今月の栄養学の専門誌に、2型糖尿病に対する低脂肪ヴィーガン食の作用を検討した臨床研究が報告されていました。
(JADA 108;1636-1645:2008)
試験では2型糖尿病患者99名に対して、低脂肪ヴィーガン食あるいは糖尿病標準治療食が22週間投与され、AHEI(Nutrient intake and Alternate Healthy Eating Index)スコアを主アウトカムとして解析が行われています。
その結果、エネルギー量、脂質、タンパク質、コレステロール、ビタミンD、セレン、塩分については両群ともに摂取量の減少が認められました。
ヴィーガン食摂取群では、ビタミンB12とカルシウムの摂取量の減少、炭水化物、食物繊維、ビタミンA活性、ベータカロテン、ビタミンC、K、葉酸、マグネシウム、カリウムの増加が示されました。
標準治療食群では、炭水化物と鉄の減少が示された一方、増加した栄養素は認められていません。
AHEIスコアに関して、ヴィーガン食摂取群では有意な改善が認められた(P<0.0001)のに対し、標準治療食群では有意な変化は示されませんでした。
(ヴィーガン食摂取前後の比較、および両群間での比較で有意差が認められています。)
両群間の比較の結果、AHEIスコアは、糖尿病での血糖コントロール指標であるHbA1cおよび体重と負の相関関係を示したということです。
これまでの研究によって、低脂肪のヴィーガン食については、虚血性心疾患に対する効果がよく知られています。
一方、糖尿病では、脂質由来のエネルギーに加えて炭水化物が血糖コントロールに影響を与えるため、単に低脂肪のヴィーガン食というだけではなく、炭水化物の種類と量にも注意が必要です。
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