先月の生薬学の専門ジャーナルに、ノニ(学名Morinda citrifolia モリンダ・シトリフォリア)についての総説が掲載されていました。
(Planta Med 2007; 73: 191-199)
ノニは、90年代以降、日本や米国でサプリメント・健康食品として製品化されています。
特に近年、米国での販売が伸びているようです。
(今年の初めに開催された米国でのカンファレンスで、そのようなデータが提示されていました。主にネットワークビジネスによるものと思います。)
さて、今回の総説では、ノニ果実の機能性成分に関する有効性および安全性について、薬理学的考察が行われました。
(この論文は、スイスのバーゼル大学の研究グループからの報告です。欧州では、2003年にノニ果実がNovel Foodとされています。)
総説によると、
--近年、ノニ果実の化学的構成成分について、知見が集積されつつある。
--ただし、研究の多くはin vitro研究であり、一部がin vivo研究による。これらが、有効性に関する可能性を示唆しているにとどまる。
--基礎研究による臨床的意義は明確ではなく、臨床研究データが欠如。
--毒性試験データに基づくと、ノニジュースは安全であると考えられる。
となっています。
その他、欧州ではノニ(ジュース)製品の摂取に関連した肝障害を報告した症例があり、安全性について再検討されています。
もっとも、現時点では、ノニジュース摂取と肝障害との因果関係はf明確ではない、あるいは否定的のようです。
ただし、体質による個人差もありますので、ノニ製品を利用する際には、必要に応じて臨床検査データをモニターすることが推奨されます。
また、ノニ製品については、あたかも万能薬であるかのような訴求が行われている場合もあります。
今後、有効性と安全性を検証するための質の高い臨床研究が求められます。
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