6月16日付の米国の内科学専門ジャーナルに,スタチン不耐症の脂質異常症患者に対し,紅麹の代替投与が有用であるという臨床研究が,米国のグループから報告されていました。
(
Ann Intern Med 16 June 2009; Vol. 150, No. 12)
スタチン系薬剤は,コレステロール合成系を阻害することから,脂質異常症に広く利用されています。
しかし,副作用として横紋筋融解症があり,筋痛症のためにスタチン不耐症のケースがあります。
一方,サプリメント・健康食品では,
紅麹(べにこうじ)が脂質異常症に対して有効であることが報告されてきました。
(いわゆる悪玉コレステロールであるLDLコレステロールの低下作用が臨床試験で示されています。)
さて,今回の研究では,スタチン不耐症のため,スタチン系薬剤を投与できない脂質異常症患者を対象に,紅麹の有効性と許容性が検討されています。
具体的には,筋痛症のためにスタチンを中止した既往を有する脂質異常症患者62名を対象に,ランダム化偽薬対照法にて,1日あたり3600mg(分2)の紅麹(n=31)あるいは偽薬(n=31)が12週間投与されました。
(両群ともライフスタイル療法プログラムと併用。)
(一般に,紅麹には全重量比で0.2%のモナコリンKが存在。)
主アウトカムはLDLコレステロール値で,投与前,12週後,24週後に測定。
副アウトカムは,総コレステロール,HDL,中性脂肪,肝逸脱酵素,CPK値,体重,疼痛スコアなど。
試験の結果,紅麹投与群では,LDLが前値と比べて12週後には43mg/dL低下,24週後には35mg/dL低下となっています。
(偽薬群のLDLは,12週後に11mg/dL低下,24週後に15mg/dL低下)
LDL値は,偽薬群に比べて,紅麹投与群にて有意に低下しています。(12週後;P < 0.001,24週後;P = 0.011)。
また,総コレステロール値についても有意な低下が認められました。
(12週後;P < 0.001,24週後;P = 0.016)
なお,HDL,中性脂肪,肝逸脱酵素,CPK,体重,疼痛スコアなどの指標については,紅麹投与群と偽薬群との間で有意な差は認められていません。
以上のデータから,
紅麹は,スタチン不耐症患者に対して,治療の選択肢の一つと考えられます。