今月の薬理学の専門ジャーナル(電子版)に,マリアアザミの成分によるアルツハイマー予防の可能性を示唆した基礎研究が報告されていました。
(Br J Pharmacol. 2009 Jun 22 PMID: 19552690)
マリアアザミ(学名Silybum marianum,英名milk thistle)は,肝臓保護作用を有するハーブで,欧米で広く利用されています。
(肝臓のためのサプリメントといえば,日本ではウコンですが,欧米ではマリアアザミのほうが広く認知されていると思います。)
さて,認知症の1種であるアルツハイマー病は,アミロイドベータ(Aβ)というタンパク質が蓄積し,認知機能に異常をきたす疾患で,酸化ストレス障害の関与も考えられています。
マリアアザミの有効成分であるシリビンsilybin(シリビニンsilibinin)が抗酸化作用を有することから,今回の研究では,シリビニンによる神経保護作用(Aβによる神経毒性に対する保護作用)が検討されています。
具体的には,Aβ蓄積による認知障害を生じた疾患モデルマウスに対して,シリビニンが1日あたり2,20,200mg/kg体重の用量にて経口投与され,6-11日後に認知機能が測定されました。
Y-mazeやnovel object recognition testなどにて認知機能が評価された結果,シリビニン投与によって,Aβによる記憶障害が抑制されることが示されています。
さらに,シリビニンの反復投与によって,海馬において,Aβによる酸化障害の抑制が認められました。
以上のデータから,マリアアザミの有効成分であるシリビニンがAβによって生じる障害を抑制し,アルツハイマー病の予防に寄与する可能性が示唆されます。
なお,マリアアザミを認知症予防に使うというよりは,肝臓保護効果を目的としてとっていたマリアアザミに中枢に対する効果も期待できる,ということになると思います。
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最近、物忘れが激しいので、調べていてたどり着きました。漢方薬に期待しています。
又ちょくちょく伺い楽しませていただきます。