今月の臨床栄養学の専門ジャーナルに,ギャバ(GABA)による高血圧改善作用を示した臨床研究が,新潟大学のグループから報告されていました。
(
J Clin Biochem Nutr. 2009 Jul;45(1):93-100.)
高血圧を改善するサプリメント成分として,
酢,カツオペプチド,
サーディンペプチド,
コエンザイムQ10,
カカオなどが知られています。
また,
GABAによる降圧作用を示唆するデータもあります。
今回の研究では,健常者あるいは高血圧症患者を対象に,GABA(ギャバ,γアミノ酪酸)・酢・かつお由来成分含有飲料による高血圧改善作用が検討されています。
具体的には,健常者(正常血圧の人)15名あるいは,軽症/中等度高血圧患者21名を対象に,GABA/酢/かつお投与群(1日あたり90ml中に,GABA70mg,酢2.07g,乾燥かつお0.15g)あるいは酢/かつお投与群に分けて12週間の二重盲検偽薬対照ランダム化試験が行われました。
(2週間の投与前観察期間,12週間の投与期間,4週間の投与後観察期間。)
投与の結果,高血圧患者群では,GABA含有飲料あるいは非含有飲料のいずれの投与でも,投与前に比べて,12週間投与後の時点において,収縮期血圧(それぞれ-7.6 +/- 4.0,-5.5 +/- 1.5 mmHg, p<0.05),および拡張期血圧(それぞれ -10.6 +/- 4.0, -7.6 +/- 1.7 mmHg, p<0.01)が有意に低下しています。
このとき,血液生化学検査や生理学的指標において問題となる副作用は認められていません。
なお,健常者群への投与では,血圧の有意な変化は認められませんでした。
以上のデータから,GABA(ギャバ),酢,かつお成分による降圧作用が示唆されます。
この降圧作用は,正常血圧者では認められないことから,高い安全性が示唆されます。
軽症および中等度の高血圧患者における補完療法として,有用な機能性食品と考えられます。