サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

2009年06月  >
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
内職
論文の別刷 (05/10)
河端ゆき
CoQ10の抗がん作用 (04/27)
最新トラックバック
高麗人参による皮膚老化の抑制作用 [2009年06月30日(火)]
今月の生薬学の専門ジャーナルに,高麗人参(朝鮮人参)が,紫外線による皮膚の光老化を抑制するという基礎研究が報告されていました。
(J Ethnopharmacol. 2009 Jun 25;123(3):446-51)



高麗人参(朝鮮人参)は,東アジアの伝統医療において滋養強壮に用いられてきた生薬です。

近年の研究によって,アダプトゲンとしての多彩な作用が注目されています。



今回の研究では,紫外線(UVB)によって生じる皮膚の老化(光老化)が,高麗人参の摂取によって防ぐことができるかどうか,疾患モデルマウスを対象に検討されています。


具体的には,標準化された朝鮮人参(Rb1; 43.5mg/g)を2.5%の割合で含む餌を投与し,UVBによって生じる光老化への作用が測定されました。

(プロコラーゲンタイプTやMMP-1のmRNA発現やタンパク質の変化などを測定。)



その結果,高麗人参投与による光老化/皺抑制作用として,コラーゲン合成の促進よりもコラーゲン崩壊阻害が作用機序として示唆されています。



以上のデータから,高麗人参による皮膚の老化抑制作用が示唆されます。



皮膚のアンチエイジングにおける高麗人参の臨床的意義の確立が期待されます。
posted at 23:56 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
マリアアザミによるアルツハイマー予防の可能性 [2009年06月29日(月)]
今月の薬理学の専門ジャーナル(電子版)に,マリアアザミの成分によるアルツハイマー予防の可能性を示唆した基礎研究が報告されていました。
(Br J Pharmacol. 2009 Jun 22 PMID: 19552690)



マリアアザミ(学名Silybum marianum,英名milk thistle)は,肝臓保護作用を有するハーブで,欧米で広く利用されています。


(肝臓のためのサプリメントといえば,日本ではウコンですが,欧米ではマリアアザミのほうが広く認知されていると思います。)



さて,認知症の1種であるアルツハイマー病は,アミロイドベータ(Aβ)というタンパク質が蓄積し,認知機能に異常をきたす疾患で,酸化ストレス障害の関与も考えられています。


マリアアザミの有効成分であるシリビンsilybin(シリビニンsilibinin)が抗酸化作用を有することから,今回の研究では,シリビニンによる神経保護作用(Aβによる神経毒性に対する保護作用)が検討されています。



具体的には,Aβ蓄積による認知障害を生じた疾患モデルマウスに対して,シリビニンが1日あたり2,20,200mg/kg体重の用量にて経口投与され,6-11日後に認知機能が測定されました。



Y-mazeやnovel object recognition testなどにて認知機能が評価された結果,シリビニン投与によって,Aβによる記憶障害が抑制されることが示されています。


さらに,シリビニンの反復投与によって,海馬において,Aβによる酸化障害の抑制が認められました。



以上のデータから,マリアアザミの有効成分であるシリビニンがAβによって生じる障害を抑制し,アルツハイマー病の予防に寄与する可能性が示唆されます。



なお,マリアアザミを認知症予防に使うというよりは,肝臓保護効果を目的としてとっていたマリアアザミに中枢に対する効果も期待できる,ということになると思います。
posted at 23:55 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
レセプション [2009年06月28日(日)]
いま参加している学会でのレセプション風景です。






posted at 23:58 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
2型糖尿病患者における共役リノール酸の効果 [2009年06月27日(土)]
今月の栄養学の専門ジャーナル(電子版)に,2型糖尿病患者(肥満者)を対象に,共役リノール酸の効果を検証した臨床研究が報告されていました。
(Am J Clin Nutr. 2009 Jun 17. PMID: 19535429)



2型糖尿病を有する肥満者では,減量による血糖コントロールの改善が期待されます。


今回の研究では,共役リノール酸(CLA)摂取による体組成への効果が検証されています。


具体的には,2型糖尿病に罹患した閉経後の肥満女性55名を対象に,クロスオーバー法にて,1日あたり8グラムの共役リノール酸(CLA)あるいは対照(ベニバナオイル)が投与されました。

(16週間×2回,計36週間の試験。wash-outは4週間)



35名が36週間の試験を完了した結果,CLA投与によって,BMIの有意な減少(P = 0.0022),全脂肪量の有意な減少(P = 0.0187)が認められ,このとき,除脂肪体重には変化は認められませんでした。


CLAによるBMI低下作用は,16週間の試験期間のうちの後半8週間において,見出されています。



これに対して,対照群のベニバナオイル投与群では,BMIや全脂肪量に有意な差は認められていません。

一方,躯幹部の脂肪は減少し,除脂肪体重は増加したということです。




なお,両群どちらにおいても,摂取エネルギー量や脂肪摂取量には変化はありませんでした。




以上のデータから,2型糖尿病を有する肥満者において,共役リノール酸による減少効果が期待されます。



近年,共役リノール酸の体重減少効果に関して,臨床試験によるエビデンスが集積されつつあります。
posted at 23:53 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
地中海食のエビデンス [2009年06月26日(金)]
今月の循環器学の専門ジャーナル(電子版)に,地中海食(地中海式食事/ダイエット)についてのレビューがイタリアのグループから発表されていました。
(Curr Opin Cardiol. 2009 Jun 20. PMID: 19550306)



慢性疾患を予防し,健康長寿に寄与する食事としては,地中海食が最も科学的根拠が豊富に示されています。



地中海食の特徴は,

--オリーブオイルなどの植物オイル

--魚介類

--複合炭水化物・全粒の穀類

が豊富であることです。



たとえば,疫学研究では,心疾患のリスクを減らすことが知られています。

食品成分に関する個別の研究では,オリーブオイルの機能性,トマトのリコピン,赤ワインポリフェノールなどのデータが豊富です。



今回のレビューでは,心疾患およびその他の慢性疾患/変性疾患に対する地中海食の1次予防および2次予防効果について検証が行われました。



近年の研究では,個別の食品成分や栄養素を摂取することよりも,地中海食としてバランスの取れた食品群を摂る事によるシナジーの重要性が示されるようになっています。

(具体的には食事スコアなどによる測定方法による検証です。)



そして,最近の研究でも,地中海食の摂取と,全死亡率の低下および心血管疾患リスクの減少との相関が認められているということです。


論文著者らは,地中海食の摂取が,好ましい健康アウトカムおよびQOLに相関すると考察しています。



日本では,伝統的な和食が健康にいいと思われがちですが,日本の伝統食では食塩や脂質,タンパク質のバランスが適切とはいえないと思います。

医学的なエビデンスという点では,地中海食のほうが勝っているようです。
posted at 23:54 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
緑茶と前立腺がんマーカー [2009年06月25日(木)]
今月の腫瘍学の専門ジャーナル(電子版)に,緑茶ポリフェノールによる前立腺がん関連マーカーに対する作用を検討した研究が,米国のグループから報告されていました。
(Cancer Prev Res. 2009 Jun 19. PMID: 19542190 )



緑茶にはカテキン類に代表されるポリフェノール/ファイトケミカルが存在し,基礎研究において,抗酸化作用・抗がん作用が知られています。


今回の研究では,前立腺がんと診断された男性26名を対象に,800mgのEGCGを含む緑茶カテキン類(茶ポリフェノールとして合計1.3g)が,前立腺切除術施行前まで投与されました。


カテキン投与前と,カテキン投与後で前立腺切除術前に採血が行われ,血中の各種マーカーが測定されました。


測定マーカー:

前立腺がん関連マーカー:PSA(prostate-specific antigen)

がん関連繊維化としてのマーカー:HGF(hepatocyte growth factor),VEGF (vascular endothelial growth factor),IGF(insulin-like growth factor)-I, ,IGFBP-3(IGF binding protein-3)。

(他に,安全性のマーカーとして肝逸脱酵素)



その結果,PSA, HGF, VEGF, IGF-I, IGFBP-3, IGF-I/IGFBP-3比において,いずれも有意な低下が認められました。


また,総タンパク質,アルブミン,ALP,アミラーゼ,GOTも有意に低下しています。



さらに,in vitroアッセイ系にて,HGFとVEGFの低下は,前立腺がんに付随する繊維化のマーカーであると確認されたということです。




以上のデータから,緑茶ポリフェノールであるカテキン(EGCG)は,前立腺がんの予防や治療に補完的に利用しうることが示唆されます。


今後,さらに質の高い臨床研究による検討が期待されます。

posted at 23:57 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
植物ステロールの抗がん作用 [2009年06月24日(水)]
今月の栄養学の専門ジャーナル(電子版)に,植物ステロールの抗がん作用を示した総説論文が,カナダのグループから発表されていました。
(Eur J Clin Nutr. 2009 Jun 3. PMID: 19491917)



植物ステロールは,腸管におけるコレステロール吸収を抑制し,血中LDLコレステロールを低下させ,心血管疾患リスクを低減する働きがあります。


この作用についてはコンセンサスが得られており,米国では健康強調表示も認められています。



一方,植物ステロールでは,肺がんや胃がん,卵巣がん,乳がんなどに関して,抗がん作用も示されてきました。


今回の研究では,これまでの報告について系統的なレビューが行われており,血管新生の抑制,発がん物質の産生,がん細胞増殖,転移,アポトーシスなどについて,検討されています。


植物ステロールの摂取は,抗酸化酵素の活性を亢進し,酸化ストレスによる障害を減少されると考えられます。


また,植物ステロールは,細胞膜の構造や機能に影響を与えることで,アポトーシスを誘導する働きも有しています。


許容性に関して,健常者が1日あたり2gのレベルで摂取する際には特に問題となる有害事象は知られていません。



論文著者らは,植物ステロールによる抗がん作用を支持するデータが集積されつつあり,植物ステロールの摂取は心血管リスク低減に加えて,抗がん作用も期待されると考察しています。


今後,質の高い臨床研究による検証が期待される分野です。
posted at 23:55 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
クリニカル・エビデンス集 [2009年06月23日(火)]
この3月まで,厚労科研の研究班でご一緒させていただいたT先生から,論文の別刷が送られてきました。


エビデンスに基づいた相補代替医療(CAM)の情報収集

というタイトルの論文です。
(JIM 2009;19:64-69)



CAM/TMのエビデンス収集方法について,これまでの経緯も踏まえて解説されています。


データベースとしては,CAM on PubMedが最も利用されていると思います。


論文の中では,クリニカル・エビデンス集として,英国エクセター大学のグループによる書籍とともに,拙著のEBMサプリメント事典が紹介されていました。



EBMの専門家による論文に,拙著が引用されることは非常に光栄と考えています。
posted at 23:52 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
DHAとベジタリアン食 [2009年06月22日(月)]
今月の脂質研究の専門ジャーナル(電子版)に,ベジタリアンにおけるDHA血中濃度を検討した研究が,イギリスのグループから報告されていました。
(Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids. 2009 Jun 3. PMID: 19500961)




オメガ3系脂肪酸の1種であるDHAやEPAは,機能性を有しており,健康保持・疾病予防に重要な働きをしています。

(一言で説明すると,DHAは脳のための栄養素,EPAは血管のための栄養素,という働き方です。)



先日のブログで紹介しましたように,日本人の食事摂取基準2010年版では,「目標量では、EPA 及びDHA を1g/日以上摂取することが望ましい」とされています。



オメガ3系脂肪酸のうち,DHAやEPAは魚介類に豊富に含まれ,αリノレン酸は植物オイルに存在します。




一般に,ベジタリアン食ではDHAの摂取量が少なく,ヴィーガン食ではDHAは含まれていません。


さて,今回の研究では,ベジタリアンおよびヴィーガンにおける血中DHA値が検討されました。

(既報のレビューです。)




食事分析によると,ヴィーガン食はDHAが含まれておらず,ラクトオボベジタリアン食では1日あたり0.02グラムのDHAしか含まれていませんでした。


ベジタリアン特にヴィーガンでは,αリノレン酸がDHAやEPAの供給源として重要と考えられています。

(αリノレン酸は,それらの前駆体となるため。)


血中,赤血球中,母乳中,組織中のいずれにおいても,DHA値は,非ベジタリアンに比べてベジタリアンおよびヴィーガンでは低値でした。



αリノレン酸の摂取によって,血中EPAは増加しましたが,血中DHAの増加は認められていません。


少量のDHA投与(200mgのpreformed DHA投与)によって,ベジタリアンおよびヴィーガンの血中DHAは大きく上昇しています。



一方,低DHA値にともなう健康上のリスクは,ベジタリアンでは特に見出されていません。



以上のデータから,ベジタリアン食およびヴィーガン食では,非ベジタリアン食に比べてDHAが十分ではないことが考えられます。





健康上の問題が認められない理由は不明ですが,全般的に,ベジタリアン食が非ベジタリアン食に比べて健康上のメリットが多いため,オメガ3系脂肪酸が相対的に少ないというデメリットを上回るためとも考えられます。
posted at 23:58 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(1)
エコ・アトキンス・ダイエット(2) [2009年06月21日(日)]
現時点では,至適な減量法についてのコンセンサスは得られていません。


ただ,近年の研究では,ローカーボダイエットの減量効果を示すエビデンスが集積されつつあります。


たとえば,摂取エネルギーの制限を行わない低炭水化物食と,摂取エネルギー制限を行った低脂肪食を比較したレビューによると,1年以内の体重減少効果は低炭水化物において顕著になっています。(Arch Intern Med. 2006;166:285-93.)



このレビュー以降も,ローカーボダイエット・炭水化物制限食による減量効果が報告されるようになり,従来型の低脂肪食よりも効果的であることが示されてきました。


ただし,ローカーボ・炭水化物制限食のプロトコールでは,タンパク源として動物性食品があげられます。


そこで,ベジタリアンなど植物性食品を中心にとる場合のローカーボダイエットについて,明確なプロトコールはなく,臨床研究もありませんでした。


(一般に,ベジタリアンは非ベジタリアンに比べて,BMIが低く,肥満者が少ない,という総説は知られています。一方,ベジタリアン食であっても,単純炭水化物の摂取が多ければ,肥満になると考えられます。)


このような現状において,昨日紹介しました,エコ・アトキンス・ダイエットは,
メジャーな医学ジャーナルにおいて,植物性食品を中心としたベジタリアン食によるローカーボダイエットが減量に効果的である,
というデータを示したことに意義があると考えられます。
posted at 23:55 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
エコ・アトキンス・ダイエット [2009年06月20日(土)]
今月の内科学の専門ジャーナルに,植物性食品をベースにした低炭水化物ダイエットに関する臨床研究が,カナダのグループから報告されていました。
(Arch Intern Med. 2009 Jun 8;169(11):1027.)



近年の研究によって,低炭水化物・高タンパク質食による減量効果が示されています。

アトキンスダイエットが代表的なローカーボ(低炭水化物)ダイエットです。


低炭水化物・高タンパク質ダイエットでは,一般に,動物性食品が主なタンパク源として用いられます。



今回の研究では,グルテン,大豆,ナッツ類,野菜,シリアル,植物油脂を中心にした低炭水化物食と,低脂肪乳製品と全粒穀類製品を中心にした高炭水化物食が比較され,植物性食品をタンパク源とした低炭水化物食による減量効果が検証されました。



具体的には,肥満の男女47名を対象に,

(1)低炭水化物(エネルギー比26%),植物性食品由来の高タンパク質(31%,グルテン,大豆,ナッツ,果物,野菜,シリアル),植物性オイル(43%)の植物性食品

あるいは

(2)高炭水化物のラクトオボベジタリアン食(炭水化物58%,タンパク質16%,脂質25%)
のいずれかが,4週間投与されました。
(並行試験)


47名のうち44名(94%)が試験を完了しました(実験群22名,対照群22名)。


試験完了時の減量幅は,両群とも同程度(約4.0kg)でした。


しかし,LDLコレステロール,総コレステロール,アポリポプロテインB/AT比の減少幅は,低炭水化物食のほうが,高炭水化物食よりも有意に大きくなっています(それぞれ-8.1% [P = .002], -8.7% [P = .004], -9.6% [P = .001])。



以上のデータから,植物性食品に由来する低炭水化物食は,高炭水化物食に比べて,体重減少効果と脂質代謝改善作用を有しており,動脈硬化性疾患の予防などに効果が期待できます。

posted at 23:54 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
亜鉛@日本人の食事摂取基準(2010年版) [2009年06月19日(金)]
昨日の続きです。

来年度から使用される「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では,現行の2005年版と比べていくつかの変更点があります。



機能性食品素材の点から目を引いたのは,オメガ3系必須脂肪酸について,DHAとEPAの摂取量に関する言及でした。(昨日のブログをご覧ください。)


その他の必須栄養素の中では,亜鉛も変更になっています。


2010年版では,1日あたりの推奨量(RDA)は,30〜49歳の成人男性で12mg,同世代の女性で9mgです。

(2005年版では,それぞれ9mg,7mgでした。)


亜鉛の豊富な食材には牡蠣が知られています。


亜鉛不足の障害として,たとえば,味覚障害があります。


加工食品の摂取が多い人や,外食・偏食傾向のある人は,亜鉛サプリメントを予防的に摂ることが望ましいでしょう。
posted at 23:52 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
フィッシュオイル@日本人の食事摂取基準(2010年版) [2009年06月18日(木)]
先日,厚労省から「日本人の食事摂取基準(2010年版)」が公表されました。



現行の2005年版にかわり,2010年度(来年4月)から5年間使用される基準です。



策定の目的として,

「日本人の食事摂取基準は、健康な個人または集団を対象として、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的とし、エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すものである。」

とあります。




2005年版と比べていくつかの変更が見られます。


その中で注目したいのは,オメガ3系脂肪酸(n-3系必須脂肪酸)の食事摂取基準です。


オメガ3系脂肪酸に関する基準は,2005年版から取り入れられています。



今回の改訂では,「n-3 系脂肪酸の食事摂取基準」の項に,

「目標量では、EPA 及びDHA を1g/日以上摂取することが望ましい。」

と記載されています。



青魚に多く含まれるDHAやEPAについては,近年,さまざまな効能効果が明らかにされています。


(DHAやEPAは,体にいい脂質として,動脈硬化性疾患の予防や中枢神経系への効果などの機能性が知られています。)




食事摂取基準は,あくまでバランスの取れた食事を想定した基準です。


一方,食事で足らない分を補うために,フィッシュオイルDHAEPAといったサプリメントを上手に利用することのメリットも多いと考えます。
posted at 23:53 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
『統合医療ガイドブック』 [2009年06月17日(水)]
『統合医療ガイドブック
    --補完代替医療の安全性・有効性と統合医療の意義--』

という冊子が届きました。



公的研究助成である厚生労働科学研究費補助金を受けた「統合医療の安全性と有効性に関する研究」班によって作成されたパンフレットです。



H18年度から20年度の3年間の研究を踏まえて,補完代替医療に関する一般向け情報をまとめています。


各論として,

--サプリメント/健康食品

--カイロプラクティック/整体

--鍼灸治療

--ホメオパシー

を取り上げています。


(私は,総論部分とサプリメント/健康食品の各論を担当しました。)



一般向けの情報冊子ですので,今後,PDFファイルの形式での配布を計画しています。
posted at 23:55 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
紅麹によるスタチン不耐症の脂質異常症治療 [2009年06月16日(火)]
6月16日付の米国の内科学専門ジャーナルに,スタチン不耐症の脂質異常症患者に対し,紅麹の代替投与が有用であるという臨床研究が,米国のグループから報告されていました。
(Ann Intern Med  16 June 2009; Vol. 150, No. 12)



スタチン系薬剤は,コレステロール合成系を阻害することから,脂質異常症に広く利用されています。


しかし,副作用として横紋筋融解症があり,筋痛症のためにスタチン不耐症のケースがあります。



一方,サプリメント・健康食品では,紅麹(べにこうじ)が脂質異常症に対して有効であることが報告されてきました。

(いわゆる悪玉コレステロールであるLDLコレステロールの低下作用が臨床試験で示されています。)





さて,今回の研究では,スタチン不耐症のため,スタチン系薬剤を投与できない脂質異常症患者を対象に,紅麹の有効性と許容性が検討されています。


具体的には,筋痛症のためにスタチンを中止した既往を有する脂質異常症患者62名を対象に,ランダム化偽薬対照法にて,1日あたり3600mg(分2)の紅麹(n=31)あるいは偽薬(n=31)が12週間投与されました。

(両群ともライフスタイル療法プログラムと併用。)

(一般に,紅麹には全重量比で0.2%のモナコリンKが存在。)


主アウトカムはLDLコレステロール値で,投与前,12週後,24週後に測定。

副アウトカムは,総コレステロール,HDL,中性脂肪,肝逸脱酵素,CPK値,体重,疼痛スコアなど。



試験の結果,紅麹投与群では,LDLが前値と比べて12週後には43mg/dL低下,24週後には35mg/dL低下となっています。

(偽薬群のLDLは,12週後に11mg/dL低下,24週後に15mg/dL低下)


LDL値は,偽薬群に比べて,紅麹投与群にて有意に低下しています。(12週後;P < 0.001,24週後;P = 0.011)。


また,総コレステロール値についても有意な低下が認められました。

(12週後;P < 0.001,24週後;P = 0.016)



なお,HDL,中性脂肪,肝逸脱酵素,CPK,体重,疼痛スコアなどの指標については,紅麹投与群と偽薬群との間で有意な差は認められていません。



以上のデータから,紅麹は,スタチン不耐症患者に対して,治療の選択肢の一つと考えられます。
posted at 23:56 | この記事のURL
コメント(2) | トラックバック(0)
サメ肝油の抗腫瘍作用 [2009年06月15日(月)]
今月の薬理学の基礎研究ジャーナル(電子版)に,サメ肝油による抗腫瘍作用を示した基礎研究が報告されていました。
(J Ethnopharmacol. 2009 Jun 5. PMID: 19505554)




サメ肝油(Shark Liver Oil,深海ザメ肝油エキス)は,深海産のサメの肝臓に含まれる油脂を成分とするサプリメント・健康食品です。



スクワレンやアルキルグリセロールなどが含まれています。



スカンジナビアでは,深海サメ肝油成分が,がんなどさまざまな疾患に対して用いられてきました。




さて,今回の研究では,正常マウスを対象に,サメ肝油エキス(SLO)の抗腫瘍作用(抗がん作用)が検討されています。


具体的には,SLOを腹腔内投与し,免疫系に対する作用が測定された結果,Tリンパ球浸潤の抑制,腫瘍増殖の抑制,サイトカインパターンのTh1への変化,IFNγおよびCD8の増加などが認められました。



以上のデータから,サメ肝油による免疫調節作用,抗がん作用が示唆されます。



サメ肝油の抗がん作用については,基礎研究のデータがいくつか報告されています。

ただし,質の高い臨床試験は知られていません。


今後,臨床研究による検討が期待される分野です。
posted at 23:53 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
オリーブオイルの肝保護作用 [2009年06月14日(日)]
今月の消化器病学の専門ジャーナル(電子版)に,オリーブオイルによる肝保護作用を示した基礎研究が報告されていました。
(J Gastroenterol. 2009 Jun 9. PMID: 19506795)



オリーブオイルは,単価不飽和脂肪酸であり,動脈硬化性疾患の予防効果が知られています。



最近の研究では,ポリフェノールの豊富なバージンオリーブオイルによる効果が示されています。



さて,今回の研究では,肝障害モデル動物(CCl4誘導性肝障害モデルマウス)を対象に,オリーブオイルあるいはコーンオイル(対照)を6.25g/Lの割合で含有する餌が投与され,肝機能の変化が測定されています。



実験の結果,オリーブオイル投与によって,血中の肝逸脱酵素の値,TGFβ・1型コラーゲンα2のmRNA発現の低下が認められました。



その他,オリーブオイル投与によって,肝障害・肝繊維化に関連する指標の改善が示唆されています。



作用機序としてオレイン酸を介したメカニズムが考察されています。




今後,臨床的意義の検討が期待される分野です。
posted at 23:54 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
健康者表彰 [2009年06月13日(土)]
健康保険組合から,「健康者表彰」の記念品が届きました。


平成20年度の1年間,健康保険を利用しなかった(=健康を保持した)ということのようです。


(健康保険を使わなかった→健康を保持した→疾病予防事業の一環として表彰,というしくみです。)



民間のレベルで行える健康維持のインセンティブは,このくらいなのかもしれません。



ただ,個人のライフスタイルの改善にて予防が可能な病態が増えている現在,健康増進・疾病予防のためのインセンティブについては,公的な施策が必要と思います。



例えば,サプリメント・健康食品の購入代金,スポーツジムの会費など,健康保持に個人が使った費用は,一定の条件の下で税控除が可能かもしれません


(現在の制度は,健康を維持するための「健康保険制度」ではなくて,病気になった後のことをカバーする「疾病管理制度」になっています。)



コンセンサスが得られにくい部分ですが、制度変更について議論を積み重ねて行くことができればと思っています。
posted at 23:56 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
前立腺炎に対する補完療法としてのノコギリヤシ [2009年06月12日(金)]
今月の感染症治療の専門ジャーナルに,ノコギリヤシ等を含むハーブ複合サプリメントによる慢性細菌性前立腺炎への補完療法としての効果を示した臨床研究が,イタリアのグループから報告されていました。
(Int J Antimicrob Agents. 2009 Jun;33(6):549-53.)



ノコギリヤシは,前立腺肥大症に伴う症状の改善に対して用いられるハーブです。



今回の研究では,前立腺炎で抗生物質(プルリフロキサシン)を服用中の患者を対象に,ノコギリヤシ/セイヨウイラクサ,ケルセチン/クルクミンの複合サプリメントが投与されています。



具体的には,慢性細菌性前立腺炎患者284名からクラス2の前立腺炎患者143名を対象に,まず,被験者全員に対して1日あたり600mgのプルリフロキサシン (prulifloxacin;フルオロキノロン系抗菌薬)が14日間投与されました。


次に被験者を2群に分け,抗菌薬に前述のサプリメント複合剤を併用する群(n=106)と,抗菌薬単独投与群(n=37)とで,6ヶ月間のフォローアップが行われています。



1ヵ月後の時点で,慢性前立腺炎の症状が改善された(症状が消失した)被験者の割合は,抗菌薬とサプリメントの併用群では89.6%であったのに対して,抗菌薬単独投与群では27%に過ぎませんでした。(P < 0.0001)



6ヵ月後の時点では,併用群では再発率がゼロであったのに対して,単独投与群では2名の患者が再発しています。


QOLに関連した指標においても,抗菌剤単独投与群に比べて,ハーブサプリメント併用群では有意な改善が認められました。




以上のデータから,ノコギリヤシ/セイヨウイラクサ,ケルセチン/クルクミンの複合サプリメントは,慢性細菌性前立腺炎に対する抗菌剤治療の補完療法として有用であることが示唆されます。
posted at 23:58 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
サプリメントを買う場所 [2009年06月11日(木)]
6月10日付で公表された,ネットでの調査リポートで,

『サプリメントを買う場所、「ネットショッピング」がトップに』

という記事がありました。




20歳以上の男女1,000名を対象に行われたインターネット調査です。



この調査によると,サプリメントの購入場所として,ネットショッピングがドラッグストアを抜いて1位になっています。

(下記のように,昨年まで,ネットショッピングは2位でした。)


ネットショッピング ドラッグストア

2009年 39% 36%

2008年 33% 38%

2007年 29% 37%




同調査で,

「あなたが利用したことがある市販のサプリメントメーカーは?」

という項目では,

弊社が36%と1位になっています。

(2位以下は,F社,O社,S社,K社という順番です。)




近年,各種の調査によって,サプリメント・健康食品の利用者が増えていることが示されています。


今後も,購入ルートとしてネットショッピングが用いられることは間違いないと思います。


サプリメント・健康食品の適正な使用のためには,購入のためのサイトというだけではなく,情報提供という点でもネットが活用できると考えられます。




なお,健康増進や疾病予防には,適切な食生活と運動習慣が基本です。


その上で,優れた品質で適正な価格のサプリメント・健康食品を,補完的に上手に利用するという選択肢も受け入れられつつあります。


今後,有効性と安全性,経済性といった視点からの有用な情報が,ネット等を活用して提供されることで,サプリメント・健康食品の適正な利用方法が認知されることを期待したいと思います。

posted at 23:55 | この記事のURL
コメント(0) | トラックバック(0)
| 次へ
プロフィール


医学博士 蒲原聖可
自己紹介
ブログ
リンク集

http://www.dhcblog.com/kamohara/index1_0.rdf
ログイン
Mypagetopに戻る