Neko

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眉毛 [2007年01月07日(日)]
自慢じゃないが、っていうか、全く自慢にならないのだけど、わたしは眉毛が太い。それもかなり太い。

 昔、村山富市という総理大臣がいたけれど、かの首相の眉毛も相当なもので、真っ白な眉毛はまるで仙人のようにふさふさとしたものであった。ちょうどバブル景気に沸いたころ、ワンレンボディコンのおねえさまがたは、ゲジゲジのぶっとい眉毛で世の中を闊歩していたものだ。バブルがはじけ、景気が衰退していくにつれ、眉毛の勢いもだんだん細く細くなっていった。

 本来、女性と違い、男性の眉毛はありのままに生やしていても問題ないはずだったのだけど、女性がシャープペンで書いたような細まゆをしているのに、男性がぼうぼうではおかしいとでも思ったのであろうか、男性用の眉毛お手入れキットが発売されるに至った。
 そのころのお話である。
 取引のある会社の営業さん、といっても、彼はその会社の若旦那であったのだが、彼は若旦那らしく、お金持ちでいつも高そうなスーツを着ていたし、おしゃれな眼鏡も会うたびに変わっていたような気がした。流行に敏感な彼は、顔のお手入れも欠かさなかったのであろう。見た目には気がつかなかったが、そうだったに違いない遠方の方だったので、3、4ヶ月に一回程度しか、顔を合わせることがなかったのだが、あるとき、ずいぶん印象が違う顔をして現れた。それまで、どんなに派手な眼鏡や奇抜なネクタイしていても、べつに違和感はなかったのだが、そのときだけはなんかいつもと違う感じがした。営業話をしながら、その原因はいったい何なんだろうかと思い、彼の姿を、スーツ、ネクタイ、シャツ、眼鏡、髪形などまるで舐めるように目をキョロキョロさせた。
 わかった眉毛である。
 彼の眉毛もわたしのほどではないものの、通常サイズよりちょっと幅広タイプであった。それが細くなっており、角のところはマジックと定規で測って書いたようにカクカクとしていた。気付かれないように眉毛に目を凝らすと、右と左が若干違うようでもある。わたしは、途中からおかしくなって、笑いそうになったが、くだんの若旦那にはいつも以上の笑顔での対応と映ったようだ。
 だが、残念ながら、こちらは彼の眉毛を見つめることに夢中で、営業話の内容などうわのそらであった。
 そのことが原因で、というわけでもないのだけれど、わたしは眉毛の手入れをしない。床屋さんで輪郭の周りのむだ毛を剃ってもらったり、とくに伸びている毛をハサミで手入れしてもらったりする程度だ。
 だがしかし、最近眉毛の伸びるスピードが上がってきたような気がする。年をとると眉毛の伸びると聞いたことはあったものの、こんなに伸びるもんか、という感じである。以前は、数本伸びる程度であったが、いまでは十数本の眉毛が日に日に成長していっている気がする
左右のかたちが違う眉毛にはぜったいなりたくないので、しばらくは様子を見るつもりだが、40代で仙人眉っていうのもなぁ、しかも黒い仙人眉って、仙人眉でなくて鬼瓦権三だよなぁ〜、・・・。