片頭痛や緊張性頭痛などの頭痛に悩む方は少なくないと思います。
頭痛の予防(頭痛の頻度の軽減)としてのセルフケアでは、機能性食品成分がサプリメントとして用いられます。
具体的には、
コエンザイムQ10、リボフラビン(ビタミンB₂)、マグネシウム、オメガ3系脂肪酸が用いられます。
また、フィーバーフューfeverfewやバターバー(butterbur)といったハーブも利用されています。
フィーバーフューによる片頭痛予防効果について、2015年のコクランレビューを読んでみました。
(Cochrane Database Syst Rev. 2015 Apr 20)
このレビューの著者は、イギリスのErnstらです。
(CAMの各種療法をレビューした論文をたくさん発表し、結論はいつも同じ、というパターンのグループです。)
さて、今回のレビューは、フィーバーフュー(学名:
Tanacetum parthenium L.)による片頭痛予防効果を検証しています。
コクラン(Cochrane Database of Systematic Reviews)で2004年に発表された最初のレビューから、本レビュー(2015年)でアップデートという位置づけです。
具体的には、2015年1月までの主要医学データベース(CENTRAL, MEDLINE, EMBASE, AMED)から、
二重盲検ランダム化比較試験により、
片頭痛の予防に対して、
フィーバーフューの単独投与と、偽薬との臨床的な有用性と安全性が調べられています。
(言語や対象年齢の制限はなし。フィーバーフューの単独投与が対象。)
今回のアップデートで1報が追加され、
合計6報、561名のデータが解析の対象となりました。
6報のうち、5報は、主アウトカムが片頭痛の頻度でした。
これらの研究は、良い方法論/質でしたが、サンプルサイズのためにバイアスの存在も想定されています。
また、
論文のばらつきや共通のアウトカムがなかったため、プール解析は行われていません
今回のレビューで追加された1報は、質が高く、かつ、比較的大規模な研究(n = 218)でした。
この研究の前に行われた用量設定の研究に基づいて、一定の投与量が用いられています。
そして、
1ヶ月あたりの片頭痛の頻度は、
フィーバーフュー投与群では、4.8回から2.9回へ、1.9回減少し、
偽薬群では、4.8回から 3.5回へ、1.3回減少していました。
(両群間では、1ヶ月あたり0.6回の差が認められたことになります。)
副アウトカムとして、
片頭痛の重症度や片頭痛の発作の期間、悪心・嘔吐の頻度と重症度については両群間で有意差は見出されませんでした。
その他、先行研究では結論は明確でないとされています。
3報では、フィーバーフュー投与群にて、片頭痛に対する予防効果が示唆されています。
(被験者数は17名から60名)
一方、他の2報(被験者は50名と147名)では、フィーバーフュー群と偽薬群との間に有意差は認められませんでした。
なお、有害事象として、消化器系症状が示されていますが、いずれも軽度であり、一過性でした。
以上のように、
今回のコクランレビューでは、
フィーバーフュー投与により、片頭痛の発作回数が0.6回/月、減少する、という最新の1報が追加されています。
ただし、コクランですので、例によって結論は同じで、
‘まだ質の高い研究が不十分なので、結論は出せない’
といったことになっています。
個人差や体質差に注目した個別化医療といった概念ができる前の発想のコクラン共同計画ですので、介入の大きさが比較的小さく、作用が緩徐である機能性食品成分の有用性検証には、コクランは必ずしも適切ではないとも思います。
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