今月の補完療法の専門ジャーナル(電子版)に、帝王切開術後の不安に対するアロマセラピー精油の有用性を示した臨床研究が、イランのグループ(Jahrom University of Medical Sciences,)から報告されていました。
(J Complement Integr Med. 2019 Nov 15.)
不安は、分娩中の女性に認められる、最も一般的な心理的反応です。
他の多くの手術と同様に、術後の疼痛も、帝王切開(Cセクション)後に報告されています。
疼痛抑制に関する理論であるゲートコントール説などによると、
痛みと不安との間の関連が示唆されています。
さて、
今回の研究では、
帝王切開後の不安および疼痛の程度に対する、
ラベンダーとダマスクローズのエッセンシャルオイル(精油)を用いたアロマセラピーの有用性が検証されました。
具体的には、
3群でのランダム化試験として、
2017年にイランのジャロムにあるモタハリ病院にて帝王切開を施行された90名を対象に、
介入グループでは、ラベンダーとダマスクローズの精油を使用したアロマセラピーを受けています。
患者は、各エッセンシャルオイルを3滴ずつ別々に含んだ綿球を、10センチの距離で30分間、吸入し、
5分後に、疼痛や不安のVASとSpielberger State-Trait Anxiety Inventory(STAI, 状態‐特性不安尺度)が調べられました。
対照群は、
生理食塩水で同様の方法でアロマセラピーを受けています。
解析の結果、
まず、
介入前では、
痛みと不安の平均重症度に3つのグループ間に有意差はありませんでした(p> 0.05)。
次に、
介入後には、
偽薬群に比べて、
ラベンダーおよびダマスクローズアロマセラピー群では、
疼痛及び不安の平均重症度の有意な変化が見出されました。
(p <0.001)。
なお、
2種類の介入群の間では、
介入後での不安レベルの間に有意差は検出されませんでした。
(p> 0.05)
以上のデータから、
帝王切開術後の不安や疼痛に対して、
ラベンダー精油あるいはダマスクローズ精油の吸入アロマセラピーが有用であることが示唆されます。
(データでは、ダマスクローズエッセンシャルオイルがラベンダーよりも大きな効果を示すことが示唆されています。)
アロマテラピーは、安全性が高く、補完療法として様々な分野に用いられています。
最近の研究では、
アロマセラピーによる認知症改善作用
アロマセラピーによる術後の鎮痛効果
アロマセラピーによるストレス軽減効果@看護師
アロマセラピーによる掻痒改善効果@慢性維持透析患者
も示されています。
なお、
日本では、アロマセラピーの精油(エッセンシャルオイル)は雑貨扱いになっており、
品質が玉石混淆です。
したがって、一定以上の品質を有する、質の高いアロマセラピー製品を選ぶ必要があります。
DHCでは、
アロマセラピーの関連製品を扱っています。
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