サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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ビタミンDと骨の健康維持 [2008年04月30日(水)]
今月の栄養学の専門誌に、少年期におけるビタミンDと骨の健康との関係を検討した研究が、イギリスのグループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 87: 1039-1044.)


研究では、12歳の男女(それぞれn=260, n=266)と15歳の男女(n=239, n=250)を対象に、血中ビタミンD、副甲状腺ホルモン、オステオカルシン、骨密度などの指標が測定された結果、女児ではビタミンD値が高いほど、骨密度が有意に高いという相関が認められています。

一方、男児ではこの相関は認められませんでした。


論文著者らは、血清のビタミンD(25-hydroxyvitamin D)値を一定以上に維持することが、骨の健康改善に費用対効果の高い方法であると推察しています。
posted at 23:54 | この記事のURL
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透析患者でのブドウ果汁の抗酸化作用 [2008年04月29日(火)]
今月の栄養学の専門誌に、透析患者を対象にしてブドウ果汁の抗酸化作用を示した臨床研究が、スペインのグループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 87: 1053-1061.)


動脈硬化性心血管疾患は、透析患者における重大なリスクです。
原因として、酸化ストレスや慢性炎症の関与が指摘されています。


今回の研究では、透析患者32名を対象に、RGJ(濃縮赤ブドウ果汁;concentrated red grape juice)をポリフェノール源とした単独投与、あるいはビタミンEとの併用投与による抗酸化作用が測定されました。
(抗酸化能の指標として、好中球のNADPH oxidase活性が用いられています。)

RGJ、ビタミンEのそれぞれ単独投与、あるいは併用投与が行われ、7日後および14日後の血漿検体が解析された結果、まず、RGJ投与では総コレステロール値、アポリポプロテインBが低下、HDLコレステロールが増加しました。
(この作用はビタミンE群では認められていません。)

次に、酸化LDLおよび抗酸化能は、RGJおよびビタミンEの両群において低下が認められ、併用投与では作用の増強効果が示されました。

その他、炎症マーカーの低下も認められています。


以上のデータから、RGJによる抗酸化作用および脂質代謝改善作用が示唆されます。

ただし、透析患者では適切な栄養指導・食事療法が重要ですので、一律にブドウ果汁の摂取が推奨できるというものではありません。

posted at 23:56 | この記事のURL
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骨関節炎とMSM [2008年04月28日(月)]
骨関節炎に関する専門誌の電子版に、MSMの効果をレビューした論文が掲載されていました。
(Osteoarthritis Cartilage. 2008 Apr 14,PMID: 18417375)


骨関節炎に対するDMSO(n=297)あるいはMSM(n=52)の臨床試験を検討した結果、MSMの効果についてはポジティブなデータが示唆されています。


現在、骨関節炎の患者が増加していることから、さらに多くの臨床研究が期待される分野です。


なお、MSMは、単独で利用される他、らくらくにも含まれている成分です。

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コラーゲンによる関節痛の軽減作用 [2008年04月27日(日)]
今月の電子ジャーナルに、コラーゲンサプリメントの摂取によって運動選手の関節痛が軽減されるという臨床研究が報告されていました。
(Curr Med Res Opin. 2008 Apr 15)


コラーゲンはタンパク質の1種で、骨や関節、皮膚など結合組織の構成成分となります。

関節軟骨を正常に保つ働きがあると考えられ、骨関節炎に対して用いられるサプリメントの成分です。


さて、今回の研究では、コラーゲン(collagen hydrolysate)が、運動選手の関節機能に及ぼす影響が検討されています。

偽薬対照ランダム化比較試験として、(関節疾患を有していない)運動選手147名を対象に、コラーゲン10g(n=73)、あるいは偽薬(n=74)が24週間投与され、関節痛や関節機能(可動性や炎症)に関連する指標が検討された結果、医師の評価による安静時の関節痛、参加者の評価による関節痛(立位や歩行時など5種類の評価法)の有意な改善が認められました。
(データ解析は97名分。)


以上のデータから、(関節障害を有していない健康な運動選手では)コラーゲンの投与によって、関節痛の軽減(改善)効果が得られることが示唆されます。



運動選手のように関節を酷使する場合、コラーゲンサプリメントの摂取によって関節障害の予防効果が期待できるとも考えられます。

今後の研究成果が期待される分野です。
posted at 23:55 | この記事のURL
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ノコギリヤシによる前立腺肥大症の改善 [2008年04月26日(土)]
泌尿器科学の専門誌に、前立腺肥大症による下部尿路症状に対して用いられるハーブ・生薬の効果を検討した総説が発表されていました。
(J Urol. 2008 Apr 16,PMID: 18423748)

2007年6月の時点で、MedlineとCochrane Libraryを使って、ノコギリヤシ(Serenoa repens)、ピジウム(Pygeum africanum)、ライムギ(Secale cereale)、ヒポキス(Hypoxis rooperi)に関する研究が検索されています。


ノコギリヤシについて、レビュー2報と偽薬対照臨床研究3報が評価された結果、まず、レビューでは尿流率および症状の改善が認められています。

また、臨床研究3報のうち、2報では偽薬に対して有意な改善効果が認められたということです。



前立腺肥大症は加齢に伴って生じる良性の疾患ですので、ノコギリヤシの利用も選択肢の一つになると考えられます。

(効果の個人差や症状の重症度の違い、副作用のリスク、費用対効果などについて、医薬品と比較することになります。その結果、医薬品よりもノコギリヤシが好ましいという場合も少なくないと思います。)
posted at 23:51 | この記事のURL
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カイコの有効成分 [2008年04月25日(金)]
今月の生薬学の専門ジャーナルに、カイコ(蚕)由来の成分による血管内皮細胞への作用が韓国のグループから報告されていました。
(J Ethnopharmacol. 2008 Apr 17;117(1):115-22.)


この研究は、強壮作用を有する成分を見出す目的で実施され、カイコ抽出物による血管弛緩作用が測定されています。

血管内皮由来のNO産生が調べられた結果、血管弛緩活性を有する物質が単離され、用量依存的なPDE-4(phosphodiesterase-4)活性阻害作用が示されました。


論文著者らは、PDE活性阻害作用を介した強壮作用・勃起障害改善作用を想定した考察を行っています。

ただし、この研究はin vitro研究ですので、臨床的意義は明らかではありません。
posted at 23:54 | この記事のURL
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民間療法で利用されてきたグァバ [2008年04月24日(木)]
今月の生薬学の専門ジャーナルに、グァバの作用についての総説論文が掲載されていました。
(J Ethnopharmacol. 2008 Apr 17;117(1):1-27.)

グァバ(学名Psidium guajava) は、世界各国の伝統医療において薬用および食用にされてきました。

これまでに多くの基礎研究や予備的な臨床研究が知られています。

グァバの有効成分として、果実や葉からカロテノイド類やフラボノイド類が見出されており、抗酸化作用や肝臓保護作用、抗菌作用などが報告されてきました。

また、血糖降下作用も示されており、グァバ葉を配合したサプリメントが、糖尿病対策として利用されています。

今後、さらに多くの臨床研究による検討が期待されます。
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インドの生薬の心臓保護作用 [2008年04月23日(水)]
今月の生薬学の専門誌に、インドの伝統医療で利用されるハーブに関する基礎研究が報告されていました。
(J Ethnopharmacol. 2008 Apr 17;117(1):123-9.)


今回の研究で用いられたのは、テルミナリア(学名Terminalia arjuna、アルジュナ)という生薬です。

ラットを対象にして、樹皮の抽出物を経口で4週間投与し、その後、薬物(抗がん剤)投与によって心障害を誘導したところ、心筋障害の程度が抑制されたということです。



インドの伝統医療であるアーユルヴェーダでは、さまざまなハーブが使われています。

すでに日本でも、滋養強壮に用いられるインド人参(アシュワガンダ)や、ダイエット効果のあるコレウス・フォルスコリ(フォースリーン)、糖尿病対策のギムネマなどが導入されてきました。

さらに研究が進めば、その他にも有用な生薬が多くあると考えられます。

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子供向けTV番組のCMと食育の関係 [2008年04月22日(火)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、子供向けTV番組での食品CMについて、栄養学的に検証した研究が、アメリカのグループから発表されていました。
(JADA 108;673-678:2008)


これまでの研究によって、子供では、食事の好みや消費、健康が食品(商品)のマーケティングに影響されることが示されています。
(大人でも影響を受けると思いますが、今回は子供が対象です。)


そこで、今回の研究では、土曜日の朝に放送されている子供向けTV番組での食品コマーシャルを対象に、宣伝された製品の栄養学的な評価が行われています。

2005年5月での27.5時間のプログラムでは、合計572のCMのうち、食品のCMは281でした。
それらの多くは、朝食シリアル類(27%)であり、その他、レストラン(19%)やスナック類(18%)のCMが確認されています。

CMで取り上げられた食品・飲料は、その91%が、高脂肪、塩分過多、砂糖添加、あるいは栄養素の含有量が少ないものであった、ということです。

これらのCMでは、その74%にマンガ/アニメのキャラクターが登場し、玩具などの景品が利用されたのは26%でした。


このデータからは、少なくともアメリカでは、子供向けのTV番組にて宣伝されている食品は、栄養学的には好ましくない製品であると示唆されます。



この研究はアメリカでのデータですが、日本でも注意が必要かもしれません。
(なお、子供向けTV番組を見ることはないので、よくわかりません。日本のCMには、あてはまらないことなのかもしれませんが。)
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デビルズクローの経皮投与 [2008年04月21日(月)]
今月の生薬学の専門誌に、デビルズクローの経皮投与を検討した基礎研究が報告されていました。
(Planta Med 2008; 74: 527-531)


デビルズクロー(Harpagophytum procumbens)は、アフリカ原産の生薬の1種で、抗炎症作用を有していることから、関節痛などに対して利用されています。


今回の研究では、デビルズクロー抽出物を経皮投与(外用)した際の吸収について、薬理学的な検討が行われました。

具体的には、デビルズクローの抽出物が4種類の候補薬にて投与され、透過性(吸収性)が解析されています。

デビルズクローの経皮投与は、関節の炎症性疾患などに対して、局所的な抗炎症作用を介した効果が期待できることから、興味深い研究と考えられます。

ただし、臨床的意義についての検討が、今後の課題と思われます。
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オリーブオイルの抗炎症作用 [2008年04月20日(日)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、バージンオリーブオイルの抗炎症作用を示した臨床研究が報告されていました。
(Eur J Clin Nutr. 2008 Apr;62(4):570-574.)


オリーブオイルには、ポリフェノール類が含まれており、抗酸化作用や抗炎症作用を示すことが知られています。


今回の研究では、心臓病疾患(冠状動脈疾患)を有する患者28名を対象に、ポリフェノール含有量が異なる2種類のオリーブオイルの働きが検討されました。
(ランダム化偽薬対照クロスオーバー法として、スペインの病院にて実施されています。)


毎日50mlのバージンオリーブオイルあるいは生成されたオリーブオイルが、それぞれ3週間投与された結果、炎症の指標であるIL-6およびCRP値は、バージンオリーブオイルの摂取後に有意に低下(改善)しています。
一方、脂質代謝や糖代謝には有意な変化は示されませんでした。


以上のデータから、オリーブオイルの中でもポリフェノールの多いバージンオリーブオイルは、抗炎症作用を介して、動脈硬化性疾患を抑制する作用が期待されます。



DHCでは、バージンオリーブオイルも扱っています。

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前立腺がん術後の食事療法 [2008年04月19日(土)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、前立腺がん術後の低脂肪食の実行可能性を検討した臨床研究が発表されていました。
(Eur J Clin Nutr. 2008 Apr;62(4):526-36.)


今回の研究は、前立腺がん術後の男性40名を対象に、再発リスク低減を目的として、大豆タンパク質を加えた低脂肪食による食事療法の長期的な実行可能性を検討することです。

具体的には、エネルギー比15%の低脂肪食/高食物繊維(18g/1,000kcal)/大豆タンパク質40gを投与した群(n=26)と、USDA推奨食摂取群(n=14)の2群が比較されました。

4年間後、低脂肪食投与群では有意な食生活の変化が維持され、尿中イソフラボン排泄量の変化も認められました。
また、低脂肪、高食物繊維も維持されています。

その他、血中IGF-1値の低下などが示されました。


今回のデータは、がん生存者を対象にした食事療法の意義および実行可能性を長期にわたり検討した研究として興味深いと思います。
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抗酸化サプリメントのメタ分析@コクランレビュー [2008年04月18日(金)]
今週、コクランレビューで、抗酸化サプリメントに関するネガティブなデータを示した論文が発表されました。
(CD007176)


メタ分析という方法で、これまでに報告された臨床研究(ランダム化比較試験67報)を解析した結果、抗酸化サプリメントには死亡率を下げたり疾病を予防したりする効果はなかったというものです。


ただし、この論文は、解析の方法自体に問題が多く、これまでに発表されてきた他のいくつかの論文と同様に、信頼性の低いものです。

(つまり、新しいデータが加わったのではありません。)
(論文著者らは、昨年のJAMAに発表されたネガティブデータと同じグループです。)


一般論ですが、マスメディアは、サプリメントの効果を否定するようなネガティブデータを好むので、今後、日本でも話題になることがあるかもしれません。

ニュースの見出しや結論が一人歩きすることで、サプリメントのユーザーや医療関係者が混乱する可能性も考えられますので、問題点をまとめたいと思います。


今回の論文は、抗酸化サプリメントの効果を検証したレビュー(メタ分析)です。

抗酸化サプリメント(ビタミンA,ビタミンE,βカロテン、ビタミンC、セレン)を用いたランダム化比較試験67報を解析した結果、これらのサプリメントによる疾病リスク低減作用や延命作用は示されなかった、ということです。

解析対象となったのは、これまでに発表された67報のランダム化比較試験です。

一方、747報の臨床研究は、解析の対象外とされました。

そのうち、405報の試験は、死亡がなかったという理由です。
(その他の試験は、無作為化されていない、クライテリアを満たさない、現在進行中であるといった理由で除外されています。)


つまり、抗酸化サプリメントを投与した臨床研究として見出された論文のうち、90%以上が除かれた上で(そのうち死亡はなかったという研究が多くあります)、死亡率が比較され、効果はないとされています。


また、βカロテンやビタミンEでは、一部の極端なRCTの結果による影響を受けて、サプリメント投与群が好ましくないようなデータになっています。

解析された67報は、メタ分析の対象にするにはばらつきが大きく、性質の異なる臨床研究です。
(対象者、投与した抗酸化剤の用量・用法、一次予防か二次予防かなどで、大きく異なる研究です。)


したがって、今回のコクランレビューは、これまでに何度が報告されてきたメタ分析の蒸し返し(同じ研究グループによる類似した解析)によるネガティブデータになっています。

(その他にも、バイアスの原因や利害の衝突となっている点があり、後日、それらを紹介したいと思います。)


抗酸化サプリメントのように、緩やかな作用を有する成分の場合、従来のアウトカムによる評価は困難と思われます。

今回の論文のように、コクランレビューのプロトコールにしたがって、機械的に90%以上の臨床研究を除外し、それらをエビデンスとしてまったく無視してしまうことは問題です。


さらに、近年のプロテオミクス研究では、個人差/ヒトの多様性が明らかになっており、抗酸化サプリメントの緩やかな効果が、多様性という背景に埋もれてしまうことも考えられます。


化学合成された医薬品を、短期間投与した際の介入の効果を判定する方法としては、ランダム化比較試験がゴールドスタンダードと考えられます。

介入の作用が大きな化学合成薬についての試験であれば、多少の個人差/体質の差は結果に大きな影響を与えることはないと思います。


一方、機能性食品成分による緩徐で長期にわたる効果を判定するためには、従来のランダム化比較試験およびメタ分析という方法では、検出力が不足して、正しい結論が導き出せないと考えられます。



コクランレビューの結論は、いつも同じパターンになっています。

つまり、(有効性が示唆されるにせよ、されないにせよ)、結論を出すには、さらにRCTが必要、というパターンです。


個人差に基づく個別化医療の推進という考えが浸透している現在、個人差を平均化してしまうRCTやメタ分析だけではなく、その他のタイプの研究もエビデンスとして取り入れていく必要があるでしょう。
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ダイエット後のリバウンド [2008年04月17日(木)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、商業ダイエットで減量に成功した人がどのくらい体重を維持できているか、あるいはリバウンドしたか、という調査研究が報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Apr;99(4):925-30.)


研究対象となったのは、米国で人気のある商業ダイエットの1種‘ウエイトウォッチャーズ(Weight Watchers)’です。

会員699名および追加調査のための会員217名を対象に、ウエイトウォッチャーズのプログラム終了後(プログラムにて減量成功後)、1,2,5年の時点での体重が比較検討されました。

参加者の内訳は、71%が中高年、95.3%が女性で、プログラム開始時のBMIは平均27.6です。

調査の結果、1,2,5年後の時点で、5%以上の減量を維持していた人の割合は、それぞれ79.8%、71.0%、50.0%でした。

一方、目標体重以下を維持していた人の割合は、26.5%、20.5%、16.2%ということです。


これらの数値を高いと判断するのか、つまり、ウエイトウォッチャーズが有効とするのかどうかについては意見が分かれると思います。

一般には、標準体重まで減量しなくても、肥満者では5%程度減量することで、生活習慣病が改善することが知られているため、今回の商業ダイエットについても一定の評価を与えることができると思います。
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シトルリンの体内動態 [2008年04月16日(水)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、シトルリンの体内動態を検討した臨床研究が、フランスのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Apr;99(4):855-62.)


シトルリン(L-シトルリン)というのは、スイカ(西瓜)の圧搾汁からみつかったアミノ酸の1種です。
シトルリンの機能として、NO(一酸化窒素)産生促進作用や抗酸化作用が知られています。


さて、今回の研究では、健康な男性8名を対象に、シトルリンを2,5,10,15グラムの用量で経口にて単回投与し、8時間にわたって血中の各種アミノ酸やホルモンの値が測定されました。

その結果、血中アミノ酸では、オルニチンとアルギニンの有意な上昇が示されたということです。
一方、インスリンや成長ホルモンには有意な変動は認められませんでした。

このとき、シトルリンの投与に伴う有害事象は認められていません。


現在、健康食品素材としてのL-シトルリンでは、NO産生を介した血管拡張作用、動脈硬化抑制作用、抗酸化作用、抗疲労・強壮作用といった訴求が行われています。

今後の臨床研究が期待される分野です。

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苦瓜によるインスリン感受性改善作用 [2008年04月15日(火)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、苦瓜によるインスリン感受性改善作用を示した基礎研究が、インドのグループから発表されていました。
(Br J Nutr. 2008 Apr;99(4):806-12.)

苦瓜は、食後過血糖を改善する作用をもち、高めの血糖に対して用いられるサプリメントの成分です。

今回の研究では、高脂肪食を投与したラットを対象に、苦瓜抽出物が2週間投与された結果、耐糖能およびインスリン感受性の改善作用が認められたということです。

さらに、空腹時血糖値の改善(低下)、脂質代謝の改善などが認められています。

その他、細胞内情報伝達の分子メカニズムについても解析が行われ、苦瓜による作用が示されています。
(例えば、IRS-1のチロシンリン酸化など)
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愛犬を長生きさせる方法 [2008年04月14日(月)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、犬を対象にした食事と寿命の関係についての研究が、アメリカのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Apr;99(4):793-805.)


食事と寿命(加齢・老化)の関係について、これまでの多くの研究では、摂取エネルギー制限(食事制限)によって寿命が延びることが示されてきました。

作用メカニズムとして、過食による酸化ストレスが寿命を短くするといったことが推測されます。

(つまり、摂取エネルギーを制限することで、酸化ストレスを減らし、寿命を延長させる、ということになります。)


さて、今回の研究では、犬を対象に摂取エネルギー制限が行われています。

ラブラドールリトリーバー48頭を対象に、8週齢の時点から、対照食摂取群と食事制限(25%制限)群の2群で比較した結果、食事制限群では寿命が1.8年間延長した、ということです。
(2群間の相違は、摂取カロリーのみです。必須栄養素などは充足されています。)

また、食事制限群では、晩年に後発する疾患の発症遅延も認められました。
(例えば、骨関節炎など。)

なお、長期間の食事制限の実施でも、骨代謝などへの悪影響は認められていません。



現在、酸化ストレスは、老化の一因と考えられます。

ただし、加齢・老化の原因として、酸化ストレス説以外にも多くの仮説があります。

また、エネルギー制限群が長生きするかどうか、ヒトでの検証は困難です。
(なお、寿命を延ばすエネルギー制限と、栄養障害/栄養不足は異なります。)


その他、過食や運動不足で体脂肪が過剰になると、インスリン抵抗性が増大し、寿命や慢性疾患のリスクと相関することも知られています。


愛犬を長生きさせるためには、エネルギーの過剰摂取をさけて、バランスのとれた食事を与えることが基本と考えられます。

ところで、DHCでは、愛犬向けのサプリメントも扱っています。
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クルミの動脈硬化抑制作用と骨粗鬆症予防作用 [2008年04月13日(日)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、クルミの効果を示した研究がギリシアのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Apr;99(4):715-22.)


これまでの疫学研究では、地中海地域では、閉経後の女性における心血管疾患や骨粗鬆症のリスクが低いことが示されており、理由として(ナッツ類やハーブ類の摂取の多い)地中海式ダイエットによる作用が考えられています。


今回の研究では、クルミ(walnut、学名Juglans regia)による血管内皮細胞および骨代謝に対する影響が検討されています。

その結果、クルミ抽出物およびエラグ酸による血管内皮細胞における細胞接着分子(VCAM-1やICAM-1)の発現に対する抑制作用、骨芽細胞に対する促進作用が示されました。

このデータから、クルミによる動脈硬化抑制作用や骨粗鬆症予防作用が示唆されます。
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エラグ酸の抗酸化作用 [2008年04月12日(土)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、エラグ酸による抗酸化作用/動脈硬化抑制作用を示した研究が報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Apr;99(4):709-14.)


エラグ酸は、各種のベリー類などの果物やナッツ類に多く含まれるファイトケミカル(ポリフェノール類)の1種です。


今回の研究では、酸化LDLコレステロール誘導性血管内皮細胞増殖に対するエラグ酸の作用が検討された結果、細胞内情報伝達分子のリン酸化抑制を介した内皮細胞増殖抑制作用が認められました。


このデータから、エラグ酸による動脈硬化抑制作用が示唆されます。


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野菜・豆類の摂取による死亡率の低下 [2008年04月11日(金)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、食習慣と死亡率との関係を調べた研究が報告されていました。
(J. Nutr. 2008 138: 775-781.)


今回のデータは、ヨーロッパにおける糖尿病調査として10,499名を対象に行われたコホート研究で、観察期間は平均9年間です(1346名の死亡例)。


食習慣と全死亡率との関連を調べた結果、野菜・豆類・果物の摂取が多いと死亡率が低下するという相関が見出されています。
(1日あたり80グラム毎にRR0.94。)


なお、個別の解析では、野菜と豆類の摂取によるリスクの有意な低下が示されました。

その他、有病群別では、糖尿病患者における心血管疾患による死亡率を有意に低下させています。



やはり、野菜・果物・豆類といった植物性食品の摂取は、健康保持と疾病予防の基本と考えられます。
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