農芸化学の専門ジャーナルに,マテによる脂質異常症改善作用を示したヒト臨床研究が,ブラジルのグループから報告されていました。
(
J Agric Food Chem. 2009 Aug 20.)
マテ(イエルバ・マテ,学名
Ilex paraguariensis )は,南米原産のモチノキ科の常緑樹で,現地では伝統的にマテ茶として飲用の嗜好品として利用されています。
有効成分として,カフェインやテオブロミン,テオフィリンといったアルカロイド類が見出されており,基礎研究では抗肥満作用が示唆されています。
そこで,最近では,生活習慣病対策の機能性食品素材として
マテ抽出物が製品化されています。
さて,今回の研究では,102名の被験者を対象に,マテによる脂質代謝への影響が検証されました。
具体的には,
健常者(脂質異常症ではない被験者)(n=15),
脂質異常症患者(n=57),
長期間のスタチン治療を受けている高コレステロール血症患者(n=30),
の3群を対象に,
1回あたり330mlのマテ抽出物含有飲料を1日3回,40日間投与し,脂質関連指標が測定されています。
(一重盲検対象試験として実施。利用されたマテは,グリーンマテあるいはローストマテ。)
その結果,
まず,健常者では,LDLコレステロール値が8.7%低下しました(p < 0.05)。
次に,脂質異常症患者では,投与前と比べて,投与開始20日目の時点と40日目の時点におけるLDLコレステロール値は,それぞれ8.1%と8.6%有意に低下していました(p < 0.001 )。
また,非HDLコレステロール値もそれぞれ5.4%と6.5%有意に低下しています(p < 0.01)。
マテ投与20日後では,アポリポプロテインBが6.0%低下(p < 0.05),HDLコレステロール値が4.4%増加(p < 0.01)しました。
なお,このときの中性脂肪値には有意な変化は認められていません。
さらに,スタチン剤による治療中の脂質異常症患者では,マテ投与20日目と40日目の時点において,LDLコレステロール値が10.0%と13.1%それぞれ低下しています(p < 0.05)。
以上のデータから,マテ抽出物による脂質異常症改善作用(悪玉コレステロール低下作用,善玉コレステロール増加作用),スタチン治療との併用による相加作用が示唆されます。
------------------------------------------------------------------
医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】
------------------------------------------------------------------