サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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トンカットアリの成分 [2009年12月30日(水)]
今月の生薬学の専門ジャーナルに,トンカットアリの含有成分を解析した研究が,富山大学のグループから報告されていました。
(J Nat Prod. 2009 Dec;72(12):2135-40.)



トンカットアリ(学名Eurycoma longifolia)は,東南アジア原産のハーブで,マレーシアの民間療法では強壮・催淫薬として用いられてきました。


近年,マレーシアを中心に,トンカットアリに関する研究が進められています。


トンカットアリ標準抽出物には,主な成分のクワシノイド(quassinoid,変形テルペノイド)として,eurycomanone(ユーリコマノン)やeurycomanolなどが含まれています。



今回の研究では,構造上の多様性を有する新規のクアシノイド10種類と,既知の化合物14種類が報告されています。


新規化合物の内訳は,

ユーリコマノンタイプのクアシノイド2種類,

klaineanoneタイプのクアシノイド1種類,

eurycomalactoneタイプ6種類

などです。



今後,臨床的意義の検討が期待される分野です。




強壮作用のあるハーブとしては,南米原産のマカが知られており,ペルーのグループによる予備的な臨床試験データが集積されつつあります。


マカは,滋養強壮作用・アダプトゲン作用を有し,男女ともに利用されます。


一方,トンカットアリは,どちらかといえば,男性を対象にした強壮ハーブという印象です。


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うつ病では血中CoQ10が低い [2009年12月29日(火)]
神経内分泌学の専門ジャーナル(電子版)に,重症うつ病患者における血中CoQ10の低下を示した臨床研究が,ベルギーのグループから報告されていました。
(Neuro Endocrinol Lett. ;30(4).)



近年,重症うつ病の病態において炎症や酸化障害の関与が示唆されており,抗酸化物質の働きが期待されています。


コエンザイムQ10は,抗酸化作用・抗炎症作用を有する機能性素材であり,さまざまな疾病の予防や改善に利用されています。



今回の研究では,うつ病における内在性コエンザイムQ10が検証されました。



具体的には,うつ病患者35名と正常なボランティア22名を対象に,血中コエンザイムQ10と難治性うつ病(治療抵抗性うつ病treatment resistant depression),HDRS(Hamilton Depression Rating Scale)による疾患の重症度,慢性疲労状態との関連が測定されています。



解析の結果,正常対照群に比べて,うつ病患者群では,血中コエンザイムQ10が有意に低値でした(p=0.0002)。


うつ病患者の51.4%は,正常群でもっとも低いCoQ10値よりもさらに低い値を示しています。



重症うつ病に慢性疲労を有する患者群は,他のうつ病患者と比べて,血中CoQ10濃度が有意に低値でした。


ただし,血中CoQ10値とHDRSとの間に有意な相関は認められていません。



以上のデータから,血中CoQ10値の低値とうつ病との関連が示唆されます。



今後,CoQ10サプリメントの投与によって鬱状態に効果が認められるかどうか,検証が期待されます。



なお,心血管疾患のリスクファクターとして脂質異常があり,コレステロール合成阻害作用を持つスタチン剤の投与が一般に広く行われています。


しかし,CoQ10は,その生合成過程がコレステロールと同じであり,スタチン剤の投与によって,血中CoQ10値も低下することが既に報告されています。


したがって,スタチン剤の投与によるCoQ10値の低下が,うつ状態や慢性疲労と関係することも推測できます。


因果関係についてはさらに検証が必要ですが,現時点の科学的根拠を俯瞰すると,スタチン剤を投与するときにはCoQ10サプリメントの併用が推奨されます。


(スタチンによって生じる筋痛症など副作用の予防効果も期待できます。)


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地中海食による遺伝子多型への介入効果 [2009年12月28日(月)]
今月の栄養学の専門ジャーナル(電子版)に,地中海食による介入が肥満関連遺伝子の感受性に影響するという臨床研究が,スペインのグループ(University of Navarra)から報告されていました。
(Eur J Nutr. 2009 Dec 25.)


近年の研究によって,脂肪細胞から分泌される善玉ホルモン・アディポネクチンの遺伝子変異と,肥満との関連が知られています。



今回の研究では,地中海食(植物性食品とオリーブオイルの豊富な地中海地方の食事;Mediterranean-style diet)の介入と,アディポネクチン遺伝子変異による違いについて検証が行われています。


具体的には,心血管疾患のハイリスクを有する55歳から80歳の被験者737名を対象に,低脂肪食あるいは地中海食のいずれかを摂取させ,地中海食群は,バージンオリーブオイル群とナッツ群に分けられました。



3年間の食事介入の結果とアディポネクチンの遺伝子変異3種類(-4034A/C, +45T/G, +276 G/T)との関連が調べられた結果,
+45T/GのGG遺伝子多型は,有意な体重増加との相関が認められたということです。


また,+276G/TのTT遺伝子多型は,男性被験者における体重増加が最大でした。


食事療法による介入との関係では,いずれの地中海食も,この遺伝子多型の影響を是正する(つまり体重増加を抑制する)効果が認められています(p for interaction = 0.053)。



以上のデータから,アディポネクチン遺伝子変異は,心疾患リスクを有する患者の体重増加と関連し,地中海食は体重増加を抑制する効果をもたらすことが示唆されます。




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ナース/助産師による補完医療 [2009年12月27日(日)]
補完代替医療の専門ジャーナルに,看護師/助産師によって提供される補完代替医療に関する調査研究が,米国コロラド大学のグループから報告されていました。
(Complement Ther Clin Pract. 2009;15:212-9.)



今回の研究では,米国の看護師/助産師(CNMs)500名を対象に,補完代替医療の知識と提供に関する調査が行われています。


有効回答者227名(45%)のうち,78%にあたる178名がCAMを利用していると言うことです。


ハーブの利用が85%と最も多く,続いて,薬理学的・生物学的介入が82%,マインドボディ療法が80%,ヒーリング療法・生物磁気療法が47%となっています。


すべてのCAM利用者が,少なくとも1つの食事療法あるいはライフスタイル療法を利用しているというデータが示されています。




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カルシウムサプリメントの嗜好性 [2009年12月26日(土)]
今月のリウマチ研究の専門ジャーナル(電子版)に,カルシウムとビタミンDを含むサプリメントについての嗜好性を調べた臨床研究が,オランダのグループから報告されていました。
(Clin Rheumatol. 2009 Dec 22.)



健康増進や疾病予防を目的としたサプリメントは,長期間の摂取が前提となるため,消費者にとっての飲みやすさも重要なポイントです。



今回の研究では,骨粗鬆症対策として利用される成分のカルシウムとビタミンDを組み合わせたサプリメント製品について,クロスオーバー・オープンラベル試験による検証が行われました。



具体的には,骨粗鬆症患者102名を対象に,チュアブルタイプのサプリメント(Calci Chew D3, Nycomed)と,パウダータイプのサプリメント(Cad, Will-Pharma)が1日2回,投与され,嗜好性が,5段階評価で調べられています。


(いずれのタイプもカルシウムを500mg含み,ビタミンDは400IUあるいは440IU含有。)



その結果,67%がチュアブル錠を,19%がパウダータイプを好み,15%は特に好みはないとしています。

(チュアブルタイプの好みに対する有意差あり。p < 0.0001)


なお,認容性については,特に差は認められていません。



以上のデータから,チュアブルタイプに対する有意な嗜好性が示唆されます。



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バージンオリーブオイルによる心血管疾患の予防効果 [2009年12月25日(金)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに,バージンオリーブオイルと地中海食の併用による動脈硬化性疾患リスク低下の機序について,脂質代謝の視点から検証した臨床研究が,スペインのグループから報告されていました。
(J Nutr Biochem. 2009 Dec 3.)



これまでの多くの研究によって,地中海食による心臓病・動脈硬化抑制作用が広く知られています。


地中海食の特徴として,オリーブオイルの利用が多いことがあげられます。


オリーブオイルは,単価不飽和脂肪酸というだけではなく,最近の研究では,エクストラヴァージン(バージン)オリーブオイルに含まれるファイトケミカル・ポリフェノールによる抗酸化作用の有効性も示されています。




さて,今回の報告にはランダム化比較試験の先行研究(PREDIMED)があり,
地中海食にバージンオリーブオイルあるいはナッツを加えた食事を3ヶ月間投与した結果,
収縮期血圧の低下,血中コレステロールと中性脂肪の低下,HDLコレステロールの低下が示されています。

(対照食である低脂肪食との比較。)

(PREDIMED:PREvencion con Dieta MEDiterranea)




血中中性脂肪値は,心血管疾患リスクであり,VLDLコレステロールによる影響が知られています。


そこで,今回の研究では,3ヶ月間の地中海食(+バージンオリーブオイル,あるいは+ナッツ)を摂った被験者5名を対象に,VLDL組成が検証されました。



解析の結果,地中海食+ナッツ摂取群では,総コレステロールおよびLDLコレステロール値が低下していました。


また,地中海食+バージンオリーブオイル摂取群では,HDL(善玉)コレステロールの増加が認められました。

(低脂肪食を対照群としての比較です。)


血中の中性脂肪値は,両群(地中海食+バージンオリーブオイルあるいはナッツ)のいずれにおいても,対照群(低脂肪食群)と比べて有意な低下を示しています。


一方,心臓病・動脈硬化性疾患のリスクに大きく関与するVLDL-コレステロールとVLDL-中性脂肪を減少させるのは,地中海食+バージンオリーブオイル摂取群のみであったということです。

(VLDLにおけるTG/アポリポタンパクB比も低下させています。)


VLDLにおける脂肪酸組成の違いに関して,ナッツ摂取群ではオメガ6系であるリノール酸(18:2, n-6)の割合が多いのに対して,バージンオリーブオイル摂取群では,オメガ9系のオレイン酸の割合が多くなっています。



以上のデータから,地中海食の摂取後に認められる血中の中性脂肪値の低下は,VLDLにおける変化によると推察されます。




動脈硬化性疾患の予防という目的では,地中海食+バージンオリーブオイルの組み合わせが推奨できます。


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オリーブオレユロペンと1型糖尿病 [2009年12月24日(木)]
今月の栄養学の専門ジャーナル(電子版)に,オリーブオレユロペンによる1型糖尿病への作用に関する基礎研究が報告されていました。
(Br J Nutr. 2009 Dec 22:1-12.)



これまでの研究によって,オリーブリーフ(葉)に由来するファイトケミカルの1種・オレユロペンが,2型糖尿病などの生活習慣病を改善することが示唆されています。


そこで,オレユロペンを主成分とするオリーブ葉抽出物含有サプリメントが製品化されています。



しかし,自己免疫異常が発症に関与する1型糖尿病では,オリーブ葉由来のオレユロペンの意義は明確ではありません。



そこで,今回の研究では,1型糖尿病モデルを用いて,オレユロペンを含むオリーブ葉抽出物の働きが検証されました。




具体的には,低用量のSTZ誘導性糖尿病(C57BL/6およびCBA/Hマウス),非肥満糖尿病モデル(cyclophosphamide誘導性DMモデル)を用いて,オリーブ葉抽出物が投与された結果,
1型糖尿病の徴候である高血糖や体重減少の有意な抑制が認められたということです。



また,1型糖尿病でみられる膵臓ランゲルハンス島細胞における組織学的変化も,オリーブ葉抽出物投与によって抑制されています。



さらに,インスリン分泌の回復も認められました。



このとき,末梢組織ではNO合成酵素発現の増加およびNO産生増加が認められたのに対して,膵内分泌組織では抑制が示されています。



このことは,NOを介したTリンパ球の増殖抑制,IL-γ,IL-17,TNF-αといった炎症惹起サイトカイン類の産生抑制をもたらすことで,膵β細胞の破壊を抑制すると考えられます。




つまり,オリーブ葉抽出物,オリーブオレユロペンは,炎症を生じるサイトカイン類のシグナルを抑制することで,膵臓機能を保護し,1型糖尿病の発症を予防することが推察されます。




今後,臨床的意義の検証が期待される分野です。





なお,1型糖尿病の発症機序は不明な点も多く,オリーブオレユロペンを予防的に投与するという方法は考えにくいと思います。



(ちなみに,肥満やメタボリック症候群に関連して問題になるのは2型糖尿病であり,糖尿病の90数%以上を占めています。)



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ウコンによるドライアイ対策 [2009年12月23日(水)]
今月の眼科学の専門ジャーナル(電子版)に,ドライアイ対策としてのクルクミンの作用を示した基礎研究が,米国のグループから報告されていました。
(Exp Eye Res. 2009 Dec 18.)



ドライアイの病態の特徴に,涙液のモル浸透圧濃度の増加があります。


クルクミンは,ウコンに含まれるファイトケミカルの1種で,抗炎症作用や抗酸化作用を有する機能性食品素材です。



今回の研究では,ウコンの抗炎症作用によるドライアイの病態への影響が検証されました。



これまでの研究によって,角膜上皮細胞の培養液に塩化ナトリウムを添加することでモル浸透圧濃度が上昇し,その結果,炎症を惹起するサイトカインであるIL-1βの産生が増加することが報告されています。


この実験系を,in vitroのドライアイモデルとして,クルクミンの抗炎症作用による影響が測定されました。


具体的には,塩化ナトリウム添加による高浸透圧系において,IL-1β, IL-6, TNF-αの濃度が増加し,IL-βはmRNA発現の亢進も認められています。


また,p38 MAPキナーゼ,JNK MAPキナーゼ,NF-kappaBの活性亢進も認められました。


一方,5μMのクルクミンで前処理した際,高浸透圧によって生じるIL-1β産生の増加やp38のリン酸化は認められませんでした。


(なお,1〜30μMの濃度では,クルクミンは角膜上皮細胞機能に影響することはありません。)



この他,p38やJNKの阻害剤を用いた実験から,クルクミンによるIL-1β産生への作用はp38を介した細胞内情報伝達機構によることが示唆されています。


さらに,クルクミンは,高浸透圧によって生じるNF-kappaB p65の増加を消失させました。


NF-kappaB阻害剤は,高浸透圧誘導性IL-1β産生を抑制し,p38阻害剤は高浸透圧誘導性NF-kappaB活性化を抑制したことから,NF-kappaBの活性化はp38の活性化を介すると考えられます。




以上のデータから,クルクミンの抗炎症作用を介したドライアイの病態改善作用が示唆されます。



今後,臨床的意義の検討が期待される分野です。


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ブラジルナッツによる栄養改善作用 [2009年12月22日(火)]
今月の栄養学の専門ジャーナル(電子版)に,血液透析患者において,ブラジルナッツ摂取による栄養改善作用を示した臨床研究が,ブラジルのグループ(University of S&atilde;o Paulo)から報告されていました。
(Nutrition. 2009 Dec 15.)



一般に,血液透析患者では,酸化ストレスによる動脈硬化性疾患リスクが問題となります。


抗酸化作用を有するミネラルとして,セレンが知られており,栄養学的な介入に用いられてきました。


そこで,今回の研究では,ブラジルナッツ(Brazil nut,Bertholletia excelsa)の摂取が,セレンの供給源として有用かどうか,また,抗酸化能の亢進作用を示すかどうか,検証されています。


具体的には,血液透析患者81名(平均52.0歳,平均透析期間82.3ヵ月,BMI 24.9)を対象に,1日あたりブラジルナッツ1個が3ヶ月間,摂取されました。

(ナッツは平均5g,セレン含有量は58.1μg/g。)



3ヶ月間の摂取の結果,

血中セレン濃度は,投与前の18.8±17.4μg/Lから104.0±65.0μg/Lへと有意に増加(P<0.0001),

赤血球中のセレン濃度は,投与前の72.4±37.9μg/Lから244.1±119.5μg/Lへと有意に増加(P<0.0001)

したということです。

(いずれも投与前値は,正常範囲を下回る値です。)




このとき,抗酸化酵素 (GSH-Px) 活性も,投与前値に比べて投与後に有意な亢進を示しています。




以上のデータから,慢性的なセレン欠乏状態にある血液透析患者では,ブラジルナッツ1個の摂取によって血中セレン濃度および抗酸化能が正常化することが示唆されます。




バランスの取れた食事による栄養療法を基本とする介入方法として,興味深いと思います。

(ただ,日本では,ブラジルナッツは一般的でないため,応用には向かないかもしれません。)


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シナモンによる代謝への影響 [2009年12月21日(月)]
シナモンによる脂質代謝および糖代謝への影響を示した基礎研究が,米国農務省のグループから報告されていました。
(Horm Metab Res. 2009 Nov 23.)



これまでの研究によって,シナモン抽出物によるインスリン感受性および脂質異常の改善作用が示されています。


基礎研究だけではなく,予備的な臨床研究でも,2型糖尿病における血糖コントロール改善作用が報告されています。




今回の研究では,シナモン抽出物によるアディポカイン類など脂質代謝および糖代謝への影響が検討されました。


具体的には,高フルクトース(果糖)食を負荷したWistarラットを用いて,シナモン抽出物(Cinnulin PF)が50mg/kg体重/日の割合で8週間投与されました。


その結果,血糖値,血中インスリン値,中性脂肪,総コレステロール,カイロミクロン- apoB48,VLDL-apoB100,soluble CD36の低下が認められたということです。


また,血中RBP4(retinol binding protein 4)やFABP4(fatty acid binding protein 4)も抑制されています。


一方,血中アディポネクチンは増加傾向を示しました(有意差なし)。



シナモン抽出物の投与は,摂食量や体重には影響を与えませんでしたが,脂肪組織におけるインスリン受容体および細胞内分子のIRS-2の発現を増加させています。

(IRS-1,PI3kinase, AKT1, Glut1, Glut4のmRNA発現は増加傾向。)


その他,脂質代謝や糖代謝に関連した分子 (ADIPOQ, FABP4等)の発現への影響も示されました。





以上のデータから,シナモン抽出物は,脂肪組織においてインスリン感受性や脂質合成に関わるアディポカイン類などの分子の発現に作用し,脂質代謝や糖代謝に影響を及ぼすことが示唆されます。


今後,臨床的意義の検証が期待されます。






今夜,打ち合わせのために東大に行ってきました。

医学部本館がイルミネーションで飾り付けられていました。



技官と学生による飾り付けで,毎年少しずつ規模が大きくなっているとのことでした。



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リンパ腫患者におけるCAM利用状況 [2009年12月20日(日)]
今月の血液病学の専門ジャーナルに,悪性リンパ腫のサバイバー(生存者)におけるCAM(補完代替医療)の利用状況を調べた研究が,米国メイヨークリニックのグループから報告されていました。
(Am J Hematol. 2009 Dec;84(12):795-8.)



これまでに,さまざまな病気を持った人たちのCAM利用状況を示した調査が知られています。


今回の研究は,悪性リンパ腫のサバイバー(生存者)におけるCAM利用状況を調べたパイロットスタディです。


具体的には,長期間サバイバー(5〜20年の生存者) 2,475名から無作為に選ばれた95名を対象に,質問票による調査が行われました。


回答者の悪性リンパ腫の診断後の平均期間は11年間でした。


CAMの利用率は68%(95% CI: 54-80%)という結果になっています。

(これは,一般人口における利用調査よりもおおむね高い利用率です。)


利用頻度の高いCAMは,

カイロプラクティック:39%, 95% CI: 27-53%

マッサージ療法:21%, 95% CI: 12-34%

でした。


その他,

瞑想法:5%, 95% CI: 1-15%

リラクセーション:7%, 95% CI: 2-17%

等があげられています。



ハーブの利用者の割合は,

セントジョーンズワート:5% (95% CI: 1-15%)

サメ軟骨:7% (95% CI: 2-17%)

ということです。



ただし,これらのCAM利用が悪性リンパ腫の直接的な治療をもたらしたと報告した回答者はいませんでした。


一方,14%(95% CI: 6-26%)のサバイバーは,CAM利用が彼らの健康状態全般を改善しうると報告しています。




以上のデータから,悪性リンパ腫の長期間サバイバーの間では,一般人口と比べてCAM利用率が高いこと,一定の効果を感じていることが示唆されます。






ところで,今日は東大でのセミナーに出席していました。

快晴だったので,13Fから富士山がきれいに見えたのですが,携帯の写真ですとよくわかりません。






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ビルベリーによる動脈硬化抑制作用 [2009年12月19日(土)]
今月の農芸化学の専門ジャーナル(電子版)に,ビルベリー(ブルーベリー)による動脈硬化抑制作用を示した基礎研究が,フランスのグループから報告されていました。
(J Agric Food Chem. 2009 Dec 9;57(23):11106-11.)



これまでの研究によって,ベリー類の摂取と心血管疾患リスクの低減との相関が示唆されています。



今回の研究では,2種類のビルベリー抽出物を用いて,動脈硬化に対する働きが検証されました。


(目の健康維持に広く用いられるブルーベリーサプリメントは,野生型のブルーベリー/ビルベリーに由来するアントシアニン類が主成分です。)


具体的には,アポE欠損Apo E(-/-)マウスに対して,未処理のビルベリーに由来するアントシアニンの豊富な抽出物,あるいは酵母発酵させたビルベリーに由来する抽出物のいずれかを0.02%の割合で含有する食餌が16週間投与されました。


(アポリポタンパク質は脂質と結合し血中での運搬を行う作用をもっています。アポE欠損マウスは,動脈硬化のモデルマウスです。)



大動脈洞において動脈硬化プラークが測定された結果,いずれのビルベリー抽出物投与群でも,プラーク形成の有意な抑制作用が認められたということです。



一方,脂質プロフィールでは特に抗酸化作用を示すデータは認められなかったことから,論文著者らは,抗酸化作用以外の働きによる動脈硬化抑制作用を推察しています。




なお,2種類の比較では酵母発酵させたビルベリーのほうが,効果が優れていたことから,発酵による活性の変化や新規物質の産生が示唆されます。




今後,臨床的意義の検証が期待される分野です。



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妊婦におけるクロレラサプリメントの効果 [2009年12月18日(金)]
栄養学の専門ジャーナル(電子版)に,妊婦を対象にクロレラを投与した臨床研究が,済生会奈良病院のグループから報告されていました。
(Plant Foods Hum Nutr.)



クロレラ(Chlorella species)は,淡水産の藻の一種です。


タンパク質やアミノ酸,ビタミン類,ミネラル類といった栄養素が豊富であり,抗酸化作用のある葉緑素(クロロフィル)の含有量も多いことから機能性食品素材/サプリメント成分として利用されています。



臨床栄養学の分野では,妊娠中の女性における貧血や妊娠高血圧が問題になることがあり,栄養学的な介入方法が用いられます。


クロレラは,葉酸やビタミンB12,鉄といった栄養を含むことから,妊娠中に認められるこれらの問題(貧血や高血圧)を栄養学的に改善することが推察されます。



そこで,今回の研究では,クロレラ(Chlorella pyrenoidosa)を用いて,日本人の妊娠女性70名を対象に,クロレラ投与群(n = 32)あるいは対照群(n = 38)として検証が行われています。


クロレラは,第12週から18週にかけて毎日6グラムが投与されました。


その結果,貧血(Hb 11g/dL未満)の人の割合は,対照群に比べてクロレラ投与群において有意に低いというデータです。


また,クロレラ投与群では,妊娠第3期におけるタンパク尿や浮腫といった妊娠高血圧の症状が有意に減少しています。




以上のデータから,妊娠女性に対するクロレラサプリメントの投与は,貧血や高血圧といった妊娠期に認められる症状の改善のために有用な栄養学的介入法であることが示唆されます。





なお,一般に,妊娠期には,クロレラを用いなくても,マルチビタミンやミネラルといったサプリメントで対応が可能です。


(クロレラにはファイトケミカルが含まれるため,プラスαの効果は期待できますが。)


また,クロレラのビタミンB12の多くは植物性の不活性型であるため,安定した供給源としては疑問が残ります。


さらに,クロレラに限らず,サプリメントを利用する際には,主治医に相談することが大切です。


(葉酸,鉄,マルチビタミン,マルチミネラル,カルシウムマグといった栄養素は,サプリメントを上手に利用することで十分なメリットがあります。)



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統合失調症と栄養不足の関係 [2009年12月17日(木)]
今月の精神科学の専門ジャーナル(電子版)に,統合失調症患者における栄養素の不足を示した研究が,インドのグループから報告されていました。
(Psychiatry Res. 2009 Dec 5.)



統合失調症では栄養素の不足による代謝異常が病態の一つとして示唆されており,栄養療法によるアプローチが試みられています。



今回の研究では,一炭素代謝(one-carbon metabolism)と統合失調症との関係に注目し,関連する栄養素について,統合失調症の患者と正常者が比較されました。



具体的には,葉酸およびビタミンB12の濃度が測定され,関連指標として,ホモシステイン値とDHA値が調べられています。


対象となったのは,早期の病態である初回エピソードを有する患者31名と,正常対照者48名です。


測定の結果,血中葉酸とビタミンB12,および赤血球中の葉酸は,正常群に比べて,患者群で有意に低値でした。



また,これらの栄養素の低値と相関して,血中ホモシステイン値およびコルチゾール値は有意に上昇していました。


その他,赤血球膜のDHA値も,正常群に比べて患者群で有意に低値であったということです。



以上のデータから,統合失調症における葉酸-ビタミンB12-DHAのバランスの変化およびホモシステイン値の増加が示唆され,神経症状の一因である可能性も想定されます。



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エキナセアの気道上皮への作用 [2009年12月16日(水)]
今月の植物療法の専門ジャーナル(電子版)に,エキナセアによるヒト気道上皮に対する作用を調べた研究が,カナダのグループから報告されていました。



エキナセアは,感冒(風邪)やインフルエンザ対策として広く利用されているハーブサプリメントです。



免疫調節作用を有し,風邪の症状軽減や罹病期間短縮といった効果が臨床試験で報告されています。




さて,今回の研究では,エキナセア抽出物によるヒト気道上皮に対する働きが調べられました。


具体的には,ヒト正常気道上皮の3D器官型モデル(EpiAirway tissue)を用いて,ライノウイルス1A型(RV1A)に対するエキナセアの作用が検証されています。

(ライノウイルスは,風邪を引き起こす原因ウイルスの1つです。)



エキナセア単独投与,

エキナセア+ライノウイルスの投与

対照群

の3群で比較が行われた結果,


まず,組織学的所見では,3群間に有意差は認められず,細胞機能の維持が確認されました。


ライノウイルス感染によって,気道粘膜の粘液分泌細胞におけるムコ多糖類の沈着が増加していますが,これは,エキナセア投与によって改善されています。


この作用は,ムチン分泌でも認められており,ライノウイルス感染による刺激がエキナセア投与によって軽減しています。


これは,普通感冒/風邪の際に,エキナセア摂取によって粘膜分泌物の減少という働きを示唆します。



その他,炎症惹起性のサイトカインであるIL-6やIL-8は,ライノウイルス感染によって顕著に増加したのに対して,エキナセア投与によって抑制されたということです。


ただし,ウイルスの複製について,エキナセア投与の影響は認められていません。




以上のデータから,エキナセアは,気道上皮の細胞に働き,ウイルス感染時における症状を緩和すると考えられます。


ウイルス複製自体に影響がなかったことから,抗ウイルスというよりは,局所での抗炎症作用が中心と推測されます。


(なお,これまでの臨床研究では,風邪の予防作用/症状軽減/罹病期間短縮が示されていますので,気道上皮における局所的な作用以外にも,免疫調節作用を介した全身性の効果も存在すること考えられます。)



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ピクノジェノールによる心機能保護作用 [2009年12月15日(火)]
今月の植物療法の専門ジャーナル(電子版)に,ピクノジェノールによる心機能保護作用を示した基礎研究がスロバキアのグループ(Comenius University)から報告されていました。
(Phytother Res. 2009 Dec 2)



ピクノジェノールは,フランス海岸松に由来するフラボノイドを主成分とする機能性食品成分です。



抗炎症作用や抗酸化作用を介して,病気の予防や症状の改善に働きます。




さて,今回の研究では,STZ糖尿病モデルラットを用いて,ピクノジェノールによる糖尿病性心筋障害への影響が検討されました。



糖尿病モデルラットでは高血糖および心機能障害が認められたのに対して,ピクノジェノール投与によって,空腹時血糖値の低下,心機能の正常化が示されたということです。


糖尿病モデルラットの心臓では,対照群に比べて,酸化障害の指標であるTBARSが40%増加し,gp91(phox) やiNOSの発現の増加も認められています。

(これらは酸化障害/ROSに関連する分子です。)



なお,ピクノジェノールの投与は,これらの分子の発現の変化に影響を与えることはありませんでした。




以上のデータから,ピクノジェノール投与は,その抗酸化作用を介して,糖尿病による心機能障害の改善をもたらすことが示唆されます。






一般に,サプリメントの成分では,

心機能の改善に対しては,コエンザイムQ10,

糖尿病に対しては,食後過血糖を改善する各種のハーブ,αリポ酸など
が用いられます。




今後,糖尿病や心機能に対するピクノジェノールの臨床的意義の解明が期待されます。



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高タンパク食による消費エネルギーの増加作用 [2009年12月14日(月)]
今月のスポーツ医学の専門ジャーナル(電子版)に,レジスタンス運動の前に高タンパク食を摂取することで,運動後のエネルギー消費が増大する,というデータを示した臨床研究が,米国のグループから発表されていました。
(Med Sci Sports Exerc. 2009 Dec 4.)



運動トレーニング前後で摂取するエネルギー源は,高タンパク食か高炭水化物食かによって,生体に対する作用が異なっています。




今回の研究では,高強度のレジスタンストレーニング前における高タンパク食の摂取が,運動後の安静時エネルギー消費量に及ぼす影響が検証されました。

(高タンパク食と高炭水化物食の比較として行われています。)



具体的には,被験者8名(男性5名,女性3名)を対象に,二重盲検クロスオーバー法にて,レジスタンストレーニングを実施し,安静時エネルギー消費量および非タンパク呼吸交換比が測定されています。



また,運動20分前に,376KJの

高タンパク食(タンパク質18g, 炭水化物2g,脂質1.5g)

あるいは

高炭水化物食(タンパク質1g,炭水化物19g, 脂質1g)

が投与されました。




その結果,まず,運動前に比べて,両群ともに24時間後および48時間後の時点における安静時エネルギー消費量は有意に増加しました。



レジスタンストレーニング24時間後の時点における安静時エネルギー消費量は,高タンパク食摂取群のほうが,高炭水化物食摂取群よりも有意に大きい量となっています(p < 0.05)。


なお,非タンパク呼吸交換比は,24時間後の時点において,運動前に比べて両群とも有意な低下を示しています。



以上のデータから,レジスタンストレーニングの前に高タンパク食を摂取することで,運動後の安静時エネルギー消費量を増大させる効果が示唆されます。



安静時エネルギー消費量の増大によって,体脂肪の減少および体組成の改善といった効果をもたらすことが期待できます。



DHC製品では,DHCプロティンダイエットが高タンパクのフォーミュラ食(代替食)に分類されます。




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PFDの有無とCAM利用の状況 [2009年12月13日(日)]
今月の産婦人科学の専門ジャーナル(電子版)に,PFD(骨盤底機能障害)罹患の有無とCAM(補完代替医療)の利用状況との相関を調べた研究が,米国のグループ(University of New Mexico)から報告されていました。
(Int Urogynecol J Pelvic Floor Dysfunct. 2009 Dec 5)



PFD(骨盤底機能障害)は,尿失禁など下部尿路系の障害を指します。


今回の研究では,PFD罹患の有無について女性を分け,CAM(補完代替医療)の利用状況に違いが認められるかどうか,検討されました。



具体的には婦人科クリニックを受診した女性を対象に調査が行われ,PFD罹患者234名,非罹患者103名についてデータが解析されました。


その結果,PFD罹患者においてCAMの利用率が有意に高いことが示されています。

(交絡因子で補正後,51% vs. 32%, adjusted p = 0.006)




標準治療で十分な効果が得られず,かつ,QOLに影響を与えるPDFでは,CAMを併用する女性が多いことが示唆されるデータです。



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オメガ3系脂肪酸によるアレルギー性疾患の抑制 [2009年12月12日(土)]
今月の臨床免疫学の専門ジャーナル(電子版)に,オメガ3系脂肪酸の摂取とアトピー性疾患のリスクとの関係を調べた系統的レビューが,イギリスのグループから報告されていました。
(Clin Rev Allergy Immunol. 2009 Dec 9.)



多価不飽和脂肪酸として,オメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸があります。


一般に,オメガ6系脂肪酸は植物油に多く含まれ,アレルギーや炎症を惹起することが示されています。


一方,オメガ3系脂肪酸は魚油に豊富なDHAやEPA,亜麻仁油やエゴマ油に多いαリノレン酸があり,抗アレルギー作用や抗炎症作用が知られています。




今回の研究では,妊娠中や授乳中,乳幼児期や小児期における魚油の摂取と,乳幼児期や小児期におけるアトピー性疾患との関連が検証されました。



まず,5報の疫学研究によると,妊娠中の母親の魚油摂取は,胎児や小児のアトピー性疾患・アレルギー性疾患の予防に相関するというデータが示唆されています。


一方,1報の研究では,授乳期における母親の魚油摂取と小児のアトピー性疾患との間に有意な相関は認められていません。



次に,小児期における魚油の摂取とアトピー性疾患・アレルギー性疾患との関係では,
系統的レビューの対象になった14報のうち9報において,魚油摂取による疾患の予防効果が認められたということです。



さらに,妊娠期や授乳期における魚油サプリメントの利用は,乳幼児や小児のオメガ3系脂肪酸を有意に増加させるというデータが示されています。



その他,妊娠期における魚油の摂取は,食物アレルギーの軽減,アトピー性皮膚炎の重症度の軽減との相関,アレルギー性鼻炎や喘息,発疹などの減少といった効果が示唆されています。



幼児や小児の魚油摂取は,免疫調節作用を示していますが,臨床的意義は明確ではありません。


乳児への魚油投与は,アレルギー性疾患の発症リスクを低減することが示唆されていますが,相関が認められていないデータもあります。



以上のように,今回の系統的レビューでは,妊娠期や授乳期の母親の魚油摂取,あるいは乳幼児や小児の魚油摂取によって,小児のアトピー性疾患・アレルギー性疾患のリスク低減が示唆されています。




効果に個人差があることは考えられますが,一般に,オメガ3系脂肪酸・魚油・DHA・EPAの摂取によるアトピー性疾患・アレルギー性疾患の予防作用や症状軽減作用が期待できるといえるでしょう。



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