今月の神経科学の専門ジャーナル(電子版)に、ビタミンD(2,000 IU)サプリメントによる片頭痛の予防/改善効果を示した臨床研究が、イランのグループ(Tehran University of Medical Sciences)から報告されていました。
(Neurol Sci 2020 Jan 2)
ビタミンDは、抗炎症作用や免疫調節作用、抗がん作用などを介した多彩な効果が知られています。
今回の研究では、
ビタミンD3サプリメント投与時の片頭痛患者の頭痛の特徴と炎症惹起マーカー/抗炎症マーカーの血中濃度への作用が検証されました。
具体的には、
二重盲検偽薬対照試験として、
片頭痛患者80名を対象に、
1日あたりの2000 IU(50μg)のビタミンDサプリメント投与群
あるいは
偽薬投与の2群について、
12週間の介入が行われました。
(ちなみに、日本の食事摂取基準は、2020年版でビタミンDの目安量が増えましたが、それでも340IU/8.5㎍であり、アメリカの半分以下の基準です。あまりに保守的であり、病人が増えたら儲かる厚労省の御用学者が作成した基準では、リアルワールドの課題解決にはつながりません。)
アウトカムとして、炎症関連マーカーなどが測定されました。
解析の結果、
交絡因子で補正後、
ビタミンD3サプリメント投与群では、
1か月あたりの頭痛日数が有意に減少(4.71)、
発作期間の短縮(12.99 時間/発作)、
頭痛の程度の軽減
(5.47、VAS)、
鎮痛剤使用の有意な減少(2.85)
が見出されました。
(いずれもプラセボ群に比べて有意に減少(P<0.05)。
プラセボ群では、
それぞれ、
6.43、18.32、6.38および4.87)
IL-10 とCox-2では、両群間に有意差は見出されませんでした。
一方、
iNOSの血中濃度は、
対照群に比べて、
(156.18 U / L P:0.001)
サプリメント投与群にて有意な減少を示しました。
(106.06 U / L)
IL-6濃度は、
ビタミンD3サプリメント投与群では、
(76.43 ng / L)
プラセボ投与群に比べて、
(93.10 ng / L)
低下傾向が見出されました。
(P値:0.055)
以上のデータから、
片頭痛患者において、
1日あたり2,000 IU(50㎍)のビタミンDサプリメントによる片頭痛の軽減作用が示唆されます。
作用機序として、ビタミンDサプリメントの抗炎症作用が考えられます。
日光浴でビタミンD不足が改善できると思いますか???
今年から、
「日本人の食事摂取基準2020年」が使われるようになります。
2015年版からの変更点の一つに、ビタミンDの目安量が1歳以上の男女各年齢層で引き上げられたことがあります。
最近の研究により、ビタミンDは、カルシウムの吸収促進だけではなく、免疫調節作用や抗炎症作用を介して、がんを含む生活習慣病の予防から、線維筋痛症などの慢性難治性疾患への有用性などが報告されています。
例えば、日本で行われた臨床研究では、
冬期に、学童に1日あたり1,200 IUのビタミンDサプリメントを投与した結果、
インフルエンザの罹患率が半減した、
というデータが示されています。
また、抗がん作用から、高齢者の転倒骨折予防/フレイル予防といった働きも知られています。
さて、2020年版の摂取基準では、次のように変更になりました。
日本人の食事摂取基準2015年版⇒2020年版
年齢 目安量(日)
18歳以上 5.5μg(220 IU)⇒8.5μg(340 IU)
ビタミンDの単位換算:1μg=40 IU
IU(アイユー、国際単位)、μg(マイクログラム)
しかし、この基準は、相変わらず、保守的で、リアルワールドでの課題解決にはならないと感じます。
(日本の学童でのインフルエンザ予防効果の研究では、
1,200 IU投与されています。摂取基準の3倍以上の用量です。)
おまけに、2020年版では、「適度な日照暴露が必要」などと脚注を入れ、
日光による皮膚合成の分を差し引いて、示されています。
現在、日本人は、子どもも若年女性も、高齢者もビタミンD欠乏が増加中です!
(子どものクル病が増え、高齢女性は、骨折転倒/フレイルにより、要介護要支援が激増しています。)
ビタミンD不足の原因としては、
女性は日焼け止めを使用、紫外線を避けます。
高齢者は、熱中症対策で外出しません。
子ども:偏食やアレルギーのために、魚、卵、キノコを食べない場合も。
等が考えられます。
厚労省の御用学者が作成したビタミンDの食事摂取基準では、
食事と日光浴が示されていますが、
日光浴で予防できると思いますか???
環境省のデータによると、冬の札幌では、ビタミンD合成のための日光浴は4時間!!!必要です。
夏の沖縄であれば、日光浴の時間は数分で大丈夫ですが、
高齢者では、皮膚での合成能も低下しており、かつ、熱中症のリスクもあります。
高齢者の健康長寿には、転倒骨折予防/フレイル予防が必須です。
一方、高齢者はビタミンD不足になるリスクが高いことがわかっています。
その理由として、
加齢とともに、皮膚がビタミンDをかつてほど効率的に合成できなくなること、
屋内で過ごす時間が長くなること、
ビタミンD摂取量が不適切になる可能性があること
が挙げられています。
そこで、米国科学アカデミーとIOMは、2010年10月に、下記のように、ビタミンDの推奨量(RDA)を引き上げました。
年齢 推奨量RDA(日)
19〜70歳まで 15μg(600 IU)
70歳超 20μg(800 IU)
また、米国骨粗鬆財団(NOF)の基準は、次のようになっています。
年齢 目安量(日)
50歳まで 10-20μg(400-800 IU)
50歳以上 20-25μg(800-1,000 IU)
一方、日本の基準は、2020年版でわずかに目安量が増やされていますが、
それでも、アメリカの基準の半分以下のレベルです。
これでは、ビタミンD不足が解消されないので、
子供のくる病が増え、
風邪やインフルエンザも流行し、
シニア層では、転倒骨折・フレイルも増加して、
という課題が残ります。
ただし、それはそれで、
厚労省が所管する医療機関は、売り上げが増えるので、ビタミンD不足が放置されるメリットはあります。
したがって、厚労省の御用学者が忖度した結果、病人が増えたら儲かる既得権益の団体に、という図式になってしまっています。
ちなみに、サプリメント・健康食品は、ヘルスケア産業なので、
病人が増えたら儲かる厚労マターではなく、
消費者が、自分の健康増進や未病改善のために、セルフケアでサプリメントを使うことで、
健康寿命の延伸/医療費削減になる、という経産省の考えに一致しています。
結局、エビデンスやリアルワールドでの課題を俯瞰するとき、食事や日光浴ではなく、ビタミンDサプリメントを活用して、となると考えます。
ビタミンDサプリメントの有用性に関するエビデンスは、メタ解析レベルで十分に構築されています。
相変わらず、厚労省の御用学者連中は、
サプリメントを不当に過小評価し、
摂り過ぎに注意、まずは食事から、と言っており、
今回のビタミンDに至っては、日照暴露で、などと言っています。
食事摂取基準2020年版では、ビタミンDについて、食育原理主義の栄養士や、勉強不足の医療関係者から、とんちんかんな情報が流されると思いますので、注意しましょう。
一般に、
健康保持や疾病予防の目的で利用されるビタミンD3サプリメントの摂取量は、
1日あたり
25マイクログラム(1,000IU)から50マイクログラム(2,000IU)です。
ビタミンDは、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な作用を有する脂溶性ビタミンの1種です。
多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。
日本からの報告では、
ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果
が知られています。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
DHCでは、
ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000 IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/mL増加する、
という報告もあります。
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。
DHCでは、
ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
フレイルは、高齢による虚弱に近い概念ですが、
身体的な機能の低下だけではなく、社会的、精神的な活力/機能の低下も含む概念です。
フレイルは、
「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」
と定義されます。
もともとは、老年医学の分野で使われる「Frailty(フレイルティ)」に対する日本語訳です。
「Frailty」を訳すと「虚弱」や「老衰」、「脆弱」などになりますが、介入による可逆性を示すために、あえてカタカナのフレイルという表現が使われています。
先行研究では、次の報告があります。
フレイルは認知症リスクを高める@イタリア
フレイル予防にはビタミンDサプリメントが有用:系統的レビュー
高齢者では、ビタミンDの不足や欠乏が高率に認められ、フレイルやプレフレイルのリスクとなります。
このフレイルのリスク状態を改善するには、食事摂取基準に示されたビタミンD (800 IU/day)よりも多くの量を摂取する必要があります。
フレイル予防にはビタミンDサプリメントが有用:系統的レビュー
HMB(エイチエムビー)+たんぱく質により退院後の死亡率が半減@低栄養の高齢者
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DHCは、トータルヘルスケア企業として地方自治体と連携し、健康づくり事業に取り組んでいます。ふるさと納税にも協力し、地方創生を支援しています。
地域での健康長寿社会の実現に、DHCとして貢献できるように努めています。
ビタミンMが認知症と脳卒中を防ぐ!―日本人が知らない健康長寿のための葉酸の効果
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