今月の臨床スポーツ医学の専門ジャーナルに,アスリートの摂取栄養素の状態について解析した調査研究が,カナダ・カルガリー大学のグループから報告されていました。
(
Clin J Sport Med. 2009 Sep;19(5):405-11.)
今回の研究では,カナダにおける一流のアスリート324名を対象に,3日間の前向き調査研究が実施されています。
具体的には,8ヶ所のカナダスポーツセンターのhigh-performanceアスリート(男性114名,女性201名,平均年齢21.3歳)を対象に,摂取した食物,飲料,サプリメントが記録され,各栄養素の割合が解析されました。
その結果,摂取総エネルギー量は,
男性アスリート:2533±843 Kcal/日
女性アスリート:2304±713 Kcal/日
となっています。
炭水化物:たんぱく質:脂質の割合(エネルギー比)は,
53%:19%:28%,
一日あたりの平均の炭水化物とたんぱく質の摂取量は,
5.1 ± 1.8 g/kg体重
1.8 ± 0.6 g/kg体重
でした。
なお,これらのデータは,アスリートにおけるRDAを下回っています。
一方,サプリメントの利用が各栄養素の摂取量を増加させることが示されています
具体的には,17種類の栄養素について,食事のみからではRDAの120%から366%の摂取量であるのに対して,サプリメントとの併用では134%から680%となっています。
今回のデータから,カナダの一流アスリートは,エネルギー量や炭水化物についてRDAを満たしていないものの,微量栄養素ではRDAを充足していることが示されており,微量栄養素については一定の品質の食品を摂取していることが推測されます。
また,サプリメントの併用は,エネルギー量,三大栄養素,微量栄養素の摂取量を有意に増加させる働きが示されました。
アスリートではサプリメントの利用は当然と考えられます。
臨床スポーツ医学は,各競技に応じて,また,個人の体質に応じて,オーダーメイドの栄養療法が必要な分野です。
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