軽度のアルツハイマー病患者に、オメガ3系脂肪酸のサプリメントを投与したところ、症状の進行が抑制されたという
臨床試験が報告されました。
試験で利用されたオメガ3系脂肪酸サプリメントの成分は、DHAとEPAです。
今回の臨床試験は、さまざまな程度の症状を示す204名のアルツハイマー病患者を対象に行われました。
対象者には、1日あたり
@1.7グラムのDHAと0.6グラムのEPA、
あるいは
A偽薬
が6ヶ月間投与されました。
その後、全員がオメガ3系脂肪酸を6ヶ月以上投与されています。
174名が試験を完了しました。
その結果、患者群全体で平均してみるとき、オメガ3系脂肪酸サプリメントによる効果は明確ではありませんでした。
しかし、患者のサブグループ解析によると、軽症のアルツハイマー病患者(MMSE>27ポイント)において有意な効果(つまり症状進行の抑制作用)が示されています。
オメガ3系脂肪酸がアルツハイマー病に効果を示すメカニズムはよくわかっていません。
仮説として、例えば、抗炎症作用による働きも考えられます。
今回の試験で、軽症患者にのみ有意な効果を認め、より進行した患者には効果が示されなかった理由として、進行した患者では(食事性因子に由来するサプリメントのみでは)『すでに手遅れ』ということかもしれません。
アルツハイマー病に対するオメガ3系脂肪酸サプリメントの有効性について、さらに臨床試験が必要と考えられます。