サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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健康フェア@仙台 [2010年02月28日(日)]
今日は,仙台に行ってきました。


「元気!健康!フェアin東北」

という健康フェアでの出講のためです。




「サプリメントとその上手な使い方」

と題したセッションでプレゼンをさせていただきました。



また,セッションの前の鼎談では,一般の参加者の方から多くの質問をいただき,サプリメントの適正使用に関する情報提供の重要性をあらためて認識した次第です。




ところで,今朝,東京駅に向かう途中,東京マラソンの開催日であることに気づきました。

雨の中,道路沿いで準備に当たっている人たちは大変そうでした。



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オリーブリーフ(葉)のフラボノイド類 [2010年02月27日(土)]
今月の農芸化学の専門ジャーナル(電子版)に,オリーブリーフ(葉)に含まれるフラボノイド類の抗酸化作用/フリーラジカルスカベンジャー作用を示した基礎研究が,ギリシャのグループから報告されていました。
(J Agric Food Chem. 2010 Feb 18.)



オリーブリーフには,オレユロペンの他,複数のフラボノイド類が存在し,抗酸化作用を有します。



これまでの予備的な基礎研究や臨床研究では,さまざまな生活習慣病に対する改善作用も示唆されてきました。





今回の研究では,さまざまな条件下で採取されたオリーブリーフを用いて,フラボノイド含有量について,測定されています。


具体的には,まずRP-HPLCを用いて想定され,LC-MSによる検証が行われました。


その結果,フリーラジカルスカベンジャー作用は,全フラボノイド類に依存すること,また,ルテオリン‐7‐O‐グルコシド(Luteolin 7-O-glucoside)がスカベンジャーの主体であることが見出されたということです。




オリーブリーフ(葉)による生活習慣病の予防や改善作用は,オレユロペンやルテオリン-7-O-グルコシドといったファイトケミカルによる働きであることが示唆されます。



今後,臨床的意義の検証が期待される分野です。



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代替食によるダイエット効果 [2010年02月26日(金)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに,米国軍隊において,代替食(フォーミュラ食)による減量効果を示した臨床研究が報告されていました。
(J Am Diet Assoc. 2010 Feb;110(2):268-73.)



代替食(フォーミュラ食)とは,高タンパク質低エネルギーの食事で,1日3食のうち1食から2食を置き換えることで減量効果が得られます。


(例えば,プロティンダイエットが該当します。)


ビタミンやミネラルを含む特長があり,必須微量栄養素を確実に補いつつ,健康的な体重調整が可能です。




今回の研究では,米国の兵士を対象に,代替食による減量効果が検証されています。


具体的には,兵士113名(男性76名,女性37名)を対象に,軍隊独自の体重管理プログラムである"Weigh to Stay"をベースに,代替食の利用の有無によって2群に分けて,体重や脂質代謝に対する作用が調べられました。



1日2食の代替食を6ヶ月間利用した結果,試験を完了した46名は両群とも減量しています。

(体重管理プログラムのみの群では2.7±4.3 kgの減量であったのに対して,代替食の利用群では,3.8±3.5 kgの減量効果を認めました。)



このとき,HDLコレステロール値の改善も認められていますが,両群間での有意差はありませんでした。

(プログラムのみの群;13±9 mg/dL ,代替食群;8±7 mg/dL,P<0.05)



ITT解析では,体重管理プログラム群に比べて代替食併用群のほうが,有意に優れた減量効果を示したということです。


(つまり,より大きな体重減少効果(1.2±0.5 kg),より大きな体脂肪率の減少効果(1.0%±0.4%),より大きな体脂肪量の減量効果(0.8±0.4 kg)が認められています。)



以上のデータから,代替食・フォーミュラ食の減量効果が支持されます。



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桑葉の糖尿病改善作用 [2010年02月25日(木)]
栄養学の専門ジャーナルに,桑葉の食後血糖降下作用を示した基礎研究が,韓国のグループから報告されていました。
(Nutr Res Pract. 2009 Winter;3(4):272-8.)


桑(学名Morus alba L.)の葉には,炭水化物の分解に働くαグルコシダーゼという酵素の活性を阻害する成分が存在し,食後過血糖を抑制する作用を有することから,糖尿病対策のハーブとして知られています。



今回の研究では,非肥満の2型糖尿病モデルラット(GKラット)を用いて,桑葉抽出物の血糖値への作用が検討されました。


まず,桑葉抽出物の単回経口投与によって,血糖値への影響が検討された結果,マルトース負荷時の食後過血糖を有意に抑制することが示されました(P < 0.05)。


これは,小腸におけるαグルコシダーゼ阻害活性による働きを示唆します。


次に,グルコース負荷時でも,桑葉抽出物投与によって,食後30分の血糖値が有意に抑制されました(P < 0.01)。


一方,8週間の投与を行ったところ,空腹時血糖値が4−5週後の時点で有意に低下し,その後,対照群と同程度に戻ったということです。



なお,インスリン値,インスリン抵抗性の指標,CRP,中性脂肪は,桑葉抽出物投与によって低下傾向が認められています。



以上のデータから,非肥満糖尿病モデルにおける桑葉抽出物の糖代謝改善作用が示唆されます。



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紅麹とスタチン剤の比較 [2010年02月24日(水)]
循環器病学の専門ジャーナルに,脂質異常症に対する紅麹とスタチン剤の有効性と認容性を比較した臨床研究が,米国のグループ(University of Pennsylvania)から報告されていました。
(Am J Cardiol. 2010;105:198-204.)



高LDLコレステロール血症などの脂質異常症に対しては,コレステロール合成阻害剤であるスタチン剤が,医薬品として広く利用されています。


しかし,現時点では,スタチンによる筋痛症を発症した脂質異常症患者に対する投薬治療は,必ずしもコンセンサスが得られているわけではありません。



一方,機能性食品素材/サプリメントを用いた脂質異常症対策としては,紅麹が有効であり,かつ,スタチン剤と比べて副作用が少ないことが示唆されてきました。


最近では,横紋筋融解症の副作用でスタチン剤が投与できない場合でも,紅麹が安全に投与できるという臨床研究が報告されています。



そこで,今回の研究では,紅麹とプラバスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害剤/スタチン剤)の認容性が検証されました。


具体的には,筋痛症の副作用のためにスタチン剤を中止した既往歴のある脂質異常症患者43名の成人を対象に,紅麹4,800mg(分2)あるいはプラバスタチン40mg(分2)のいずれかが12週間,投与されています。

(ランダム化比較試験。12週間のライフスタイル改善プログラムも併用。)



主アウトカムは筋痛症や疼痛スコアによる治療の中止であり,副アウトカムは筋力や血中脂質とされました。



介入試験の結果,筋痛症により投与を中止した被験者は,紅麹投与群では21名中1名(5%)であり,プラバスタチン投与群では22名中2名(9%)でした。(有意差なし)


副アウトカムである筋力や疼痛の重症度について,両群間で有意差は認められていません。


LDLコレステロール値は,紅麹投与群では30%低下,プラバスタチン投与群では27%低下しています。



以上のデータから,論文著者らは,紅麹は,プラバスタチンと同様の認容性を有し,スタチン不耐症の脂質代謝改善に有用であると考察しています。




スタチン剤は,コレステロールの合成を阻害する過程で,内在性コエンザイムQ10の合成も阻害します。


スタチン剤による横紋筋融解症の発症メカニズムとして,ミトコンドリアにおけるコエンザイムQ10の低下が想定されます。


そこで,統合医療による脂質異常症へのアプローチとしては,紅麹の単独投与よりは,コエンザイムQ10との併用が好ましいと考えられます。


特に,筋痛症/横紋筋融解症の症状でスタチン剤を中止した場合,紅麹を単独で開始するのではなく,まず,コエンザイムQ10の投与を行い,その後で,紅麹を追加するべきと考えます。





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オメガ3系脂肪酸による精神疾患の予防効果 [2010年02月23日(火)]
今月の精神病学の専門ジャーナルに,オメガ3系脂肪酸による精神疾患の予防効果を示した臨床研究が,オーストリアのグループから報告されていました。
(Arch Gen Psychiatry. 2010 Feb;67(2):146-54.)



オメガ3系脂肪酸の投与は,統合失調症や双極性障害などの症状改善に有効であることが知られています。



今回の研究では,オメガ3系脂肪酸による精神疾患に対する予防効果が検証されました。


具体的には,精神疾患の高リスク群81名(13歳から25歳)を対象に,二重盲検ランダム化偽薬対照試験として,1日あたり1.2グラムのオメガ3系脂肪酸あるいは偽薬が12週間投与され,40週間の観察期間が設定されています。
(2004年から2009年にかけて実施。)


66名(93.8%)が試験を完了し,試験終了(12ヶ月間)までに,オメガ3系脂肪酸投与群の41名中2名(4.9%),偽薬群の40名中11名(27.5%)が精神疾患を発症しました(P = .007)。



精神症状の累積リスクは,両群間において22.6%の相違が認められています(95% CI, 4.8-40.4)。


また,オメガ3系脂肪酸の投与は,偽薬投与群に比べて,陽性症状や陰性症状,一般症状といった精神症状を有意に減少させることも示されました。


なお,有害事象については,両群間で有意差は示されていません。



以上のデータから,オメガ3系脂肪酸の投与は,若年者において,統合失調症などの精神疾患の発症を予防する作用が示唆されます。



精神疾患の予防を目的とした向精神薬の投与には議論があるのに対して,オメガ3系脂肪酸の投与は,有効性と安全性の面から選択肢の一つとして推奨できると考えられます。


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小児の脂質異常症に対する紅麹の効果 [2010年02月22日(月)]
今月の循環器学の専門ジャーナル(電子版)に,小児の高コレステロール血症に対する紅麹とポリコサノールの効果を示した臨床研究が,イタリアのグループから報告されていました。
(Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2010 Feb 10.)



紅麹は,有効成分としてモナコリン類がLDLコレステロール合成を抑制し,脂質異常症改善作用を示します。




スタチン剤と同等の効果があり,スタチン不耐症(副作用のためにスタチン剤が投与できない場合)でも,紅麹が有効であることが知られています。


ポリコサノールは,米ぬか抽出物に含まれる成分で,中性脂肪の合成を抑制することにより,LDLの小型化を抑制し,LDLコレステロール値を低下させる作用を有しています。



今回の研究では,原発性脂質異常症の小児における紅麹とポリコサノールの有効性と許容性が検証されています。


具体的には,家族性高コレステロール血症(FH)(ヘテロ型)の小児24名と,家族性複合型脂質異常症(FCH)の小児16名の合計40名(8-16歳)を対象に,1日あたり200mgの紅麹(モナコリン類3mg含有)+10mgのポリコサノールの複合剤,あるいは偽薬が8週間投与されました。

(ランダム化二重盲検偽薬対照クロスオーバー法。Wash-outは4週間。)




紅麹+ポリコサノール併用投与の結果,偽薬群に比べて,総コレステロール値は18.5% (p<0.001)低下,LDL値は25.1% (p<0.001)低下,アポリポタンパクBは25.3% (p<0.001)低下したということです。


なお,FHとFCHの2タイプの患者群では,両群における効果について,有意差は認められていません。


また,HDLコレステロール値とアポリポタンパクA-1値については,偽薬群と実薬群とで有意差は示されませんでした。



紅麹+ポリコサノール併用投与の許容性は高く,特に問題となる有害事象,AST,ALT,CKといった検査値の変化などは認められていません。



以上のデータから,紅麹とポリコサノールの併用は,小児における遺伝性脂質異常症の改善作用を有すると考えられます。



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ケルセチンの有効性と遺伝子多型 [2010年02月21日(日)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに,ケルセチンに対する反応性の違いと遺伝子多型について調べた臨床研究が,ドイツのグループから報告されていました。
(J Nutr. 2010 Feb;140(2):278-84.)



ケルセチンは,フラボノイド類に分類されるファイトケミカルの1種です。



今回の研究では,血圧,脂質代謝,酸化ストレスに対するケルセチン投与の作用が検討されています。



具体的には,過体重・肥満者のボランティア93名(25-65歳)を対象に,1日あたり150mgのケルセチンあるいは偽薬が二重盲検偽薬対照クロスオーバー法にて6週間ずつ投与されました。
(wash-outは5週間。)


このとき,apoEリポタンパク質の遺伝子多型も調べられており,

--E2/E3, n = 3

--E3/E3, n = 60

--E3/E4, n = 23

--E2/E4, n = 4

--E4/E4, n = 3

の5つのタイプ分けが見出されています。



被験者をapoE2(n = 3),apoE3(n = 60), apoE4(n = 26)の3群に分けて,データ解析が行われた結果,

まず,ケルセチン投与によって,apoE3群では血圧が3.4mmHg(P < 0.01)低下したのに対して,apoE4群では有意な変化は認められていません。



次に,apoE4群では,ケルセチン投与によって,血中HDLコレステロールの低下(P < 0.01),apoA1の低下(P < 0.01),LDL:HDL比の増加(P < 0.05)が認められた一方,apoE3群ではこれらの値に有意な変化は見出されていません。



その他,ケルセチンは,apoE3とapoE4の両群において,血中酸化LDLコレステロールとTNFαを有意に低下させています。



なお,血中CRPや体組成は,偽薬群とケルセチン投与群の間に有意差は認められませんでした。




以上のデータから,ケルセチンサプリメントは,アポリポタンパク質遺伝子多型の違いによって,血圧や脂質代謝への影響が異なることが示唆されます。



今後,サプリメントを用いた個別化医療の確立のために,臨床的意義の検証が期待される分野です。



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炭水化物の吸収阻害による肥満・糖尿病の改善 [2010年02月20日(土)]
栄養学の専門ジャーナルに,炭水化物の吸収阻害による肥満・糖尿病に対する効果を検証したレビューが,米国のグループ(Georgetown University Medical Center)から報告されていました。
(J Am Coll Nutr. 2009;28:266-76.)




かつて,肥満の原因として,脂肪の過剰摂取が注目され,脂質の適正な摂取に関する啓発が行われてきました。


特に米国では,その傾向が顕著で,低脂肪や無脂肪の食品がスーパーであふれるようになっています。


しかし,米国では脂肪の摂取量が減少したにもかかわらず,肥満者は激増したという事実があります。



現在では,炭水化物の過剰摂取,特に単純炭水化物の過剰摂取が肥満をもたらし,糖尿病の誘因にもなることが知られています。




そこで,GI(グリセミック指数)やGL(グリセミックロード),カーボカウントといった,炭水化物の質に注目した指標が,肥満や2型糖尿病の予防と治療に応用されるようになりました。


一般には,単純炭水化物の摂取制限が推奨されますが,これらの食事では満足できない場合もあります。


そこで,食事療法に対する補完療法として,単純炭水化物の吸収を遅らせる成分として,食物繊維や機能性食品を併用する方法があります。



今回の論文では,単純炭水化物の制限や吸収阻害のための方法について,レビューが行われました。



まず,炭水化物摂取時のグリセミック指数を低下させる方法として,食物繊維の添加では,食物繊維の含有量が多くなると,ガスの発生や下痢など消化器系症状が生じることで,QOLの低下という問題が生じると指摘されています。



次に,炭水化物の吸収抑制や遅延を目的とした,機能性食品成分に関して検証されました。


具体的には,αアミラーゼやαグルコシダーゼといった消化酵素の働きを抑制する成分がサプリメントとして利用できます。


多くのサプリメント製品の中で,アミラーゼ活性を抑制する機能性成分が広く認知されており,特に,白インゲン豆抽出物は,基礎研究と臨床研究で有効性が示されているということです。




ファビノールなどの製品を補完的に利用することができそうです。



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ビタミンDによるインスリン抵抗性の改善 [2010年02月19日(金)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに,ビタミンDによるインスリン抵抗性改善作用を示した臨床研究が,ニュージーランドのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2010 Feb;103(4):549-55.)



これまでの研究によって,血中25-OHビタミンDが低いと,2型糖尿病のリスクが高くなるという相関が知られています。


また,予備的な観察研究では,ビタミンDの作用によってインスリン感受性の改善やインスリン分泌の改善が示唆されています。



そこで,今回,ビタミンDによるインスリン抵抗性への作用を検証する目的で,二重盲検ランダム化比較試験が行われました。



具体的には, オークランド在住で東南アジア出身の女性(23-68歳)を対象に,1日あたり100μグラム(4000IU)のビタミンD3を投与した群(n=42)と,偽薬投与群(n=39)との間で6ヶ月間の介入が実施されています。



被験者のHOMA1(インスリン抵抗性の指標)は1.93以上であり,血中25OHビタミンD値は50nmol/L未満でした。


なお,糖尿病治療中の患者,1000IU以上のビタミンDサプリメント摂取者は試験の対象とはなっていません。



介入試験の結果,血中25OHビタミンD3の中央値は,21から75nmol/Lへと有意に増加しました。


このとき,偽薬投与群に比べて,ビタミンD投与群では,インスリン感受性の有意な改善,空腹時インスリン値の有意な減少(インスリン抵抗性の改善)が認められています。



なお,Cペプチドは,サプリメントによる変化はありませんでした。


インスリン抵抗性の改善は,血中25OHビタミンDのエンドポイントが,80nmol/L以上の被験者で最大であったということです。


副アウトカムである血中脂質,高感度CRPの値は,ビタミンD投与では有意な変化は認められていません。



以上のデータから,ビタミンDサプリメントは,インスリン抵抗性の改善に有用であることが示唆されます。





今回の用量は,ビタミンDのRDAである200IU(5マイクログラム)に比べて,比較的高用量です。


抗加齢医学などの考え方では,健康保持や疾病予防にビタミンDを多めに投与することが一般的に行われています。



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マグネシウムによる食後脂質代謝の改善作用 [2010年02月18日(木)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに,マグネシウムの投与による食後の脂質代謝改善作用を示した臨床研究が,お茶の水女子大学のグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2010 Feb;103(4):469-72.)



食後の血中脂質の増加(脂質異常)は,動脈硬化性疾患のリスクになります。


基礎研究や疫学調査では,マグネシウムの摂取と,脂質異常を含む動脈硬化の危険因子との間に負の相関があることが知られています。



そこで,今回の研究では,塩化マグネシウムを含む「にがり」をマグネシウム源とし,マグネシウムの投与による血中脂質への作用が検討されました。


具体的には,正常な男性被験者16名を対象に,500mgのマグネシウムを含有するにがり5mlとバター30gを投与し,にがりを含まないバター投与との比較が行われています。

(ランダム化クロスオーバー法)


空腹時及び食後2,3,4,6時間の時点での血中脂質が測定された結果,マグネシウム投与によって,脂質負荷時の血中中性脂肪値の低下とカイロミクロンTAG反応の遅延が認められたということです。



また,脂質単独負荷時に比べて,マグネシウムと脂質の併用負荷時には,apo-B48,RLP-C,NEFAの2時間値の有意な低下(p<0.05)が示されました。



以上のデータから,マグネシウムによる脂質吸収の抑制および食後の血中脂質改善作用が示唆されます。



なお,にがりダイエットといった民間療法が流行ったことがあります。

しかし,にがりの過剰摂取は下痢などを生じるので注意が必要です。



一方,適正な摂取量であれば,動脈硬化性疾患の予防効果が期待できます。


マグネシウムを含むサプリメントには,例えばカルシウム/マグがあります。



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スライド@朝日カルチャーセンター [2010年02月17日(水)]
今日は,パワーポイントでスライドファイルを作成していました。


今週末の朝日カルチャーセンター@新宿でのプレゼン用です。


サプリメントの正しい選び方

− 暮らしの中の統合医療




というタイトルで出講させていただく予定です。



カルチャーセンターですが,サプリメント/健康食品がテーマなので座学です。

(太極拳やヨーガといった講座であれば,参加者の体験型なのでしょうけれど。)



そこで,参加される方にとって,費用対効果が高くなるように工夫したいとは思っています。


ただし,(参加者の職種や興味の方向性が明確な)医学関連学会での出講とは異なりますので,参加者全員の興味に合致することは容易ではなさそうです。


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コエンザイムQ10による末期癌の延命効果 [2010年02月16日(火)]
内科学の専門ジャーナルに,コエンザイムQ10および抗酸化サプリメントによる末期癌(がん)の延命効果を示した予備的な臨床研究が,デンマークのグループから報告されていました。
(J Int Med Res. 2009;37(6):1961-71.)




今回の研究では,末期がん患者に対して,コエンザイムQ10,抗酸化サプリメント(ビタミンC,セレン,葉酸,βカロテンの複合剤)が投与され,延命効果が検証されています。


具体的には,41名の患者が平均9年間フォローアップされました。


患者の罹患した癌は,乳がん,脳腫瘍,肺がん,腎臓がん,膵臓がん,食道がん,胃がん,結腸がん,前立腺がん,卵巣がん,皮膚がんとさまざまです。


40名の死亡が確認され,1名がフォローアップ中に脱落し,死亡したと見なされています。



サプリメント投与の結果,カプラン・マイヤー曲線に基づく生存期間中央値の予測値は,12ヵ月(3-29ヵ月)であったのに対して,実際の中央値は17ヵ月(1-120ヵ月)であり,予測値よりも40%以上,延長していました。



また,平均生存期間は28.8ヵ月であり,予測値の11.9ヵ月よりも延長しています。


予測値よりも余命が短かったのは10名(24%)であったのに対して,31名(76%)の患者は予測されたよりも延命効果が認められました。



コエンザイムQ10および抗酸化サプリメント投与に伴う有害事象は認められず,高い認容性が示されています。



以上のデータから,コエンザイムQ10と抗酸化サプリメントの投与は,末期がん患者における補完療法として期待されます。


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ビタミンDと糖尿病予防 [2010年02月15日(月)]
今月の内分泌学の専門ジャーナルに,糖尿病前段階におけるビタミンDの役割について検討したレビューが報告されていました。
(Endocr Pract. 2010 Feb 11:1-28.)


1969年1月から2009年7月までのmedline収載文献を対象に,高血糖,グリコヘモグロビン,メタボリック症候群,インスリン抵抗性,糖尿病,インスリン分泌,ビタミンDといったキーワードにて検索が行われています。


解析の結果,ビタミンD不足を血中25OHビタミンDが30ng/mLとした場合,米国の77%が相当するということです。


多くの前向き研究では,25OHビタミンDと,空腹時血糖値や耐糖能,HbA1c,メタボリック症候群との相関が示されています。


また,いくつかの臨床研究では,糖尿病前段階におけるビタミンDサプリメントの投与によって,インスリン分泌能の改善,インスリン感受性の改善,末梢におけるインスリン抵抗性の改善が認められました。



以上のデータから,ビタミンDの充足は糖尿病前段階の患者において有用であることが示唆されます。


ただし,これらの研究は,フォローアップ期間が短い,サンプル数が少ないなど,十分な質が担保されていないなどの問題も見出されています。



今後,ビタミンDは多彩な作用が注目されており,質の高い臨床研究によるエビデンスの構築が期待される分野です。


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西洋医学 vs. 代替医療 [2010年02月14日(日)]
今日,東京国際フォーラムで開催された日本東方医学会にいってきました。


東洋医学の考え方を臨床現場で実践している臨床家を中心とした学会です。



会頭講演は,外治を俯瞰した,示唆に富むもので勉強になりました。


また,西洋医学 vs. 代替医療と題したディベートでは,西洋医学の診療ガイドラインの功罪,個別化医療を経験に基づいて実践してきた伝統医療の特長などが議論され,興味深かったと思います。


がんの再発に関して,再発予防・(がんになりやすいという)体質の改善に対しては,西洋学は何もできていない,という現状が再認識され,個人差を重視する個別化医療である伝統医療,あるいは統合医療の理念の重要性が確認されました。

(実践にはさらにエビデンスの構築が必要ですが。)



混合診療が禁止されている日本では,疾病構造の変化に応じて補完代替医療をあわせた統合医療を実践しようとすると制度的な障害が多いと感じる次第です。



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ダイエット方法レビュー [2010年02月13日(土)]
先日,拙稿の掲載誌が届きました。



今月号の『治療』(南山堂,2010年2月号,Vol.92,No.2)という医学誌で,

拙稿は,

「ダイエット方法レビュー−低炭水化物ダイエットから健康食品まで−」

です。(p322-328)




日常診療の現場で判断に迷いやすい食事療法やサプリメント素材について,概説した内容になっています。


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レッドクローバーによる脂質異常症の改善作用 [2010年02月12日(金)]
産婦人科学の専門ジャーナルに,レッドクローバー由来のイソフラボンによる脂質異常症改善作用を示した予備的な臨床研究が,セルビア(University of Belgrade)のグループから報告されていました。
(J Obstet Gynaecol Res. 2009;35(6):1091-5.)



植物性エストロゲンであるイソフラボン類は,女性ホルモン様作用を有することから,女性特有の症状緩和などの効果が期待できます。


サプリメントに用いられている機能性成分としては,

大豆イソフラボンが広く知られていますが,その他にも,

レッドクローバー

プエラリアミリフィカ
などがあります。


また,更年期の諸症状対策を目的とした複合サプリも製品化されています。



更年期以降,女性ホルモンである内在性のエストロゲンが低下すると,コレステロール上昇のリスクが高まります。


17β-エストラジオールと類似した構造を有する植物性エストロゲンは,脂質代謝改善作用が期待されます。



そこで,今回の研究では,閉経後の女性を対象に,レッドクローバー由来イソフラボンによる脂質代謝への作用が検証されました。


具体的には,健康な閉経後女性40名(平均年齢56歳)を,レッドクローバー投与群(n=22)と対照群(n=18)の2群に分けて,12ヶ月間の介入試験が行われています。


脂質代謝関連指標は,投与前後,4ヵ月ごとに実施されました。


その結果,血中総コレステロール値,LDLコレステロール値,中性脂肪は,レッドクローバー投与群において有意に低下(改善)したということです。


また,HDL(善玉)コレステロール値の有意な上昇(改善)も認められています。


このとき,特に有害事象/健康被害は見出されていません。




以上のデータから,レッドクローバー由来イソフラボンは,更年期以降の女性において脂質異常症改善作用を示すと考えられます。



今後,さらにエビデンスの構築が期待される分野です。



なお,脂質異常症に対する第一選択の機能性食品素材/サプリメントは,(私見ですが)紅麹です。

コエンザイムQ10との併用が推奨されます。


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ビタミンEによる非アルコール性脂肪肝炎の改善作用 [2010年02月11日(木)]
今月の栄養学の専門ジャーナル(電子版)に,αトコフェロールとγトコフェロールによる非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の改善作用を示した基礎研究が,米国のグループ(University of Connecticut)から報告されていました。
(J Nutr Biochem. 2010 Feb 4)



非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の発症には,酸化ストレスの関与が示唆されています。



そこで,抗酸化作用を有するビタミンEによって,NASHに対する効果が期待されます。



ビタミンEは,トコフェロールとトコトリエノールに分けられ,さらに,それぞれがα,β,γ,δの4種類であることから,合計8種類になります。



サプリメントのビタミンEは,一般にαトコフェロールです。


γトコフェロール天然ビタミンEも製品化されています。




今回の研究では,肥満モデルマウスであるob/obマウスを用いて,LPS誘導性NASHに対する,αトコフェロールとγトコフェロールの作用が検証されました。


具体的には,

--αトコフェロールとγトコフェロールを各15 mg/kg

--αトコフェロールを500 mg/kg

--γトコフェロールを500 mg/kg

の用量で5週間投与し,さらにLPSが腹腔内に投与されています。



その結果,肝臓中のαトコフェロールおよびγトコフェロールの濃度は,それぞれ有意に増加し,LPSの作用は抑制されたということです。


LPS誘導性NASHにおいて,ALTは86%まで上昇したのに対して,いずれかのトコフェロールを投与した群では29-31%の上昇にとどまっています。


その他,MDAやTNFαの上昇も,トコフェロール投与によって抑制されました。


血中ALTの値は,肝臓のTNFαやMDAと有意に相関することから,LPS誘導性肝障害における炎症および脂質酸化による機序が考えられます。



今回の実験から,αトコフェロールおよびγトコフェロールは,抗炎症作用や抗酸化作用を介してLPS誘導性NASH/肝障害を抑制することが示唆されます。



今後,臨床的意義の検討が期待される分野です。


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マルチビタミンミネラルによる肥満改善 [2010年02月10日(水)]
今月の肥満研究の専門ジャーナル(電子版)に,マルチビタミンミネラルサプリメントによるエネルギー消費・脂質代謝に対する作用が,中国のグループ(Harbin Medical University)から報告されていました。
(Int J Obes (Lond). 2010 Feb 9.)



マルチビタミンミネラルサプリメントは,特定の効果を期待するというよりは必須栄養素の不足を補うため,継続して摂るベースサプリメントです。



平均的な日本人の食生活ではカルシウム亜鉛が不足していますし,若年女性では鉄不足が問題になります。


ビタミンB群は,糖代謝や脂質代謝に必須の成分ですし,疲労回復効果もありますので,多めに摂ることもあります。




肥満者では,摂取エネルギー量は多いことが推定されますが,ビタミンやミネラルといった微量必須栄養素は,偏食などのために不足していることがあります。



そこで,今回の研究では,肥満者における栄養サプリメントの投与が体重コントロールやエネルギーホメオスターシスに及ぼす影響が検討されました。


具体的には,肥満の中国人女性96名(BMI28,18-55歳)を対象に,二重盲検ランダム化偽薬対照試験として,26週間の介入が行われています。


試験では,1錠の

--マルチビタミンミネラル

--カルシウム 162mg

--偽薬

のいずれかが毎日投与されました。


87名が26週間の試験を完了しました。


体組成に関連する各指標が測定された結果,

偽薬群に比べて,マルチビタミンミネラル投与群では,
体重,BMI,体脂肪,総コレステロール,LDLコレステロールが有意に低下し,安静時エネルギー消費量とHDLが有意に増加していたということです。

呼吸商(P=0.053)やウエスト周囲長(P=0.071)も低下傾向を示しています。


カルシウム投与群でも,偽薬群に比べてHDLの有意な増加,LDLの有意な低下が認められました。




以上のデータから,論文著者らは,肥満者において,マルチビタミンミネラルサプリメントの投与は,エネルギー消費や脂肪酸化の増加を介して,体重や体脂肪の減少,脂質代謝の改善といった作用が示されたと考察しています。





偏食,単純炭水化物の過剰摂取,エンプティカロリーといわれるジャンクフードの過剰摂取などによる肥満の場合,ビタミンミネラルサプリメントによる一定の効果が期待できると考えられます。



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コエンザイムQ10の抗疲労効果 [2010年02月09日(火)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに,コエンザイムQ10による抗疲労効果を示した基礎研究が,スウェーデンのグループ(Uppsala University)から報告されていました。
(J Med Food. 2010 Feb;13(1):211-5.)



コエンザイムQ10は,ミトコンドリアにおけるエネルギー産生に関与する成分で,抗酸化作用を有し,多くの慢性疾患や生活習慣病で低下が認められます。



コエンザイムQ10の投与によって,さまざまな病態の改善が示されています。


また,加齢とともに減少することから,アンチエイジング分野でも広く利用されるサプリメント成分です。



さて,今回の研究では,コエンザイムQ10による抗疲労作用が検証されました。


具体的には,マウスを用いて,コエンザイムQ10を0, 1.5, 15, or 45 mg/体重kg/日の用量にて4週間投与し,運動負荷(swimming exercise)試験が行われています。


運動負荷試験前後で,血中尿素窒素や乳酸,肝グリコーゲンなどが測定されました。



その結果,対照群に比べて,コエンザイムQ10投与群では,

--運動耐用能の有意な向上(15 mg/kg/day; P < .05),

--肝グリコーゲン量の増加(15 and 45 mg/kg/day; P < .01 and P < .05, respectively),

--血中尿素窒素の有意な低下(1.5, 15, and 45 mg/kg/day; P < .01)

が認められたということです。




以上のデータから,コエンザイムQ10投与による運動耐用能の向上が示唆されます。




なお,以前,DHCと大学との共同研究として実施したヒト臨床研究では,コエンザイムQ10とビタミンの投与によって,運動負荷時の酸化ストレス障害が抑制される,という結果を得ています。




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