今月の血液凝固学の専門ジャーナル(電子版)に、ダークチョコレートによる血小板機能抑制作用を示した臨床研究が、イタリアのグループ(Sapienza University, Rome Center of Clinic Lipid Research)から報告されていました。
(
J Thromb Haemost. 2011 Nov 8. doi: 10.1111)
チョコレートには、カカオ豆由来の抗酸化成分・カカオポリフェノールが含まれており、動脈硬化抑制作用を介した機能性が知られています。
(カカオポリフェノールは、ダークチョコレートには豊富に含まれていますが、ホワイトチョコレートには含まれません。)
近年、年に1回くらいの頻度で、ダークチョコレートの摂取による高血圧改善作用を示したランダム化比較試験が報告されてきました。
さて、今回の研究では、ダークチョコレートの摂取による喫煙者での血小板機能への影響が検証されています。
これまでの研究では、ダークチョコレートによって血小板機能の抑制が示されてきましたが、作用メカニズムは明確ではありません。
(血小板機能抑制は、血液凝固抑制を介して、血栓形成を予防し、脳梗塞などのリスク低下を生じます。)
そこで、カカオポリフェノールによる抗酸化作用の関与が調べられました。
具体的には、健康な被験者20名と喫煙者20名を対象に、無作為に、
・40グラム(85%以上のカカオ)のダークチョコレート
あるいは
・40グラム(35%未満のカカオ)のミルクチョコレート
の2種類の介入がクロスオーバー、一重盲検法にて行われています。
(喫煙は、活性酸素を過剰に生じ、動脈硬化のリスク、血栓症のリスクをもたらします。)
wash-outは7日間であり、2相の試験において、
投与前とチョコレート摂取2時間後に、
血小板機能や血小板イソプラスタン(8-iso-PGF2α、isoprostane 8-ISO-prostaglandin F2α)、活性酸素、トロンボキサン(TxA2)、NOX2の血小板活性化、血中エピカテキンといった指標が測定されました。
解析の結果、
まず、介入前において
健康な被験者に比べて、喫煙者では、
血小板動員の亢進、血小板における活性酸素産生の増加、エイコサノイドおよびNOX2活性化の亢進が見出されています。
次に、ダークチョコレート摂取後では、
血小板の活性酸素は48%減少(p<0.001)、
8-iso-PGF2α は10%減少(p<0.001)、
NOX2 活性化は22%減少(p<0.001)
とそれぞれ有意に減少(低下、改善)が認められました。
一方、ダークチョコレートの摂取は、健康な被験者では血小板関連指標に有意な変化は生じなかったということです。
血中エピカテキンは、ダークチョコレート摂取後に増加しました。
健康な被験者;0.454±0.3nM から 118.3±53.7nMへ。
喫煙者;0.5±0.28 nM から 120.9±54.2 nMへ。
(エピカテキンの高値と、がんリスク低下との相関が知られています。)
その他、in vivo系では、0.1-10μMのカテキン投与によって、血小板動員の有意な低下、血小板8-iso-PGF2αの低下、活性酸素の産生低下、NOX2活性化の低下が喫煙者群にて認められました。
以上のデータから、ダークチョコレートの摂取によって、喫煙者において活性酸素の産生を防ぎ、血小板機能を抑制する機能性が期待されます。
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