今月の栄養学のジャーナルに、柑橘系の生薬による抗肥満作用・生活習慣病改善作用を示したヒト臨床研究が報告されていました。
(Nutr J. 2008 May 20;7(1):16)
この研究は、キハダ(Phellodendron amurense bark)とオレンジ(Citrus sinensis peel)の2種類の成分を含むサプリメントの効果を検討する目的で、膝関節症と診断された普通体重および肥満者80名を対象に、8週間の偽薬対照二重盲検ランダム化比較試験として行われたものです。
(用量は、1カプセル370mgを4カプセル/日。)
指標として、体重、BMI、血圧、脂質代謝、空腹時血糖などが測定され、45名が試験を完了しました。
その結果、生薬サプリメント投与群では、正常体重および肥満者のいずれの群でも脂質代謝の改善が認められたということです。
(対照群に比べて、中性脂肪およびLDLの有意な低下、HDLの有意な増加。)
また、対照群に比べて、生薬投与群では、普通体重および肥満者の両群において血圧の低下が認められ、肥満者では偽薬群に比べて空腹時血糖値の有意な低下が示されています。
(普通体重群では、空腹時血糖には有意な差は認められていません。)
さらに、対照群に比べて、有意な体重の減少も認められました。
(肥満者における8週間後の平均体重減少幅は5%。)
なお、この臨床研究では、重篤な有害事象は認められていません。
以上の予備的な臨床データから、この2種類の生薬サプリメントによる抗肥満作用・生活習慣病改善作用が示唆されます。
今後、さらに質の高い研究による検討が期待される分野です。
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