サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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遺伝子検査を用いた疾病予防の費用対効果分析 [2019年03月01日(金)]
遺伝医学研究の専門ジャーナル(電子版)に、若年成人すべてを対象に、遺伝子(ゲノム)検査を行い疾病予防をはかることによる費用対効果を検証した研究が、オーストラリアのグループ(Monash University)から報告されていました。
(Genet Med. 2019 Feb 18)


今回の研究では、
単一支払者制度による保健医療制度(single-payer health-care system,国や政府機関が支払者となる国民皆保険制度)において、

若年成人すべてに対して、

疾病予防のためのゲノム検査(遺伝子多型検査)を提供することのインパクトと費用対効果が検証されました。


具体的には、

オーストラリアの18-25歳の2,688,192名を対象に、

病原性変異であるBRCA1/BRCA2/MLH1/MSH2の遺伝子変異の検査、

および、
嚢胞性線維症(cystic fibrosis;CFTR遺伝子の変異が原因となる常染色体劣性遺伝疾患)のキャリア、
脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy: SMA)のキャリア、
脆弱X症候群(fragile X syndrome, FXS)のキャリアについて、

1検査当たりAUD200から1200(USD$140から$850)のコストで、71%のテスト取り込み率として、スクリーニングモデルが設定されました。


投資費用は、
リスク群の個人やカップルに対して、
遺伝子カウンセリング、
監視(surveillance)、
介入(払い戻しのみ)
を含んでいます。


費用対効果は、

現在の標的テスト費用と比べて、増分費用対効果比ICERを用いて、

1日あたりAUD$50,000未満 (disability-adjusted life year)と定義されました。


アウトカムは、

がん罹患率、がん死亡率、疾病症例数、削減できた費用

です。


解析の結果、

標的検査に比べて、

一般人口を対象にした集団検診としてのゲノム検査によって、

変異に関連したがん罹患率が28.8%減少、

がん死亡率が31.2%減少、

CF/SMA/FXSの症例数が24.8%減少しました。


1検査あたりの費用を400AUDと仮定した場合、

現在の費用の4-5倍の費用が必要という試算です。


しかし、
疾病予防の結果、
削減される費用は、
1日あたりAUD$4038の高いICERとなります。


検査費用を200AUDとして場合、

遺伝子変異スクリーニングは、
保険制度に対しての費用削減アプローチになりえます。
(ICER = AUD$22/DALY)


以上のデータから、

若年成人期において、

疾病予防のための遺伝子変異スクリーニングは、

単一者医療制度(国や政府関係機関による保健制度)のもとで、費用対効果の高い方法であることが示唆されます。

今後、導入に際しては、倫理的課題の検証などが必要となります。



DHCの遺伝子検査がネイチャー誌に紹介されました


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DHCは、トータルヘルスケア企業として地方自治体と連携し、健康づくり事業に取り組んでいます。ふるさと納税にも協力し、地方創生を支援しています。
地域での健康長寿社会の実現に、DHCとして貢献できるように努めています。



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