今月の栄養学の専門誌に、オリーブオイルのポリフェノールによる血小板凝集抑制作用を示した研究が、イタリアのミラノ大学のグループから発表されていました。
(Br J Nutr. 2008 May;99(5):945-951.)
今回の研究では、オリーブオイルに含まれるポリフェノール類が血小板凝集能を抑制するかどうか、また、その作用機序としてcAMP-およびcGMP-PDE(phosphodiesterases)の関与の有無が検討されました。
ポリフェノールの含有量が異なる4種類の抽出物で比較検討が行われています。
この研究では、オリーブ由来のポリフェノールとして、ヒドロキシチロソール、チロソール、オレユロペン・アグリコン、フラボノイド類(ケルセチン、ルテオリン、アピゲニン)が見出されています。これらの中では、オレユロペン・アグリコンがもっとも豊富なポリフェノールであったということです。
(ポリフェノール含有量の多いオリーブオイルでは、その含有量は250mg/kgあるいは500mg/kgでした。一方、含有量の低いものでは46mg/kgです。)
解析の結果、オリーブオイル抽出物による血小板凝集抑制作用が認められました。
cAMP-PDEの阻害も示された一方で、PDE5A1に対する作用は認められていません。
以上のデータから、オリーブオイル抽出物およびそのポリフェノール類は血小板凝集抑制作用を有しており、その作用機序の一つとしてcAMP-PDE阻害作用が示唆されます。
血小板凝集抑制作用は、循環改善をもたらすことで、心筋梗塞や狭心症など動脈硬化のリスクを低減すると考えられます。
|