今月の栄養学の専門ジャーナルに,炎症性腸疾患におけるクルクミンの作用を調べた予備的な研究が,英国のグループから報告されていました。
(
Br J Nutr. 2010 Mar;103(6):824-32.)
慢性炎症を病態とする炎症性腸疾患として,クローン病や潰瘍性大腸炎が知られています。
機能性食品素材の中には,抗炎症作用を有するものがあり,これらの炎症性腸疾患に対する意義が示唆されています。
例えば,ウコンの成分であるクルクミンでは,これまでの多くの研究によって抗炎症作用や抗酸化作用が示されており,予備的な臨床研究では炎症性腸疾患に対する改善作用も示唆されています。
今回の研究では,炎症性腸疾患におけるクルクミンの作用メカニズムの検証が行われました。
具体的には,炎症性腸疾患患者(小児および成人)の腸管におけるMAPK(p38 mitogen-activated protein kinase),IL-18,IL-10,MMP-3(マトリックスメタロプロテアーゼ3)といった分子への影響が測定されています。
生検によって採取された腸管粘膜をクルクミン下で(ex vivo)培養した結果,p38 MAPK活性化の抑制,IL-10活性の亢進,IL-1β活性の抑制が見出されました。
また,クルクミンによるMMP-3の用量依存的な抑制も示されました。
以上のデータから,炎症性腸疾患に対するクルクミンの抗炎症作用に関して,関与する分子メカニズムが示唆されます。
今後,臨床的意義の検討が期待される分野です。
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