今月の肥満研究の専門ジャーナルに、米国における体重による差別について調査した研究が掲載されていました。
(Int J Obes (Lond). 2008 Jun;32(6):992-1000.)
体重や体型による社会的な差別の実態についてのデータは、医学分野での研究としては限られています。
そこで、今回の研究は、差別の存在の有無や実態を明らかにするために、1995年から96年にかけて、25歳から74歳までの2290名を対象に、身長と体重に関連する差別の経験について調査されました。
(データ:National Survey of Midlife Development in the United States)
その結果、体重/身長による差別は、男性では5%、女性では10%に認められたということです。
ただし、この数値は平均であるため、体重の大きい(つまり肥満の)人、具体的にはBMIが35以上の重症肥満者では、差別経験の割合が多いと考えられます。
また、若年の肥満者は、人種や教育に関わりなく、差別のリスクにさらされていることが示されました。
さらに、女性は、男性よりも体重/身長による被差別リスクが高く、BMIが30〜35の女性では同程度の体重の男性に比べて3倍のリスクが認められています。
特に女性では、人種による差別と同程度の割合であると考えられています。
具体的な事例として、組織による差別では雇用関係、対人関係では呼び名があげられており、これらは人種や性による被差別リスクよりも大きいということです。
このデータから、体重/身長/BMIによる差別が米国社会に広まっている実態が示唆されます。
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これは興味深い研究ですね。
身体的な理由による差別は、本当に嫌なものですが、痩せていることが美化されることが加速しつつある昨今、日本でもますます起こりうることだという気がします。