今月の栄養学の専門ジャーナルに,ポリフェノールの豊富なダークチョコレートによる血圧と糖代謝の改善作用を示した臨床研究が,イギリスのグループから報告されていました。
(
Br J Nutr. 2010 Mar;103(6):842-50.)
これまでの多くの研究によって,ダークチョコレートによる健康保持や疾病予防作用が知られています。
作用メカニズムとして,カカオポリフェノールによる抗酸化作用などが考えられます。
さて,今回の研究では,ポリフェノールを豊富に含むダークチョコレートによる空腹時血糖値,総コレステロール値,血圧への影響が検討されています。
具体的には,肥満あるいは過体重の被験者14名を対象に,500mgのポリフェノールを含むダークチョコレートを20g投与した群,あるいは,1000mgのポリフェノールを含むダークチョコレートを20g投与した群での比較が行われました。
(ランダム化クロスオーバー法。2週間ずつの介入。1週間のwash-out。)
介入試験の結果,両群とも空腹時血糖値,収縮期血圧,拡張期血圧の低下が認められています。
また,各検査値の低下(改善)の割合は,両群とも同程度であったことから,今回の被験者では500mgのポリフェノール投与で機能面ではプラトーに達したと推察されます。
その他,尿中遊離コーチゾン値の低下傾向が認められています(有意差なし)。
カカオポリフェノールについては,高血圧改善作用を示した臨床研究が多いようです。
今回は,肥満者を対象に糖代謝の改善作用も示されていますが,一般的なチョコレートの摂取では,ポリフェノールの効果がチョコレートに含まれる糖質などの影響で相殺されてしまうことも考えられますので,注意が必要です。
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