今月の栄養学の専門ジャーナルに、CoQ10(コエンザイムQ10)投与によって、運動時に生じる筋肉障害が抑制されたというヒト臨床研究が報告されていました。
(
Br J Nutr. 2008 Oct;100(4):903-9.)
過度の運動は、筋肉組織を障害し、酸化障害を促進することが知られています。
コエンザイムQ10は、抗酸化作用を有することから、これらの障害を予防する働きが期待できます。
そこで、今回の研究では、剣道の選手18名を対象に、1日あたり300mgのCoQ10投与群(n=10)あるいは対照群(n=8)の間で比較検討されています。
二重盲検法にて20日間投与され、被験者全員は1日あたり5.5時間の剣道練習を6日間行いました。
(試験前、期間中、試験後に採血が行われ、各指標が測定されています。)
その結果、偽薬投与群に比べて、CoQ10投与群では、血清クレアチンキナーゼ活性、ミオグロビン(筋肉中のタンパク質の1種)の上昇が抑えられたということです。
このデータから、CoQ10による運動時の筋肉障害および酸化障害の抑制作用が示唆されます。
CoQ10がサプリメント成分として製品化された当時、私も今回の研究と類似した臨床試験を実施したことがあります。
そのときは、CoQ10(90mg/日)と抗酸化ビタミン類(ビタミンCやE)をサプリメントとして1週間投与し、トレッドミルによる短期の運動負荷をかけました。
その結果、CoQ10とビタミンのサプリメント投与によって、運動時に増加する酸化ストレスマーカーの抑制効果が認められました。
CoQ10と抗酸化ビタミン類は、年齢や性別を問わず、ベーシックなサプリメントとして推奨できると考えます。