今月の栄養学の専門ジャーナルに,オメガ3系脂肪酸による脂質代謝への影響を検討した基礎研究が,イタリアのグループから報告されていました。
(
J Nutr. 2009 Aug;139(8):1495-501.)
DHAやEPAなどのオメガ3系脂肪酸は,脂質代謝改善作用や抗炎症作用を有することが知られています。
サプリメントでは
フィッシュオイルやDHA,EPAの他,
クリルオイルもあります。
クリルオイルは,オキアミ油であり,オメガ3系脂肪酸に加えてアスタキサンチンが含まれています。
さて,今回の研究では,(1)フィッシュオイル,(2)クリルオイル,(3)対照オイルの3種類を,肥満モデルラットに4週間投与して,脂質代謝および炎症への作用が検討されました。
このとき,指標として組織中の内在性カンナビノイドも測定されています。
(カンナビノイドは抗肥満薬のターゲットに用いられたことがあります。)
オメガ3系脂肪酸投与の結果,対照群に比べて,肝内の中性脂肪,炎症刺激に対する腹膜マクロファージ反応が有意に低くなりました。
また,クリルオイル投与群では心臓の中性脂肪も低下しています。
さらに,これらの作用は,内在性カンナビノイドの低下(内臓脂肪中のアナンダミドおよびアラキドノイルグリセロール,肝臓と心臓のアナンダミド)との相関が認められています。
(このとき,カンナビノイド分解酵素の活性亢進は認められていません。)
以上のデータから,フィッシュオイルやクリルオイルなどオメガ3系脂肪酸の投与は,脂質代謝の改善に有用であり,炎症惹起物質を低下させ,それらの作用機序として内在性カンナビノイドの関与が示唆されます。
今後,臨床的意義の解明が期待される分野です。
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オキアミの油なんですね。
アスタキサンチンも含まれているとは、なかなか優秀な油ですね。