とことで、
4種類の製品を持ってこられていました。
その内訳は、
@アメリカのマルチ系のシリーズで、ブルーベリーエキス
⇒勧められているということでしたので、買わないように、アドバイスしました。
患者様ご本人も、「これはねずみ講かも」とおっしゃっていました。
ねずみ講は違法ですが、マルチ系は違法ではないため、消費者のヘルスリテラシーが求められます。
Aサメ肝油の某製品
⇒肝油はビタミンAやビタミンDが目的のサプリメントですが、
この製品では、それぞれの含有量が記載されていないので、話にならない製品と感じました。
⇒さらに、患者様に話を聞くと、1カ月あたり1万円!!!ということでしたので、やめてもらうように説明しました。
ちなみに、DHCのビタミンDサプリメントは1ヶ月分300円台です。
Bや〇やの青魚の知恵
DHAやEPAといったオメガ3系必須脂肪酸のサプリメントです。
ただし、患者さまは、「魚が好きで、毎日食べている。サバ缶もよく食べる」
とおっしゃっていたので、さらに、サプリメントが必要かどうかは、少し疑問でした。
(もちろん、高齢者で少食と思われますので、魚食に加えて、DHAやEPAといったサプリメントは一般論としてお勧めはできます。)
ところが、この製品のパッケージには、DHAの含有量が4000mgを超える表示になっていました。
結構多い量なのですが、よく見ると、1日分ではなくて、一袋31日分が4000mgということでした。
つまり、1日分では100mgちょっとということになります。
これは、消費者が優良誤認をしてしまう、非常に悪質な製品表示と憤慨した次第です。
このメーカーの製品をネットで検索してみてください。
製品の中身(実際のEPAやDHA)を確認するのが大変な作業です。
(一袋当たりの含有量や、一粒の重量のmgなど、多めの数値ばかりが目立つサイトで、実際の含有量が少ないのがばれないように、悪質で巧妙で、でも、違法ではない、嘘は書いていない、というサイトです。)
Cブルーベリーのサプリメント
なぜか、2つめのブルーベリーのサプリメントです。
高齢者なので、眼の対策のサプリメントをとるなら、ルテインのほうがいいと思いました。
さらに、この患者様のそもそもの訴えである、筋力の低下ということから考えると、優先順位は高くないと感じました。
以上、4つとも、患者様のニーズにはあっていないことを丁寧に説明しました。
地域の高齢者が、お金をどのように使うかは自由なのかもしれませんが、
マルチ系から詐欺まがいの商品ばかりでしたので、啓発の重要性を痛感した次第です。
知人から勧められて断れなかったり、高いものほど効果があるように勘違いしたり、といったケースがまだまだ多いのかもしれません。
健康食品に関するエビデンスは構築されており、適正用による有用性は確立しており、健康食品はまっとうな分野です。
一方で、健康食品を売っている業者の一部に、怪しい人たちがいるので、サプリメント・健康食品全体が怪しく見られてしまうのが、残念でなりません。。。
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DHCは、トータルヘルスケア企業として地方自治体と連携し、健康づくり事業に取り組んでいます。ふるさと納税にも協力し、地方創生を支援しています。
地域での健康長寿社会の実現に、DHCとして貢献できるように努めています。
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