文芸誌に今年の文藝賞(第45回)受賞作品が紹介されていたので、その2作品を読んでみました。
おひるのたびにさようなら
安戸悠太/著
発行年月:2008年11月
会社の昼休み、真司は、日課のように病院の待合室に行く。
昼ドラマをみるために。
病院の待合室なので、テレビは無音。
昼ドラの内容を把握するためには、想像力を必要とする。
なにもそんなドラマを苦労してみなくても・・・・と思うと、そうまでして観続ける理由があって。
先輩女子社員に自分の想像力を駆使して理解したドラマの内容を伝えるという使命があったから。
会社の外階段で真司とほか二人の女子社員がドラマについて語る。
実際の内容はどうなのか、さておき、真司の画像だけみて感じる、ドラマの主人公たちの気持ちなどを語る様子が面白かった。
先輩女子から「おもしろいことは詳しく、どうでもいいことは飛ばしてはなして」なんて注文が入りながらも一生懸命ドラマの内容を伝える真司。
でも、この職場のあるビル取り壊しに伴い、社員はバラバラに他の営業所に配置されることが決まっている。
期間限定のお遊びというわけですが、こんな楽しみが会社勤務の昼休みにあったら楽
しそうだなぁ〜なんて思いながら読み終えました。
けちゃっぷ
喜多ふあり/著
発行年月:2008年11月
引きこもりで自殺願望ありの女の子HIRO。
人と話すことはなく、自身のブログでは過激な口調で気持ちをぶつけている。
ブログのコメント欄に度々、書き込みしてくれるヒロシが「どうせ死ぬなら一度、俺と会ってくれないかな?」とある日、書き込んだことに対してウザイと思いながらも強引に場所と日時を指定してきたヒロシを陰で見るだけみて帰ってこようと出かけるHIRO。
でも、何故かヒロシに先にみつかり声を掛けられる。
二人はマックへ。
でもHIROは喋らず・・・・・携帯でブログに気持ちを書く。それをみてヒロシが話すの繰り返し。
ブログに書き込むHIROの言葉は、ちょっと引いちゃうような言葉だったりで、読みづらいのです。
卑猥な単語も多いので、イヤだなぁ〜と思う箇所も多数です^^;
もしかしたら、途中でギブアップされちゃう作品かも。
でも、引きこもりで自殺願望ありの子がヒロシという現実と向き合うことで、少しずつ、バ−チャルな世界から現実の世界に出てくるのでは?という希望が少し持てるラストは良かったかな?
表題の「けちゃっぷ」も内容に合ったものだと思います。
けちゃっぷ=血
のり=うその血
物語のなかにもけちゃっぷが度々、登場していました。
この二人の作家さん、なかなか個性的。今までにない内容でそれぞれに驚きがありました。
次回作が楽しみな作家さん二人の誕生かな?
授賞式の画像がありました!
左が安戸悠太さん、右が喜多ふありさんです。