今月の栄養学の専門ジャーナルに、ビタミンB12不足に対するサプリメントの作用を検討したヒト臨床研究が報告されていました。
(Eur J Clin Nutr. 2008 Oct;62(10):1248-51.)
ビタミンB12は、葉酸と共に、赤血球の産生に必要とされる栄養素です。
今回の研究では、軽度のビタミンB12(コバラミン)欠乏症の高齢者を対象に、
(1)1000マイクログラムのコバラミン投与群(n=34)、
(2)1000マイクログラムのコバラミン+400マイクログラムの葉酸併用投与群(n=31)
(3)偽薬投与群(n=30)
の3群にて6ヶ月間の投与が行われました。
サプリメント投与の終了後、3ヵ月、5ヵ月、7ヵ月の時点で、血漿中のコバラミン、ホロトランスコバラミン、メチルマロン酸が測定された結果、サプリメント投与群において軽度のコバラミン欠乏症を示した例数は、終了時に1例、3ヵ月後に13%、5ヵ月後に14%、7ヵ月後に43%であったということです。
以上のデータから、サプリメントによってビタミンB12欠乏症は改善しますが、効果の持続は5ヵ月程度までであり、サプリメントの摂取を中止して7ヵ月経過すると、その効果の多くは失われてしまうことが示唆されます。
一般に、ビタミンB12は、動物性食品に多く含まれ、体内でも貯蔵されることから、通常の食生活では欠乏することは稀です。
一方、マルチビタミンなどのサプリメントを利用して、潜在的な欠乏症を予防することは、費用対効果の高い健康維持方法と考えられます。
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