今月の栄養学の専門誌に、アルコールの摂取による糖代謝への影響を検討したヒト臨床研究が、オランダのグループから報告されていました。
(Eur J Clin Nutr. 2008; 62, 1098–1105)
これまでの研究によって、適度なアルコールの摂取は、2型糖尿病のリスク低減と相関することが知られています。
今回の研究では、アルコールの適量摂取と2型糖尿病リスクの関連について検証する目的で、脂肪細胞から分泌されるアディポカイン類やインスリン感受性への影響が調べられました。
健康な男性被験者20名(普通体重11名、肥満/過体重9名)を対象に、40グラム/日のアルコール含有飲料、あるいはノンアルコール飲料を3週間摂取させ、アディポカイン類などの指標が測定されています。
(用いられたアルコール飲料は、1日あたりビール3缶です。)
その結果、アルコールの摂取によって、アディポネクチンおよびグレリン値の有意な増加、ASP(acylation-stimulating protein)値の有意な低下が認められました。
このとき、レプチンやレジスチン値は不変でした。
また、OGTTによる2時間値は、アルコールフリー群に比べて、アルコール摂取群において有意に低い値であったということです。
OGTT90分における遊離脂肪酸およびグルカゴン値は、アルコールフリー群に比べて、アルコール摂取群において有意に高値を示しています。
インスリン感受性指標の変化に対して、アディポネクチンの変化は有意な正相関を、レプチンとASPの変化は有意な負の相関を示しました。
なお、これらのデータについて、肥満者と非肥満者との間での差は認められていません。
以上のデータから、適度のアルコール摂取は、アディポネクチンやグレリンを増加させ、ASPを減少させるといった作用を介して、インスリン感受性に影響を及ぼすことが示唆されます。
ただし、糖尿病や肥満に対して、アルコール摂取が推奨されるわけではありません。
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ただ飲酒と食事スタイルの個人差で効果は様々なのかな〜と感じました。