栄養学の専門誌に、炭水化物の摂取と大腸がんとの関係を示した疫学研究が、米国のグループから発表されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 88: 1074-1082)
高グリセミックロード(GL)食の摂取は、高インスリン血症を介して、大腸がんのリスクを高めることが考えられます。
(一般に、単純炭水化物の多い食事が高GL食になります。)
そこで、今回の研究では、グリセミックロードと大腸がんのリスクとの関係を調べる目的で、191,004名を対象に、8年間のフォローアップが行われました
2,379例の大腸がん(大腸腺がん)が見出され、グリセミックロード、炭水化物、ショ糖の摂取との関連が調べられた結果、女性において、GLが高値になるほど大腸がんのリスクが低下するという相関が認められました。
(高GL群は低GL群に比べて25%の低下。P for trend =0.02)
(なお、高GL値への関与因子として、白米が大きいということです。)
一方、男性では、GLと大腸がんリスクとの相関は認められていません。
炭水化物およびショ糖と大腸がんリスクとの関連も類似した結果となっています。
この研究では、女性におけるGL値と大腸がんリスクとの負の相関関係は、すべての人種グループにおいて認められています。
以上のデータから、高GL値および炭水化物の摂取は、女性における大腸がんリスクを低下させることが示唆されます。
なお、これまでの研究では、炭水化物の摂取と大腸がんリスクは無関係であるというデータや、炭水化物の摂取が少ないほうが、がんリスクを低減できるというデータが多いと思います。
今回は、一般的な説とは逆のデータになっていますので、今後の検証が必要と考えられます。 |