今月の栄養学の専門ジャーナルに、人工透析患者において魚油(フィッシュオイル)が糖代謝に影響することなく糖負荷時の副腎反応性を抑制するという研究が、フランスのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 May;99(5):1041-1047.)
人工透析患者では、心血管イベント発生が高率であり、一因として、インスリン抵抗性の亢進と副腎活性の関与が考えられます。
魚油は、健常者においてインスリン感受性を改善することから、今回の研究では、人工透析患者における作用が検討されています。
研究では、人工透析患者8名を対象に、魚油(1日あたり1.8gのEPA+DHA)を3週間経口投与し、糖負荷時の糖代謝に関連する指標が調べられました。
消費エネルギーや血漿カテコールアミン類が測定された結果、糖負荷によって血漿エピネフリンが有意に増加しています。
一方、魚油サプリメント投与は、全身の糖代謝やインスリン感受性に影響することなく、経口糖負荷時における副腎の過反応を抑制することが示されました。
以上のデータから、人工透析患者における魚油サプリメントの効能が示唆されます。
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