そのノブは心の扉
劇団ひとり/著
発行年月:2008年3月
お笑い芸人として、俳優として、そして、作家として、ノリにノッている著者による初のエッセイ集。
“ひとりで遊び、ひとりで悩み、ひとりで書いた”めくるもく独特の「ひとりワ−ルド」が全開
ドラマでも多種多様なキャラクタ−を演じきっていて、この人凄いなぁ〜と密かに思っている劇団ひとりさん。
「陰日向に咲く」も面白かった!
その彼が書くエッセイなら絶対、面白いはず!と読む前から期待感大きく、読みながらその期待が裏切られることなく、想像以上の面白さでした!
やっぱり、この人、凄い!
エッセイですが、一応本人は「この作品は、事実を元にしたフィクションです」と断っています。だけど実際はほぼ、事実そのままじゃないの?なんて勝手に思ってしまいました。30以上のお話なんですが、そのひとつひとつにちゃんと話しのオチみたいなのがあって、さすがお笑いさん!
どれも面白いんですが、一番最初にある「無償の愛」は良かった!
最初だからインパクトも大きかったのかもしれないけど、わざわざ「愛」に無償とつけるくらいだから一般的な「愛」というのは有償なんだという説からはじまる彼の行動。
なるほどね〜そういえばそうよね〜?なんて先ずは感心しちゃったりして、そういうことに気づくのが凄いなぁ〜おもしろいなぁ〜と最初からハマってしまいました。
これは、一人で楽しむには勿体ない!
家族にも続いてよむように薦めました。
午後の音楽
小池真理子
発行年月:2008年10月
言葉は恋を生み、恋は音楽を奏でた。
メ−ルだけで書かれた新しい恋愛小説。
(本の帯文より)
これは、夜、家事を済ませた後で、一気読みしました。
小池さんの恋愛小説の持つ雰囲気は前から好きでしたが、これはそのなかでも一番かも。
あくまでもわたしの個人的趣味ですが・・・^^;
ここで出てくる男女は・・・女性側からしたら自分の妹のご主人という関係。
普通、あまり義理の異性の兄弟姉妹とは、連絡を取り合うなどないことだと思うのですが、由布子の妹が子宮筋腫の手術をする事になり、まだ小学生の甥のことも気がかりで仕事(翻訳と大学の講師)も丁度、時間的自由のきく期間だということで暫くの間、食事の用意や家事の一部を負担しても良いと妹のご主人である龍士郎に提案したことから、二人のメ−ルでのやり取りが始まります。
メ−ルといってもパソコンのメ−ルなので、最初は儀礼的なことだけだったのが、仕事の事や、自分の周りに起こった出来事なども段々に書かれるようになります。
わたし自身、メ−ルのやりとりを異性としたことは、ないのですが、確かに手紙とは違いメ−ルは今の気持ちを今、相手に伝えられるという点では、ありのままの気持ちを相手に伝えることにもなるのかもしれないなぁ〜なんて思います。
手紙なら、例えば、素直に気持ちを書いてもポストに投函して相手に届くまでの時間に既に書いたときの感情は消えているかもしれないし、投函前に相手に伝えることを止めるかも。
ここに出てくる男女、由布子と龍士郎は、最初から義理の姉と弟という関係なので、段々、メ−ルでお互いの考え方に触れながら相手に惹かれていく気持ちと、それをセ−ブしなくてはならないという気持ちの葛藤が、切なかったです。
この二人はどうなるんだろ?と気になりつつ、その行方を追いましたが、自分が納得出来る最後でよかった。
メ−ルで綴られるので、前編横書き。
流行の携帯小説の雰囲気でしたが、そこにあるのは大人の良識ある言葉。
違和感なく読めました。