今月の栄養学の専門ジャーナルに、犬を対象にした食事と寿命の関係についての研究が、アメリカのグループから報告されていました。
(
Br J Nutr. 2008 Apr;99(4):793-805.)
食事と寿命(加齢・老化)の関係について、これまでの多くの研究では、摂取エネルギー制限(食事制限)によって寿命が延びることが示されてきました。
作用メカニズムとして、過食による酸化ストレスが寿命を短くするといったことが推測されます。
(つまり、摂取エネルギーを制限することで、酸化ストレスを減らし、寿命を延長させる、ということになります。)
さて、今回の研究では、犬を対象に摂取エネルギー制限が行われています。
ラブラドールリトリーバー48頭を対象に、8週齢の時点から、対照食摂取群と食事制限(25%制限)群の2群で比較した結果、食事制限群では寿命が1.8年間延長した、ということです。
(2群間の相違は、摂取カロリーのみです。必須栄養素などは充足されています。)
また、食事制限群では、晩年に後発する疾患の発症遅延も認められました。
(例えば、骨関節炎など。)
なお、長期間の食事制限の実施でも、骨代謝などへの悪影響は認められていません。
現在、酸化ストレスは、老化の一因と考えられます。
ただし、加齢・老化の原因として、酸化ストレス説以外にも多くの仮説があります。
また、エネルギー制限群が長生きするかどうか、ヒトでの検証は困難です。
(なお、寿命を延ばすエネルギー制限と、栄養障害/栄養不足は異なります。)
その他、過食や運動不足で体脂肪が過剰になると、インスリン抵抗性が増大し、寿命や慢性疾患のリスクと相関することも知られています。
愛犬を長生きさせるためには、エネルギーの過剰摂取をさけて、バランスのとれた食事を与えることが基本と考えられます。
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