今月の生化学の専門ジャーナルに,ピクノジェノールによる腎障害抑制作用を示した基礎研究が,インドのグループから報告されていました。
(
Chem Biol Interact. 2009 Oct 30;181(3):343-50.)
ピクノジェノールとは,フランス南西部に自生する「フランス海岸松(かいがんしょう)」という松の樹皮抽出物に由来するサプリメントです。
有効成分として各種のフラボノイド類が存在し,抗酸化作用,生活習慣病の予防,静脈循環不全の改善,月経前症候群(PMS)の症状改善,血管の弛緩による高血圧の改善といった効果が報告されてきまいた。
さて,今回の研究では,重金属によって生じる酸化ストレスを原因とする腎障害について,ピクノジェノールの作用が検討されています。
具体的には,二クロム酸カリウム(K2Cr2O7)誘導性酸化ストレスによる腎障害モデルラットを用いて,ピクノジェノール(10 mg/kg体重)が3週間,投与されました。
・対照群
・ピクノジェノール投与群
・K2Cr2O7投与群
・K2Cr2O7+ピクノジェノール投与群
の4群間で比較が行われた結果,
K2Cr2O7投与群では,血中の生化学指標(BUNやクレアチニン,ALP等)において腎障害が認められました。
一方,ピクノジェノール併用投与群では,腎障害関連指標の悪化抑制が示されています。
さらに,ピクノジェノール投与群では,TBARSやMDAといった酸化障害指標の抑制も認められたということです。
以上のデータから,ピクノジェノールは,重金属によって生じる酸化ストレスによる腎障害を抑制することが示唆されます。
なお,今回の実験では,ピクノジェノールが1日1回の腹腔内投与になっていますので,経口投与によるヒト臨床研究での臨床的意義の検証が必要と思われます。
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