今月の栄養学の専門ジャーナルに、アスタキサンチンの立体異性体のバイオアベイラビリティに関して、野生種と養殖のサケの相違を比較検討したヒト臨床研究が、ドイツのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 May;99(5):1048-1054.)
アスタキサンチンとは、カロテノイド系ファイトケミカルの1種です。
サケには、藻類に由来するアスタキサンチンが存在します。
今回の研究では、健康な男性28名を対象に、ランダム化二重盲検法にて、野生種(Oncorhynchus spp.)および養殖のサケを1日あたり250グラム、4週間摂取させ、血漿中のアスタキサンチンが測定されています。
(なお、サケ1グラムあたりアスタキサンチンは5マイクログラム存在するということです。)
血漿アスタキサンチン値および異性体の分布が測定された結果、まず、血漿中の濃度は6日後にプラトーに達しています。
(野生種では39 nmol/l消費後、養殖では52 nmol/l消費後。)
投与3日目から14日目までは、養殖サケを摂取したほうが、血中アスタキサンチン濃度が有意に高値でしたが、28日目にはその差はなくなっています。
また、異性体については、両者の間でパターンに相違が認められ、摂取したサケの種類に依存する傾向が示されています。
これらの相違が臨床的なアウトカムにも違いを生じうるのか、今後の検討が期待されます。
(アメリカの統合医療関係の学会では、ワイルドアラスカサーモンが推奨され、試食に提供されているのをみたことがあります。なんとなく良さそうなイメージはありますが、サケがアスタキサンチンを作るわけではないので、臨床的に何か差があるのか、興味深いところです。)
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