今月の栄養学の専門ジャーナルに、シャロットのケルセチンについてバイオアベイラビリティ(利用性)を検討したヒト臨床研究が、ポーランドのグループから報告されていました。
(J. Nutr. 2008 138: 885-888.)
シャロット(shallot、学名Allium cepa L. var. aggregatum)は、タマネギの変種です。
シャロットやタマネギには、フラボノイド系ファイトケミカルのケルセチンが含まれます。
ケルセチンは、脂溶性の性質を有しており、配糖体よりもバイオアベイラビリティが高いと考えられます。
しかし、これまでのヒト臨床研究では、ケルセチンは、その配糖体よりもアベイラビリティが低いとされてきました。
この理由として、それらの試験で用いられた化学物質としてのケルセチンアグリコンが、ヒトの腸管では吸収されにくかった可能性が考えられます。
そこで、今回の研究では、植物性食品に由来するケルセチンを用いて検証が行われました。
ボランティア9名を対象に、ランダム化クロスオーバー法にて、シャロット果肉(99.2%がケルセチン配糖体、0.8%がケルセチンアグリコン)、あるいはシャロット乾燥皮(16.7%がケルセチン配糖体、83.3%がケルセチンアグリコン)のいずれかが、1.4mgケルセチン/kg体重の用量で単回投与されました。
シャロット摂取前後で、血中ケルセチン濃度が測定された結果、最大濃度は、
ケルセチン果肉摂取後(平均2.33時間後):1.02 ± 0.13 µmol/L
ケルセチン乾燥皮摂取後(平均2.78時間後):3.95 ± 0.62 µmol/L
であったということです。
また、AUCも、乾燥皮摂取時のほうが、果肉摂取時よりも有意に高値でした。
以上のデータから、タマネギなどの食材に存在するケルセチンは、アグリコンのほうが配糖体よりも高いアベイラビリティを示すと考えられます。
|