分子生物学の専門ジャーナルに、ノコギリヤシの前立腺細胞に対する作用メカニズムに関する基礎研究が報告されていました。
(
Int J Mol Sci. 2013 Jul 10;14(7):14301-20)
男性では、加齢に伴って前立腺肥大症(BPH)による排尿障害などの症状が生じます。
良性疾患である前立腺肥大症に対して、サプリメントでは、
ノコギリヤシ(学名serenoa repens)が用いられています。
(ノコギリヤシは,多くの臨床試験によって有効性が示されており,安全性の高いハーブです。医薬品と比べても副作用が少なく,広く推奨できるサプリメント成分です。)
また、前立腺肥大症(BPH)は、勃起障害(ED)の原因ともなりますし、
BPHの治療に用いられるαブロッカーや5-α-還元酵素阻害薬といった薬の副作用として、EDが生じるリスクもあります。
一方、ハーブサプリメントでは、ノコギリヤシが、軽症から中等度のBPHの症状改善に有用であることが、これまでに多くの臨床研究によって示されています。
さて、今回の研究では、
前立腺肥大症に対するノコギリヤシエキスの分子メカニズムが検証されました。
具体的には、
前立腺肥大症モデル培養細胞系2種類(BPH1細胞と、BPHからの初代培養細胞)を用いて、
ノコギリヤシエキスを3時間投与した際に、
細胞増殖やアポトーシス、炎症に関係した分子の遺伝子発現への作用が調べられています。
解析の結果、
ノコギリヤシエキス投与によって、
複数の遺伝子(IL1B, IL1A, CXCL6, IL1R1, PTGS2, ALOX5, GAS1, PHLDA1, IL6, IL8, NFkBIZ, NFKB1, TFRC, JUN, CDKN1B, ERBB3といった遺伝子)の発現が抑制されたということです。
また、炎症惹起に関与する遺伝子(IL6, IL17, IL15)の発現抑制作用も見出されています。
以上のデータから、
ノコギリヤシエキスは、
前立腺細胞において、
細胞増殖やアポトーシス、炎症に関連する遺伝子発現への作用を介して、
前立腺肥大症の予防や症状改善作用を示すと考えられます。
今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。
DHCでの関連製品としては、
ノコギリヤシ、
マカ、
トンカットアリ、
複合サプリメント
などがあります。
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